添乗員のとき、ヨーロッパへ飛行機で飛ぶとき、空から並々と続く天山山脈を見下ろしていて、ここを昔歩いた人がいると考えて不思議な気がしたことがある。怖れなく飛行機で飛んでしまうことで見落としてしまうものがあるのではないかと一瞬思ったが、仕事の緊張感で、そんなことを深くは考えなかった。
吉岡さんは、自分の体で砂漠の距離感を体験して、夕食の場で「昔の人は、歩いて歩いて、目的がよほどあって、覚悟があったんでしょうね」ともらす。
このドキュメンタリーは、面白いつくりで、幻の踊り子が出てくるイメージシーンが挿入され、一部ドラマ仕立てになっている。吉岡さん1人をカメラが追うシーンでは、旅人というより、突如俳優、吉岡秀隆が立ってるみたいな感じになるのは、さすがかな。やっぱりただ者ではない。
吉岡さんが、しゃべっている言葉は、台本とかにあったんじゃなくて、誰とはなく同行のスタッフに話しかけるという形をとっていて、そのまま自分の気持ちや現地の感想を、話しているっていう感じで、そこが、すごく良かった。
ホータンのバザールで、アイラードさんの知り合いのイミンさんに出会い、結婚式に招かれる。このウィグルの家族と交流を持つ場が、重要な見せ所になっている。どの程度打ち合わせがあったのかわからないのだけど、吉岡さんの立ち居振る舞いは、自然で気負いがない。無理がないのだ。よその国に行って、きちんと挨拶して、人の目を見て話しをする謙虚な態度と柔らかな物腰は、本当にジェントルマン。タレントさんが外国でなんかやるっていうのは、現地のコーディネーター泣かせだとよく聞く。だって、現地の事情も知らなくてワガママだから。
吉岡さんは、ドラマの役と違い、今回、ご自身の素の部分をさらけ出すのはとためらったそうだが、現地の方には、本当に礼節を知るって感じで接し、全身で感じようとする姿勢は、はからずも、私たちに、人柄の良さを見せてくれたように思う。
出されたものを何でもおいしいって言われてたけど、きっと口に合わないものもあったと思うよ。カッチイは、中国添乗のときは、カップラーメンとか持っていってた(笑)人間味が出せる方に出演してもらいたかったという製作者のキャスティングは、大当たりだったね。
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