ひろひろの生活日記(LIFE Of HIROHIRO)

パソコン講習とソフト開発をしています。自作小説も掲載しています。ネット情報発信基地(上野博隆)Hirotaka Ueno

闇と光の慈愛のコントラスト(103)新たな時-はじめての犯罪③-

2023年08月30日 19時03分00秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(103)新たな時-はじめての犯罪③-
==第二章、闇と光の決着==

--新たな時(016)初めての犯罪③--

-その晩に何が起こった-
モウジィは、金塊を持ち帰り、夜を楽しんでいた。
「ドンドン ドンドン」
(こんな夜に誰だ?
金鉱に何かあったのか?)
モウジィは、しぶしぶ応対に出た。
「夜分(やぶん)遅くに何のようだ?」
モウジィは、戸を開けた。
「すみません。クィージェです。
ご相談したいことがあり、お尋(たず)ねしました」
「なんだい。金鉱で何かあったか?クィージェ」
モウジィは、少し驚いたが、冷静さを装った。
「少し、外を歩きませんか?」
クィージェは、モウジィを外に誘い出した。
モウジィを夜の森、会話を誰にも聞かれない場所まで連れ出したかった。
暫(しばら)く、2人は歩いた。
「どこまで行く気ですか?」
2人は森の中に入っていた。
モウジィは、いい加減痺(しび)れをきかした。
「分かりました。お話しします」
クィージェは、思いつめていた。
「モウジィ。今日の出来事、金塊を見つけたことは内緒にできませんか?」
「すまん。パアソネさまに話してしまった。
金を小麦の代わりに通貨にするとおしゃってたぞ。
みんなの周知(しゅうち)の出来事になるだろう」
モウジィは、早まるなと諭(さと)すように言った。
「でも、それは好都合かもしれません。
金塊を盗み取りしましょう。
あの古(ふる)き4人衆にいつまで牛耳(ぎゅうじ)られていていいのですか?
金塊は、将来、私たちを導いてくれます」
「私は、そんなに4人を気にならないが。
クィージェは、そんなに気になるのか?」
モウジィは、今の暮らしで十分満足だった。
「お願いがあります。夜に森を迷わないために方位磁石をお貸してください」
クィージェは、なりふり構わずに本題に入った。
「神ドボフォィ様にいただいたものです。
お貸はできませんが、
作れるそうですよ。
磁気を帯びた鉱石で代用できるそうですよ。
私が以前見つけた磁気を浴びた石をあげましょう」
「本当ですか?」
「夜は方角が分かりませんしね。
磁気を帯びた石は北を指すそうです」
モウジィは、何の利得があるのか手助けした。
それは、何を意味するのか?共犯になると言う事か?
「ほんとうですか?ありがとうございます」
クィージェは、今夜しかないと思いつめていた。
どうしても今夜、金塊を盗まねばと思った。
「でも、私は、関与しないよ。
盗まれた思えば素直に言うよ。
だが、犯人は捜(さが)さない。
それでいいかい」
モウジィは、争いが嫌いだ。
家に戻り鉱石をクィージェに渡した。
「東に進み、崖にあたると左周りに迂回(うかい)するのだよ」
「分かりました」
クィージェは、家に急いで帰った。
家には、ガンジェが待っていた。
そして、2人は、金塊を盗みに行った。


つづく。 次回(騎士による捜索)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #モウジィ #ゼーデェ 

 

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闇と光の慈愛のコントラスト(102)新たな時-はじめての犯罪②-

2023年02月15日 11時05分23秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(102)新たな時-はじめての犯罪②-
==第二章、闇と光の決着==

--新たな時(015)初めての犯罪②--

-欲望の誘惑-

闇と光の種族の大戦の1週間後、会議が行われて、
新たに戦いの準備として作業に取り掛かった。

話は、少し過去に戻り、会議の前日、金塊を発見した日。
モウジィは、仲間数名を連れて鉄の鉱山を探しに出かけた。

「とにかく岩肌を探そう」

山の頂上に向かい。
森に入った。
方向も何も分からないが、モウジィは、何ら心配していなかった。
その時、彼らの後を隠れて見ている人影がある。
アクティスである。
アクティスは、闇の村を偵察(ていさつ)した後、
光の種族の村も偵察しようと思い、
足を延ばしたのである。

