やがて大黒先生は、仕事を理由に早々にその場を退出したが、一度無意味を痛感してしまった浩人には、先生のいるいないに拘(かかわ)らず、すべてが無意味に感じられた。
「それでは三年八組の、第二回クラス会を始めます」
幹事の開会の言葉に、浩人は驚いた。浩人はそれが第一回のクラス会だと思っていた。が、既に第一回のクラス会は、浩人の知らない内に行われていた。多分浩人の名前は、一旦名簿から削除されていたのだろう。それを誰かが気をつかったのか、間違ったのか。何にしろ浩人は、手違いで、この第二回のクラス会に呼ばれてしまったらしかった。当然といえば当然ではある。浩人は他の連中とは違って、まだ卒業していない、留年生なのだから。つまり浩人は、お呼びでなかったのだ。場違いだったのだ。そこにも、浩人の席はなかった。そう感じてからのクラス会は、浩人にはなおも無意味なものとなってしまった。
「僕はまだ卒業していませんので……」
一人ずつ順々に近況報告をした際にも、浩人はそう発言した。が、その後何を言ったのか、自分の言葉を憶えておらず、他の者の近況報告も、ほとんど憶えていない。五感に敏感で、記憶力に長けているはずの浩人が、ここまで記憶を消してしまうなんて、よほど無意味と感じ取ったのであろう。その後は場をもたせる為に、伝言ゲームや発電所ゲーム、トランプを使ったウインクキラーなど、たわいもない室内ゲームで時間が過ぎた。それもこれも、他の皆には楽しいひと時だったのかもしれない。しかし浩人には、やはり馬鹿馬鹿しいほどに無意味で、無駄なひと時に思えた。
(続く)
「それでは三年八組の、第二回クラス会を始めます」
幹事の開会の言葉に、浩人は驚いた。浩人はそれが第一回のクラス会だと思っていた。が、既に第一回のクラス会は、浩人の知らない内に行われていた。多分浩人の名前は、一旦名簿から削除されていたのだろう。それを誰かが気をつかったのか、間違ったのか。何にしろ浩人は、手違いで、この第二回のクラス会に呼ばれてしまったらしかった。当然といえば当然ではある。浩人は他の連中とは違って、まだ卒業していない、留年生なのだから。つまり浩人は、お呼びでなかったのだ。場違いだったのだ。そこにも、浩人の席はなかった。そう感じてからのクラス会は、浩人にはなおも無意味なものとなってしまった。
「僕はまだ卒業していませんので……」
一人ずつ順々に近況報告をした際にも、浩人はそう発言した。が、その後何を言ったのか、自分の言葉を憶えておらず、他の者の近況報告も、ほとんど憶えていない。五感に敏感で、記憶力に長けているはずの浩人が、ここまで記憶を消してしまうなんて、よほど無意味と感じ取ったのであろう。その後は場をもたせる為に、伝言ゲームや発電所ゲーム、トランプを使ったウインクキラーなど、たわいもない室内ゲームで時間が過ぎた。それもこれも、他の皆には楽しいひと時だったのかもしれない。しかし浩人には、やはり馬鹿馬鹿しいほどに無意味で、無駄なひと時に思えた。
(続く)