わーん、いやがうえにも最終回盛り上がる仕掛けを一杯作っちゃった10話だった。
コトー先生が、皆に背中を押されて、彩佳のために、東京に行くまでを、じっくり描いてくれた回だった。主要登場人物に、それぞれに、ここぞという見せ場を用意してコトーに関わり、ドラマが、クライマックスに向けて、集積されていく。
娘の乳がんを知って、東京に駆けつける正一と、彩佳の親子喧嘩。これも、お互いを思いやるこの親子ならでは。
彩佳の精一杯気丈に振舞う電話は、切なかったなあ。元気に働く看護士の彩佳のシーンを、効果的にはさんで、「私ひとりのために、コトー先生に来てもらうわけにはいきません。志木那島の診療所の元・看護士として、それはできません。」元・看護士だなんて、彩佳さん、言わないで。電話を切って、泣き崩れる彩佳に、こちらももらい泣き。
昌代さんが、正一と一緒にやってきて「ごめんなさい。つらかったね。せんせい」って、さすがだわ。わかってる。この人の言葉に、コトー先生は、救われたに違いない。彩佳の乳がんを隠されて、一度は、コトーとも亀裂の入った正一も、一緒に頭を下げた。きっと昌代さんに叱られたのかもね。クールにデータで、彩佳の病気の診断をする鳴海先生に会ったことで、逆に、コトー先生への失われた信頼を、取り戻したのだろう。
「彩佳さんには、専門医がついている。もし、僕が行ったとしても、医師として何もできない。そばにいることくらいしか。」と嘆くコトー先生に、和田さんは、ここぞのタメ口で、
「だから、いくんじゃないのか 先生」こういう時、年上の男性として、力強いサポートを、いつもしてくれる和田さん、サンクス!
さて、3年前、東京へコトー先生を迎えに行ったタケトシが、今度は、コトー先生を、「剛宝丸」で送る。ずっと、彩佳を一人で東京に行かせたことを悔いていたコトー先生だが、「もう、後悔しません」
遠ざかっていく志木那島を見て、「きれいですね。僕は、こんな美しい島に住んでいたんですね。」と自然に対する言葉が出てきたのは、象徴的。8話で、自分の無力にうちひしがれていた時も、大海原が、コトー先生を慰めてくれたものね。
それで、病院に到着したら、大きな荷物を抱えてうろうろ。彩佳を見つけて、コトー先生、36歳にして出た言葉が、「来ちゃった」
うーん、かわゆすぎる!この言葉に「来ちゃった」視聴者は、雨あられだろう。こんなお茶目で、天然なコトー先生は、吉岡コトーしか出来ません。(きっぱり!)
「もし、再発したとしても、僕が、何度でも、何度でも治します。僕は、彩佳さんのそばに、ずっといますから。彩佳さん、僕にオペさせてください。」
これは、コトー流、究極のプロポーズだよね。名セリフです。脚本家の吉田紀子さんに乾杯!
もともと男女のことには、超うといコトー先生は、彩佳が口走った恋愛感情には、乳がんの告白のショックもあり、戸惑いのほうが大きかっただろう。自分の感情より、大変なものを背負わされたという気持ちのほうが強かったのかもしれない。
しかし離れてみて、島での診療をもくもくと行う日常のなかで、彩佳の存在の大きさに気づき、彼女のことを想う気持ちが蓄積され、悩んだ。そのうえで、彼女に寄り添うこと以上に、Drコトーならではの決断をした。つまり彩佳のオペをすることまで、踏み込んだ。プロポーズの重みが、そんじゃそこらの人とは違う。だって、「あなたの命を、僕に預けてください」と彩佳に言ったのだから。
こくんと頷く彩佳。化粧っけのない顔、抜けた髪を隠すキャップをしている彩佳の流す涙には、人間としての生身の感情に溢れていたねえ。男女の間を超えたものなんだ、この二人はと、つくづく納得させられた。
告白の間、コトー先生は、前髪で顔半分隠れていた。中江監督の演出だろう。コトーは、彩佳を見て、髪をかきあげて、はにかんで笑顔をのぞかせた。この無邪気な笑顔が、いい、抜群にいい!
この人は、年をとっても、ずっとこんな笑顔をするのだろう。老成しているようにも見え、少年のようにも見え、何よりヒューマンな素敵な笑顔だった。
鳴海医師に任せていたのに、医師としてオペに加わりたいというのは、越権行為でもあると思うし、彼との対決してでも、次回、コトー先生は、人生最大の戦いに挑みます!
コトー・サンタが、お見舞いに持ってきた小道具、たとえば、和田さんの特別カレンダーなんかは、最終回、絶対使われると見た!