「何か微(かす)かに不思議な匂(にお)いがします」
メンバーの一人が言った。
「そうですか、あまり感じませんが何か匂いますか?」
違うメンバーが言う。
「気のせい。気のせい。何かの花でしょう」
モウジィは、陽気に答えた。
(魔寄せの匂いが漂(ただよ)ってる)
アクティスも感じ取っていた。
モウジィたちは、知らず知らずに匂いの方に歩きだしていた。
(まずいわ。隠れている洞窟が見つかってしまう)
アクテイスは、何とかモウジィたちの歩む足を違う方向に向けなければと思った。
(幻覚か。それしかない)
アクティスは指を嚙み切った。
血が滲(にじ)みだす。
そして、呪文を唱える。
血は、霧となりモウジィたちの方へ流れていく。
アクティスは、子供のころから、お爺様(じいさま)の書庫にあるいろんな本を読むのが好きであった。
そのなかにいろんな儀式の本があった。
呪文と魔法陣の本と言っても良いかもしれない。
血の霧は、モウジィたちに吸い込まれ彼らの脳にまわる。
直ぐに儀式は効いた。
「前の林が動いている。
 なにかいるぞ!あ!ぁ!大蛇だ!」
大きな2つの目。漆黒(しっこく)でその奥に闇が見える。
見つめていると吸い込まれるようである。
そして、口を大きく開き、牙が二本むき出している。

今にも飲み込まれそうである。
これは、当然、幻覚である。
モウジィが叫んだ。
そして、慌(あわ)てて方向を変えて逃げ出した。
他のメンバーも追(つい)従い逃げていく。
アクティスは一安心した。
そして、血で地面に魔方陣を書いた。
それは、永続的にその場所に近づくものに幻覚を見せる。
モウジィたちは、どこをどう逃げているかも考えずに、
ひたすら遠ざかった。
そして、やっと一息ついた。
木が茂っていない岩肌の崖の中腹に出たのである。
そこの壁の様に切り立った岩の層に金色の層があった。
モウジィは、落ち着いてその岩肌に触ってみた。
「これは。この層は何だ!綺麗(きれいな)な金色に輝く鉱石だ」
モウジィは、なぜか喜んで仲間と握手していた。
そこを持ってきた石斧(いしおの)をぶつけて掘った。
やっと、一塊(ひとかたまり)を掘り出すことが出来た。
「今日は、とりあえず帰ろう」
「どうやって村に帰るのですか?この場所がわかりません」
「秘密の機器があります」
モウジィは、懐(ふところ)から方位磁石を取り出した。
それには、針が2つ付いていた。
「これは、一つは東西南北の方角、もう一つは、光の村の方向を示しています。
 ドッボォフ様から頂いたものです」

この方位磁石があったから安心していたのである。
その場に居たメンバーは、
ゲンジェ。ガンジェ。ウォンゴン。ペネ。
エデガン。クィージェ。ホンシャン。
です。メンバーは、みな安心した。
彼らは、モウジィと親しい仲間である。
無事にモウジィは、金の塊を一つ持ち帰った。
この中に金塊を後日に盗む犯人はいる。

ガンジェは、帰ってきた方向を必死で確認していた。

つづく。 次回(初めての犯罪③ーその晩に何が起こったー)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #モウジィ #ゼーデェ 

 

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闇と光の慈愛のコントラスト(101)新たな時-はじめての犯罪①-

2022年10月19日 09時17分06秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(101)新たな時-はじめての犯罪①-
==第二章、闇と光の決着==


--新たな時(014)初めての犯罪①--

-騎士の役目。犯人をどうする?-

まず、差し迫(せま)った作業は、この金塊の発掘場の見張りをどうするかである。
いろいろ悩んだがここにいる者から選ぶしかない。
ゼーデェは、見張りとして残した者が盗んだ犯人だとしても、
見張りに残されて金塊を盗むわけにもいかないだろうと考えた。
モウジィの仲間の2次金塊捜索隊(きんかいそうさくたい)のゲンジェにした。
次にゼーデェは、現場をそのまま残す必要があるとも考えたが、
王政を急ぐ父プリンス王のことも考えて、
早く硬貨(こうか)をつくる必要があるので、
袋(ふくろ)三つに一杯(いっぱい)の金塊(きんかい)を掘って持って帰ることにした。
金塊を盗んだか疑わしい者で残った者は、モウジィの仲間の2次金塊捜索隊の残りのメンバーである。
一番、金塊を盗む可能性の高い者である。
この者達は、今いるもので金塊が不当(ふとう)に盗まれたことを知っている。
しかし、疑わしい者は他にもいる。
モウジィ以外の最初の鉄を探しに行き金塊を見つけた者である。
他にもモウジィが金塊の発掘を話した者がいるかもしれない。
取り敢(あ)えず見張りもいるし容易に金塊を発掘し盗むことは出来ないと判断した。
そうゼーデェは、熟慮(じゅくりょ)し、
まずは、当面の懸案作業(けんあんさぎょう)を進めることにした。
金塊を総合的に管理する責任者を決める必要がある。

