VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

旭化成ホームズ、決算説明会

2008年05月09日 | 住宅業界
親会社である旭化成の決算発表(売上1兆6968億円・経常利益1205億円の増収減益)に続いて、
その住宅事業会社、旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)が決算説明会を行った。
(左、広報の岩本氏が司会進行。 波多野社長と森経営管理部長(兼事業企画室長)から発表)

売上3862億円(前年度比▲4.8%)営業利益214億円(同▲22.2%)、売上戸数は分譲含め13589戸(同▲9.5%)と
売上戸数の落ち方が他社より厳しめで、減収減益の決算となった。 

今回は昨年10月に発覚した、ニチアス問題に絡む仕様不備改修工事30億円を特別損失に計上した。
ただ、8月から2月の受注数は前年実績を上回る推移で、営業上の痛手は無いようである。

建築請負事業については、総合展示場の出展数を減らし「街かどヘーベルハウス」(既存住宅地内で建売りするモデルハウス)を推進し
2年間で東京中心に約100棟展示・分譲してきた実績を、20年度は200棟をに拡大し全国展開する。

低層専用住宅(2階建て単世帯)の平均単価は3049万円、建替え比率51%と悪くない数字であるが
鉄鋼使用量が他社より多いヘーベルハウスはコスト増も大きく(約40億円)、今後価格への転嫁がやむをえなくなる可能性も。

分譲事業ではマンション建替えで業界をリードし、アトラス国領など注目の物件も好調に進行しているようだが
物件の多かった前期比▲15.4%の245億円、今年度は38.8%増の340億円を見込んでいる。

関連会社の旭化成リフォームは、自社物件のみへの営業であるが売上284億円・営業利益27億円の増収増益。
ヘーベルハウスのストック住宅だけでも500億円規模まで売上は伸ばせるようだ(社長談)。

次期の業績予測は、売上4220億円(+9.3%)13980戸(+2.9%)・営業利益260億円(+21.5%)とV字回復を目標にする。





カナダのスーパーEハウス

2008年05月09日 | 住宅業界
カナダの省エネ・環境政策に基づいた基準をクリアした住宅をカナダ連邦政府が認定する『スーパーEハウス』。
洞爺湖サミットも迫る日本において、『スーパーEハウス』の普及を目指し
その日本における現状と新しいプロジェクトなどを紹介するプレス向けセミナーがカナダ大使館で開催された。

私は遅れて到着したので、各社のプレゼンテーションは終わり
以前、対談で御一緒した『スーパーEハウス』プログラムの国際プロジェクトマネージャーである
カナダ天然資源省の若林修氏が、質問に答えられているところだった。
 
日本では『スーパーEハウス』を建てる事ができる認定企業が約25社、現在約150棟が建設されているという事。
若林氏が担当されているスコットランドなどのヨーロッパと比べると日本は、まだまだ住宅における環境への取組みは緩いようである。

今回はセルコホーム仙台に続いて10日、神戸に『スーパーEハウス』モデルハウスをオープンし
(左、セルコホーム新本社長を挟んで)
 模型を手に土屋ツーバイホームの武藤部長
右上、7月にサミットに合わせて北海道で土屋ツーバイホームの「ネットゼロエネルギーハウス」がオープンする事がトピックス。
『スーパーEハウス』に地中熱ヒートポンプ、太陽光発電などを装備し、年間消費エネルギーを自給しようというものである。

セミナー後、カナダ産の食材を使ったランチが用意され、カナダ大使館の商務部梶田氏・Houlahan参事官のご挨拶で懇親が始まった。
 
 サーモンです

世界的な環境危機やエネルギー資源問題の中、日本人がこのまま贅沢をしていられる訳も無く
自動車のガソリン問題どころでない騒ぎに、家庭エネルギー問題がいつかやってくる。
住宅の省エネ創エネ化には投資が必要であるが、エネルギーコストの急激な上昇も有り得るので
税控除もある今、できる家庭は早く省エネ改修するべきである。 ハイブリッド車と違って、環境住宅は見えにくい所が普及の課題なんだよなぁ・・・・


住友林業、決算説明会

2008年05月09日 | 住宅業界
住友林業による2008年3月期の決算、業績説明会に参加。
 司会進行は広報の佐野さん 

住友林業の場合、近年は売上の事業構成が[木材・建材事業]が[住宅関連事業]より大きいのだが
08年度においては、[木材・建材事業]の落ち込み(売上前期比▲9.5%)が[住宅関連事業](同▲0.0%)より大きく
住宅需要低迷の影響をより大きく受けた結果、連結ベースで
売上8614億円(同▲5.5%)・経常利益122億円(▲37%)と減収減益に一転し厳しい決算となった。

矢野龍社長(左)から事業方針等の解説、市川経営企画部長から決算概要の説明。
 
木造在来戸建を中心とした注文住宅の受注棟数9301棟(前期比▲4.6%)、金額2954億円(同▲4.1%)は
棟数規模や工法は違うのだが、先述の三井ホームとよく似たマイナストレンド。 

ただ1棟単価が、在来工法の住友林業(3180万円)と2×4工法の三井ホーム(3580万円)では違うのと
分譲戸建の割合が少ない住友林業は、そこでの増収の規模が少なく、木材・建材事業のマイナスを埋める事ができなかった。

今後、企画型住宅のマイフォレスト・セレクトワン(@坪単価46万円~)など低価格商品も拡充したので
平均単価は下がる可能性もあるが、コスト改善を購買・流通など各所で行い生産性を上げて対応するという事。

矢野社長の来期市場予測は「着工戸数110万戸、持家33万戸」と双方、+約6%前後の回復とされたが
自社の来期戸建注文住宅の受注計画を、+1.4%と市場より渋くよまれていたのが腑に落ちない・・・
というより、やはり全体の市場予測は小さく出せないんだなぁと・・・業界関係者は皆、希望的観測な数字を出す訳です。

そんな100万戸割れが見え隠れする新築市場からストック市場へ各社転換する中で、
同じ住友と言えば、リフォーム市場で高成長した新築そっくりさん(住友不動産)が際立ってしまい
住友林業の子会社である住友林業ホームテックの売上266億円(前年+3%)は、新築そっくりさん事業の売上予測810億円(+8%前後)に見劣りする。
ちなみに、新築そっくりさんの08年3月期予測棟数は7100棟・・・・スゴイ事になっている。

住友林業のその他重点プロジェクトとしては、海外事業も期待するところであるが
シアトル、韓国は順調とのことだが、上海の戸建開発は凍結したようである。
不動産事業においては今後、静岡で開発した高齢者向けの住宅や施設を今後、強みにしてゆくとの事であった。

「住宅売上が年1万棟をベースに設計されていた収支モデルを、9000棟レベルでしっかり利益が出せる体質へ転換すると」
矢野社長の経営設計と堅めの来期受注予測はつながっていた。