NHK集金人が来た。そのレベルで言い合っても、殆ど意味が無いと思い、「NHKは見ませんから。契約しません」と、一般レベルのような言い方で追い返したが、数日後、不在の時に、また来たご様子。さらにメモには「今後、ご不在の場合は、早朝・深夜等に訪問させて頂くこともあります」と挑発的な文句が書いてあった。なんか、燃えてきました。とりあえず、ブログのコピーでも渡してみようか。
NHK不払い訴訟で負けて払ってる人多いよ――と、ご心配くださる方もおいででしょう。しかし受信料訴訟についてはNHKは当然だが、民放も同業者に遠慮してか、詳細は報道されていない。
巷で話題の不払い督促は、既にNHKと受信契約を結んだ人間に対する契約履行を求める訴訟である。受信契約の締結そのものを拒否する筆者とは全く次元が異なる。もしも筆者に受信契約締結を求めて訴えれば、NHKには初のケースとなり非常に興味深い展開となりそうだ。
まず現在、係争中の受信料不払い督促訴訟について、ご説明しておく。
NHKの法的督促に対して異議申し立てを行った件数は8件。うち5件が分割払いを申し出て和解した。残る3件が訴訟(地裁2件・簡裁1件)となっている。
1.Aさんは'02年5月28日にNHKとの間にカラー放送受信契約を締結。しかし'04年4月から受信料を不払いとなったため、NHKから不払い分4万7.430円を請求されている。
2.Bさんは'03年2月8日にNHKとの間にカラー放送受信契約を締結。しかし'03年8月から受信料を不払いとなったため、NHKから不払い分5万8.590円を請求されている。
3.Cさんは'03年11月8日にNHKとの間にカラー放送受信契約を締結。しかし'04年4月から受信料を不払いとなったため、NHKから不払い分4万7.430円を請求されている。
以上の例からもお分かりの様に、NHKの法的督促とは「受信契約の履行」を求める法的措置である。かみくだいて言うと「あなたは受信契約を結んでいるのですから、受信料を支払ってください」という物だ。受信契約を拒否する人間に対して、受信契約を結ぶようにという法的措置は現在のところ、まだ取られていない。
そもそも受信契約や受信料については放送法で定められている。しかし民放の番組捏造問題で放送法が話題となったように、この法律は主に放送を行う側について定めた法律である。受信契約については、第二章の「日本放送協会」(※NHKについて定めた部分)の中に、
「第32条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」
と定められている。問題となるのは「放送の受信を目的としない」の部分だろう。NHKはこれを「すべての放送」と解釈し、即ち「テレビを持っている人間はすべて契約すること」と受信契約を迫っている。しかし、その前の部分に「協会の放送を受信することのできる受信設備」と明記されているから「協会の放送」とも受け取れる。そもそも法律とは、それぞれの法に定めることを書くものだ。自衛隊法は自衛隊について書いてあるのだし、国会法は国会について書いている。放送法第二章は「日本放送協会」であるから、第二章つまり第7条から第50条までは日本放送協会について定められていると見なすべき。NHKがいう「民放も含めたすべての放送」をさすという解釈のほうが曲解ではないか?
すなわち「NHKの放送を受信することを目的としない受信設備」については受信契約をしなくても構わないとも受け止める。この辺は、司法がどう判断するのか楽しみだ。おそらくNHK側が「受信契約者に契約履行」という立場で不支払いを督促しているだけで、契約締結そのものを拒否する人間に対して法的措置を取らないのも、不安があるからであろう。仮に「協会の放送受信を目的としない受信機の所有者は、受信契約しなくてもよい」という司法判断が下されれば、それこそ雪崩のようにNHKとの契約解除を望む人間が現れ、大変な事態となるだろう。
ついでに言うと、第32条をNHK側の解釈に従ってみたとしても、例えばアンテナを接続せずにテレビゲームやビデオ・DVD再生のためだけに利用していれば、たとえテレビを持っていても受信契約を結ぶ義務はない。また第32条の本項の違反に対する罰則は定められていない。
菅総務相が「NHK受信料を2割程度値下げしたうえで義務化」と発言したことは多くの記憶に残っているだろう(NHKが値下げを拒否)。これを裏返せば総務大臣は、「現在はまだNHK受信料は義務化されていない」という認識だからである。
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