ゼーデェとモウジィは、金塊の入った袋を持って父プリンス王の家を訪れた。
「プリンス王。在宅ですか?
 ゼーデェです。
 金塊を発掘して戻(もど)りました」
暫(しばら)くしてプリンス王が出て来た。
はじめに、金塊を不当に発掘して盗んだ者がいることを伝えた。
プリンス王は、目を瞑(つむ)り途方にくれ、悩(なや)んでいる様に見えた。
「最初の犯罪かぁ」
ため息をついた。
「暫く私に任してくれませんか?」
ゼーデェは、進言する。そして続けて発言する。
「それはそうと、金塊と硬貨を管理する財務担当(ざいむたんとう)を決めませんか?」
「最初に金塊に関わったパアソネにしようか」
プリンス王は、あっさり決断(けつだん)する。
「五大聖人の一方(ひとかた)ですね。
 それが良いと思います。
 パアソネさんを呼んでまいります。
 金塊は、お父さんが預かっていてください」
ゼーデェは、金塊の袋をプリンス王に渡した。
帰り道、パアソネにプリンス王が話があるので王の家まですぐ来てほしいと伝えた。
そして、ゼーデェは、家に帰り食事を済ませると、
20人の騎士の中から一番仲の良いイヤードを選び、
一緒に発掘場の見張りの交代に連れていった。


つづく。 次回(見張り)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #封建制度 #ゼーデェ 

 

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闇と光の慈愛のコントラスト(100)新たな時-金塊の発掘②-

2022年05月07日 00時13分41秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(100)新たな時-金塊の発掘②-
==第二章、闇と光の決着==


--新たな時(013)金塊(きんかい)の発掘②--


翌日、ゼーデェ。 モウジィ。を含み仲間6人は、金鉱へ向かった。

朝、日が昇る前に光の村を出発した。
ゼーデェは、モウジィを呼びに行った。
もう、モウジィは仲間を家に呼んで集まっていた。
みんな、手に鉄の道具を持っていた。
「出発しましょうか」
「はい」
皆、やる気十分である。
何も問題がないように思えた。
村の東の外れから森に入った。
最初は、山の木々も森へ入る者に優しく思えた。
日の光も差し方角(ほうがく)も大体認識できた。
「とにかく、まず東に向かいます」
斜面を斜めに登っていた。
森が、深くなってくる。
蔓が足に絡みつく。
落ち葉が足元に積み重なっている。
日の光が薄い。
「あぶない」
「最近、見慣れない動物が現れています。
 気をつけてください」
「ガサ。ガサ。ガサ」
ニョロニョロした地を這(は)う動物。
「ザク」
モウジィが手に持っていた斧で首を切断した。
「へ へぇ へ。蛇(へび)です」
その後は、なにもなく過ぎた。
言葉は、少し発するのに時間を要したが神から生まれた時に授けられていた。

そして、切り上がった崖に着いた。
右側は、切り裂けた谷である。
「この崖(がけ)を左に回り越えます」
モウジィは、丁寧に道を案内する。
(これで、私も一人で金鉱にいける)
ゼーデェは、モウジィの案内ぶりに感心した。
崖の接面の周りをそい左に回って登った。
暫く登り回り、
木が茂っていない岩肌の崖の中腹に出た。
そこの壁の様に切り立った岩の層に、
掘った跡がある。
「大分、掘ったようですね」
ゼーデェは、ようやく着いたと燥(はしゃ)いでいる。
「あ!ぁぁぁ!」
モウジィは、それを見て愕然(がくぜん)と跪(ひざまづ)く。
「どうした!」
ゼーデェは、驚いて尋ねる。
「あ!ぁ!誰かに掘られている」
「何ぃ。
 それは、どう言うことですか?」
「金塊(きんかい)が盗まれています」
「げぇげ。それは大変だ」
モウジィとゼーデェは、慌てて走って、
掘ったところへ駆(か)け寄った。
2人は、注意深く中を見る。
「まだ、少しだけ掘られただけみたいですね」
「良かった」
「見張りを立てないといけませんね」
「盗んだ金塊を何に使う気でしょうか?」
「すぐには使えません。
 まだ、金は流通していませんからね。
 もっていれば、犯人だとすぐばれてしまいます」

