一、とく儀、無宿忠次郎品々悪事致し、風聞不宜段乍弁、夫千代松悪事いたし
候者に候迚、同人病死後、忠次郎罷越候を其儘に致し置候て、同人の任申、
密通に及び、度々村内山林等え披連行密会いたし候段、後家之身分不慎之至、
又は忠次郎病気に附居、所々え差支申趣を以、同人弟同国、国定村友藏に
忠次郎を荷ひ参り候を、右は友蔵方え罷在候差図之由承り、同人忠次郎の
妾同様に成り、恩義積居候身分にて看病も不致、私方見送越候は不実の致方に付、
早々友蔵方見連戻り、まちえ可引渡旨申聞、忠次郎を差返し候後
同人儀急速快癒之義似覚束、右体之節御召捕御手配有之候而者逃るべき様無之、
御探索方御見逃貰度旨恵次江中沢山を以て御取締御出役道案内者えの送り金才覚の儀、
国定村清五郎より談事を請け候節、如何之沢に被存所候はば、不実之筋に可相成と
金子貸渡、猶ほ忠次郎、田部井村宇右衛門方に於て養生致し居政節も罷越、
看病いたし遣候始末不埓に付押込被仰付候。‘
つづく