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なぜ円高になるといけないの?

2010年08月13日 00時10分00秒 | 社会・経済
円高懸念が高まっている。

ところで、「どうして円高では、いけないのか?」
何度、説明されても依然として理解できない方は、少なくないと思う。
当然だ。なぜならばマスコミなどは、説明が下手すぎる。

一般的な円高弊害の解説は、次のような感じだろう。
『1$=¥100だった外為レートが、1.1$=¥100の円高になったとする。
すると、これまで1万ドルで売られていた100万円のクルマが、1万1千ドルに値上がりしてしまう。
こうして値段が上がるので、商品が売れなくなって企業が困る』

「ちょっと待て!」――そう突っ込む方は正常。
確かに値段が高くなれば、商品は売れにくくなる。
しかし、先の例で考えると、1$=¥100の時にクルマを10台売って得られる売り上げは10万ドルだ。
いっぱう1.1$=¥100の円高で、クルマを9台売った時の売り上げは9万9千ドル。
原価が下がることを考えれば、後者のほうが企業は利益が高い。
売り上げが1割減ではなく、3割減・5割減と下がれば大変だろうが、そもそも価格が1割ほど高くなっただけで販売量が3割も5割も下がるのは価格だけの問題ではあるまい。商品そのものに問題がありそうだ――と。
全くその通りだ。だから例文として上げたような円高弊害の説明をしても、様々なケースについて考えられる賢い人間は、簡単に鵜呑みにはしない。


そこで、こう考えてみて欲しい。
現在、世界が注目している巨大市場の中国。
そこで1$=¥100のとき、10万円の日本製パソコンは千ドルで売られていた。そして韓国や台湾も同じスペックのパソコンを千ドルで売っている。
中国の消費者は「同じ千ドルなら、やっぱり日本製がいいな」と日本のパソコンを買う。
これが1.1$=¥100の円高になる。だがウォンや台湾ドルなどのレートは変わらない。
すると韓国製・台湾製のパソコンが相変わらず千ドルなのに対して、日本製だけが千百ドルになってしまう。
中国の消費者は「性能に差がないのに百ドルも高いのでは、とても日本製なんか買ってられない」となる。
3割減・5割減どころか、最悪のケースではシェアがゼロになってしまうことも有り得る。
これが、どれだけ深刻な事態か感じられたかと思う。

円高の例を、日米貿易で解説するから、色々と反論や疑問が生まれる。
このように中国市場の例などで考えれば、こんなに解り易くなる。
要は説明の仕方ひとつなのだ。


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