「初めて起きた犯罪です。
 それが、重大な意味を持ちます」
ゼーデェは、考え深げにため息をついた。

「村の人は、全て善人ばかりだと思っていました」
モウジィは、驚きのあまり呟(つぶや)いた。

つづく。 次回(騎士の役目。犯人をどうする?)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #封建制度 #ゼーデェ 

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闇と光の慈愛のコントラスト(99)新たな時-金塊の発掘①-

2021年11月29日 08時33分59秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(99)新たな時-金塊の発掘①-
==第二章、闇と光の決着==


--新たな時(012)金塊(きんかい)の発掘①--

ゼーデェは、闇の種族の農地の偵察(ていさつ)を終えて、
光の村に若者を連れて戻ってきた。
偵察に行った者の中から一人を選んだ。
「フュデル。明日、新しい農地の世話をしてください」
ゼーデェは、農地に『闇の種族』を付けるのをやめた。
それは、農地が闇の種族のものであることを忘れるためである。
忘れられなくても意識をしなくするためである。
「分かりました」
フェデルは、快(こころよ)く了承した。
「今日、偵察に行った者を連れて行くと良い」
「みんなも明日から新しい農地の世話をしてください。
 自身の農地の世話も忘れずに」
「分かりました」
10人の若者はその指示を受け入れた。

ゼーデェは、明日、金塊(きんかい)発掘(はっくつ)をするためにパアソネの所を訪れた。
「ドンドン。夜分すいません」ドアを叩く。

「はぁーぃ。どなたですか?」
パアソネの妻がドアを開けた。
「あら。ゼーデェ」
「パアソネさんは、居ますか?」
「少しお待ちください」
暫(しばら)くしてパアソネが出て来た。
ゼーデェは、すかさず尋(たず)ねた。
「明日、金塊の発掘に向かうのですが、
 金塊を見つけた場所を教えてほしいのですが、
 よろしいいでしょうか?」
「いいよ」
そう言うと家を出て歩き出した。
「発見者のモウジィを紹介する。
 明日、金塊の場所へ案内してもらうと良い」
パアソネは、ゼーデェをモウジィの家に連れて行った。
「ドンドン。モウジィ。居(お)るか」
モウジィが出て来た。
「おお。モウジィ」
「パアソネさん」
「こちらは、ゼーデェです」
「明日から金塊の発掘作業をしたいのですが、
 場所を案内してくれますか?」
ゼーデェは、実直(じっちょく)に尋(たず)ねた。
「いいですよ」
モウジィも即答(そくとう)した。
「場所を知っているものは、他にもいますか?」
(場所の機密を守った方が良いのか、
 それとも…)
ゼーデェは、続けて尋ねる。
「鉄鉱石を探しに行ったものが数名、知っています」
モウジィは、金塊を発見した時を思い出しながら答える。
「そのものも連れて行こう」
ゼーデェは、即決した。
「じゃあ。連絡しときます」
モウジィは、何か楽しそうである。
(何が楽しいのであろうか?
 これと言って変化のない日々が続いていたからか?)読者の意見。
「発掘道具の手配も宜(よろ)しくお願いします。
 では、明日」
ゼーデェの作業は、やっと終わった。
(慌ただしい日が続いているな)
ゼーデェは、運命が大きく変わるのを感じた。
そして、やっと家に戻った。
父のブリンスに今日のことを報告した。

つづく。 次回(金塊の発掘②)


#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #封建制度 #ゼーデェ 

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闇と光の慈愛のコントラスト(98)-新たな時(011)封建制度③-

2021年06月13日 10時32分22秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(98)新たな時
==第二章、闇と光の決着==


