ちょっとした藪のような場所や、道路沿いにある生け垣などにはツタのように絡まっている植物がたくさん見られます。
カラスウリ、ヤブガラシ、カナムグラそしてイシミカワなど・・・
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「イシミカワ(石実皮)」です。
トゲトゲしていて近寄りがたいのですが、葉・花・実とすべてがとっても興味深い花なのです。
まず、葉の形です。
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きれいに整った三角形の葉、そして円形の葉の2種類になっています。
三角形の方は通常の葉で、葉柄が長くて互生して茎に付いています。
それに対して円形の葉は茎を包んで広がって、その上に花がまとまって載っています。
その様子は、ちょうど葉をお皿にしてその上に団子でも載せたようにも見えます。
円形の葉は托葉(たくよう)で、それは花などの付け根にある、小さな葉状の器官のこと。
イシミカワの托葉は他の植物に絡みつくのを助ける役割があるとのことでした。
次に不思議に思ったのは花のことです。
今まで花が開いているのを見たことがありません。
「今日こそは花が開いているかな?」と思いながらその場所に行くのですが、たくさん咲いているのに一つも開いた花が見つからないのです。
それなのにいつの間にか実に変わっていて、その時には薄い緑色の花弁が大きく膨らんで、中にタネを包んでいるのです。
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どのようにして花が開くのかとネットで画像を探してみたら、花の先端が少し開いているものが見つかりました。
でも、それもほんの少しだけ中が見える程度でした。
だからきっとこの花は開かないのかもしれません。
それでも授粉は虫媒花のようなのです。
きっと昆虫は閉じている花びらを無理に押し開いて中に入っていくのでしょうね。
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そして、花が実に変わる過程もとても興味深いのです。
授粉後、花は枯れて、その基のところに小さな果実ができ、それが徐々に大きくなり、最終的には約5mmくらいの大きさになります。
そして、実は色の変化が面白く、緑色から熟すにつれてピンク、赤紫色、青紫色、青色とさまざまな色に変わりながら、最後に黒っぽい青色へと変化していくのです。
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イシミカワでやっかいなのがトゲ、下向きなので結構キツいです。
他の植物に絡みつく時に滑り落ちないようにしっかりと固定するためなのでしょうけれど、ここまでキツくなくともいいのに、と思います。
学名:Persicaria perfoliata (L.) H.Gross
英名:Mile-a-minute weed
別名:アシガキ、カッパソウ
科名・属名:タデ科 イヌタデ属
原産地:日本、東アジア