営業中。台風の影響大きい地域、心配ですね。
開業前に若狭塗の職人さんを数人訪ねてヒアリングした時に、面白いネタを聞きました。
伝統工芸の職人としては4軒工房があり、模様の仕掛けの色の重ね順を見れば、どの家が塗ったか分かるというのです。
お互いに製造責任の明確化を相談してやっていたのが面白く感じたものです。
全部が全部ではないにしろ、例えば画像のお箸のように、量産する場合には、やる意味があります。
「前に買ったこれと同じものを」と言われたら「それはA工房ですよ、つなぎましょうか?」と伝えあう、協力してお客様への対応をする互助の精神。
裏を返すと、よその製品で文句を言われたら、私が作ったものではありませんと明言する証拠にもなったはず。
個人的に、この両面性を分かりながら互いに協力し合える関係性が、何だかスマートなやり方に思え、面白さを感じたものです。
当時訪ねた1軒は高齢の職人さん。息子さんが仕事を辞めて、跡継ぎ修行に戻ってきてくれることになったという話もしてくれました。
生きているうちに、「伝えてあげたいことがたくさんあるんです」と穏やかに話す言葉に、何だか愛を感じてウルッとしたのは内緒の秘密。
当店では津軽塗を販売しておりますが、津軽の唐塗もこんな模様。若狭の職人から技法が伝わり、津軽では津軽なりの改善進化の結果が現在の津軽塗になっていると聞いたことがあります。
自分が生まれて育った青森(津軽)と福井(越前、若狭)がこんなところでもご縁続きだったのかと知り、これも神様の引き合わせだったのかなと思ったものです。
若狭塗は金を蒔くのでお高いですが、見れば納得の美しさ。美術品の域です。お箸なら十分手が届く価格帯ですから、機会があれば、手に取って見ていただけたらと思います。
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