--新たな時(011)封建制度③--


ゼーデェは、戦いで奪(うば)い取った闇の種族の農地に着いた。
当然、畑の食物は生き物。
農地の世話をしなくてはならない。
他にも10人の若者を連れている。
若者たちは、それぞれ散らばり、畑を見回り葉や土を触(さわ)った。
「問題ない。今は、水をやらなくても大丈夫そうである」
家の灯が消えている。
静まりかえった村。
ゼーデェは、一件一件、家の中の様子を確認する。
人が残っていないか確かめるのである。
中に入る。
無造作(むぞうさ)に食器や家財道具が置かれている。

洗っていない木の皿が置いてあるテーブル。
スープが入った土鍋がある。
ベッドと掛けられた布。そして、戸棚。
突然、襲われた。
今は、人はいない。
幸せに暮らしていた跡(あと)である。
ゼーデェは、訳が分からず涙が流れた。
ゼーデェ自身、戦いに参加したのである。
闇のものを光の神に逆らう悪魔であるかのように思っていた。
でも、家の中を見て、普通に畑を耕し子供を育てて生活している家族であると知った。
しかし、そんな感情は、吐(は)き捨(す)てなければならない。
(我々は、光の神の民(たみ)なのである。
 光の神に生み出された民である)
本当は、闇の長アクデシアから光の神イリノイスがもらった命の種から生まれたことを知らない。
彼らは、生みの母を殺したのである。
闇の村の偵察(ていさつ)には、なんら問題はなかった。
今、一つの街が死んだ。
そして、新たに街が生まれる。
ゼーデェは、若者を連れて光の種族の村に帰っていつた。
はじめて、戦争の虚(むな)しさと残酷(ざんこく)さを味わった。

つづく。 次回(金塊の発掘)

漢字に読みをつけていますが、読者を甘えさせるためではありません。熟慮(じゅくりょ)して学習に役立てんことを望みます。

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #封建制度 #ゼーデェ 

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闇と光の慈愛のコントラスト(97)新たな時

2021年05月27日 14時34分39秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(97)新たな時
==第二章、闇と光の決着==


--新たな時(010)封建制度②--

トラベバが若者を呼んできた。
20人の若者は、入って来て部屋の隅(すみ)に固(かた)まって立った。
ブリンスが声をかける。
「昨日の戦いに参加したものに褒美(ほうび)を取らせようと思い。
 集まってもらった。
 ご苦労でした」

闇の種族と戦った若者の中にブリンスの息子ゼーデェがいた。

「皆の者に称号を与える。
 騎士(ナイト)と名乗るが良い。
 そして、給金(きゅうきん)を与えるものとする」
ブリンスが褒美について述べた。

「皆もこれで了承(りょうしょう)願います」
ブリンスは、他の4人の執務院にも決議を求めた。

「了承した」
執務院の4人は答える。
始めの5人の子孫の残りのものは執務院の所属となった。
言い忘れてました。ごめなさい。(筆者です)

「一月ごとに支給し、十分生活出来る額とする。
 額については、後(のち)ほど決定する。
 よろしいですか?
 王ブリンス」
ロイアナが付け加えて発言した。

「ザワザワザァワ」
「王?」
「王ブリンス?」
20人の若者は、『王』と聞いてざわついた。

そして、ブリンスの息子ゼーデェを肘(ひじ)でつつく。
ゼーデェは、恐る恐る口を開いた。
「お父様。王とは?
 どう言うことですか?」

「血縁だけでは、この光の種族の発展はないと感じた。
 そこで、王政を敷くことにした。
 みんなの意見で私が最初の王となったのだ」
ブリンスは、掻(か)い摘(つま)んで説明した。

「おめでとうございます。
 私たちも今回のことで、
 皆で団結して種族を発展させるべきであると思っていました」
ゼーデェは、若者を代表して答えた。

「残りの血筋の4人を執務院の所属として、
 ロイアナを執務長とした。
 この5人は、全部の民の長と言っても間違いではない。
 なぜなら、この5人の先祖から全ての民は生まれたのだからだ。
 いみじくも我が先祖は、神から種族を纏(まと)める長(おさ)を仰(おお)せつかっている」
ブリンスは、尚(なお)も説明しかけたが。

「ここからは、私が説明する。
 実務を担当するのでな」
ロイアナが遮(さえぎ)り後を受け持って話し始める。
「今回の神様から頂いた土地をどうするかだ。
 差し当たって増えた畑の世話が急務(きゅうむ)である」

「ちょうど、自分の土地を持たないものが増えていました。
 それが理由で生活に苦しむ者もいます。
 とりあえず、今日は、私たちが見るとして、
 農地を世話するものを募集しましょう」
ゼーデェが、発言する。

「それは、良い考えかもしれんな」
ロイアナは、頷(うなず)いた。
後のものも、王も頷く。


「土地は、ブリンス王のものとしています。
 土地を耕(たがや)すものが作物から得た利益のから税を取るとする」
ロイアナは、付け加える。

「元来、土地は、神様から私たちが頂いたもの。
 他のもの。全ての種族のものからは税金をとっても良いのではないですか?」
若者の一人が発言する。


「小麦を代価にするのは、もう限界と話し合った。
 そこで、通貨が必要であると認識に至った」
パアソネが発言する。

「農業以外職業のものも増えてきています。
 農地から離れたそうような人。
 ものを流通させるものが集まる街も必要ではないでしょうか?」
若者の一人が発言する。

「ちょうど、鉄の鉱脈を探していて、金塊が見つかりました。
 通貨の元となると考えています。
 だが、多大な金塊を発掘する必要があります」
パアソネは、続けて発言した。

「話は、進みだしている。
 課題も多く出た思う。
 だが、今日は、大分遅くなった。
 この辺で解散しましょうか?」
ブリンスは、議会を終えることを決断した。

「明日から、やることは、目白押(めじろお)しにある。
 今日は、これで休め」
ロイアナが締めくくろうとする。


「1、農地の世話。
 2、金の発掘、通貨、ものの流通。
 3、税制、王政の制度の確立。
 4、街・城の建設。
 5、道具の増強。

 今後の作業とし、
 今日のまとめとする」
ペアソネが、締(し)めくくり発言した。

「今日は、新しい農地を見回ることを忘れないように。
 明日、新しい農地を耕すものを募集しよう。
 金塊を探すもの。
 その発掘の道具を作るもの。
 農具も。
 これらも若者が主体とする。
 リーダーは、ゼーデェに任せる。
 良いか?
 我々も遊んではいない。
 各種の制度を制定する」
ブリンスは、最後に告げた。

「了解しました」
皆のものは、返事し解散した。

つづく。 次回(封建制度③)


#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #封建制度 #ゼーデェ #ブリンス

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闇と光の慈愛のコントラスト(96)新たな時

2021年05月12日 11時57分16秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(96)新たな時
==第二章、闇と光の決着==


--新たな時(009)封建制度①--

闇の種族との戦争が終わった。
光の神が勝ったように見える。

その後(ご)の光の民の話をしよう。
難を逃れたアクティスの戦いの話は、暫(しばら)く置いておくことにする。

過去に戻り、戦いが終わった直後、
光の民は、闇の種族の豊かで広大な土地を手に入れた。

そして、その土地をどうするか会議が行われた。
ロイアナの音頭(おんど)で旧家の長の5人が集まった。

 「神の言葉を伝える者 種族の長、ブリンス」 
 「神に生涯したがう者 フォロワ」
 「神ために働く者   パアソネ」
 「神を布宣する者   トラベバ」
 「神に近し者     ロイアナ」

初めの家族の直系の子孫(しそん)である。

ロイアナは、唐突(とうとつ)に口火を切る。
「土地を光の種族の長ブリンスのものとしましょう」
ロイアナは、発言した。
「どうですか?異存はありますか?」

「異存なし」
全員が答えた。

「とりあえず私のものとしますが、
 管理は、ロイアナが方策を考え受け持ってくれませんか?」
ブリンスが発言する。
そして、更に。
「合議制をしきませんか?」
と提案した。

フォロワも提案する。
「国を創りましょう」

トラベバも発言する。
「それには、国王を決める必要があります」
フォロワは、言う。
「ブリンスが王です」

「はじめに神が決めたことです」
ロイアナは、従うしかなかった。

「ロアイナを執務長にしましょう」
ブリンスは、ロアイナを頼みの綱にしていた。

「神の祭壇を創るか?」
ロアイナは、執務長より司祭の方が好みであった。

「その前に、皆のために鉄の道具を作りましょう」
トラベバが、進言した。
「今、より多くの鉱脈を探して
います」
パアソネは、状況を説明した。
「『鉄を採掘していて光る奇麗な鉱物を発見した』との報告があります」
その鉱物を机に置いた。

「奇麗し、堅そうだ。
 流通する代価に出来ませんかね」
パアソネは、続けて話す。

「そう言えば、農作業の他に多くの仕事が発生しています」
ブリンスは、村の実情を周知している。
「服を編んだり、
 木の細工士、
 道具屋、
 新しく鍛冶屋。
 いろいろな仕事があります」

「現状、代価は、どうしてるのだ?」
ロイアナは、尋ねた。

「小麦だそうです」
ブリンスは、答える。
どっちが偉(えら)いかわからない。

「それは、置いといて、
 取り敢(あ)えず土地を世話しなければなりません」
パアソネは、議題(ぎだい)を元に戻した。

「戦(いくさ)に加わった20人の若者に任(まか)せましょうか?」
ブリンスは、主導権を取った。

つづく。 次回(封建制度②)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #封建制度

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闇と光の慈愛のコントラスト(95)新たな時

2021年04月25日 20時12分33秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(95)新たな時
==第二章、闇と光の決着==


--新たな時(008)惑わし光の民②--

それは誘惑の香り(魔寄せ)のせいと言うより、
本来持つその人の本性が出だした言える。

農作業をサボる者がいる一方、
前よりも一層、農作業に励む者もいる。

「おい。デンジ。
 お前も休んだらどうだ。
 何にか、最近、楽しくないか?
 もっと人生を楽しもうよ」
村のある男は、農作業をやめ帰ろうとしている。

「馬鹿を言うな。
 そんなことをしてると作物が枯れるぞ。
 いい加減にしろ」

「そうだな。

 でも、
 そんなことを言うなよ。
 なぁ。
 おれの畑の世話もしといてくれよ。
 お願いだ。
 俺は、ちょっくら女房の世話をしなくちゃいけねい。
 頼むよ」
そう言うとそそくさと帰って行った。
(重荷は、こりごりだ)

デンジは、無視をしたが、そいつの畑が気に成った。
帰りに寄ってみてみた。
デンジは、葉を手に取って触ってみた。

(作物に水が足りていない。
 頂(いただ)いた農園だ。
 う!奪い取った農園と言うべきか。
 神様の命令で。
 多くの人が死んだ。
 人と言うのか分からないが。
 あのものたちは、どうしたのだろう?
 良い土地だ。
 本当に)

デンジは、川の水を汲(く)み畑に水を撒(ま)いた。

「これで大丈夫」
デンジは、一安心した。
(でも。本当に。
 神は、我々に何を望んでいるのか?)

デンジも家路へと着いた。

つづく。次回(惑わし光の民③)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #惑わし光の民

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闇と光の慈愛のコントラスト(94)新たな時

2021年02月05日 15時15分48秒 | 闇と光の慈愛のコントラスト(自作小説)

闇と光の慈愛のコントラスト(94)新たな時
==第二章、闇と光の決着==


--新たな時(007)惑わし光の民①--

エンビは、偵察(ていさつ)した様子を話した。
「光の民は、悪びれた様子もなく闇の種族の畑を我が物顔で耕しています。
 今日は、
 光の種族の村まで偵察に行きました。
 私の父、ロイアナを見張っていたのですが、
 村の外れに船の石碑があります。
 その前で何やらぶつぶつ話していました。
 ひょっとして、光の神と通信しているのではないでしょうか。
 その他は、別に変ったところはありません」
「そうですか」
アクティスは、悔しそうである。
「では交代して、今度は、私が偵察に行きます」
そう言ってアクティスは、偵察に出かけた。
サンディアは、アクティスを一人で行かしてはと思ったが、
魔の民が匂いに誘われて襲いに来てはいけないから、
洞窟にとどまった。

アクティスは、元闇の種族の畑に着く。
風がアクテイスの香りを運ぶ。
ひょっとして魔寄せの香りか?
「何か、今日は良い気分だ。
 もう。農作業を切り上げるか?
 そうしよう。
 家族サービスでもするかな」
光の民は、農作業を切り上げ家に帰っていく。
誘惑の香りが漂っているのだ。

どうなるのだ。光の民は。
アクテイスの誘惑の香りは、光の民に何を齎(もたら)すのか?
それは、アクテイスが意図したものなのか?
誰にもそれは分からない。


つづく。次回(惑わし光の民②)

#闇と光の慈愛のコントラスト #闇と光 #自作小説 #サンディア #アクティス #新たな時 #惑わし光の民

 

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