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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

あんなゴミみたいに酔っ払っても神々しさを保つマッツ様が崇高だった『アナザーラウンド』

2021年09月04日 19時57分56秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:61/183
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
飲酒
酔っ払い

【あらすじ】
冴えない高校教師のマーティン(マッツ・ミケルセン)と3人の同僚は、
ノルウェー人の哲学者が提唱した
「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率がよくなり想像力がみなぎる」
という理論を証明するため、
実験をすることに。

朝から酒を飲み続け、
常に酔った状態を保つと授業も楽しくなり、
生き生きとするマーティンたち。
生徒たちとの関係も良好になり、
人生は良い方向に向かっていくと思われた。

しかし、実験が進むにつれて次第に制御がきかなくなり……。

【感想】
てっきり、酔って暴れるコメディかと思いきや。
意外にも真面目なヒューマンドラマ。
もちろん、笑えるシーンもあるんだけど。
ここは予告詐欺感は否めないかな(笑)
ただ、酒飲みや酔っ払うのが好きな人には向いてる映画かも。

血中アルコール濃度を0.05%に保つことで、
仕事や日常生活にどう影響が出るかを実験する4人のおっさんたち。
飲酒は勤務中のみと決めたため、
水筒にお酒を入れて、
職場である高校でも常に飲み続ける。
理性がゆるみ、
気も大きくなり、
人とコミュニケーションも取りやすくなる。
その結果、保護者からも歴史の授業のつまらなさを指摘されていた
マーティンのやり方は大きく変わり、
生徒の評判もうなぎ登り。

そこでマーティンたちは次なるステージへと進む。
0.05%とはいえ、反応は人によってまちまち。
ならば、「本人が適量と思う濃度」まで引き上げようと。
そこからがこの映画の本番。

以前にも増して、
酒の量やアルコール度数が増える。
すると、どうなるか。
バーで騒ぎ、
街を走りまわり、
もはや酩酊である。
マーティンなんか、
気がつけば道端で頭から血を出して寝ているからね(笑)

そこまでいくと家族に迷惑がかかる。
思わず本音が出てしまう。
せっかくよくなりかけていた家庭内不和が再発する。

「ええい、ままよ!」
と最後には濃度の上限を撤廃し、
限界に挑戦。
もう歩行すらままならない。
お店では商品にぶつかり、
釣りをしても海に落ちる。

そんな酔っ払いあるあるは、
個人的には共感度が高くて笑えるシーンだった。
しかし、そんなおふざけでは終わらない。
家族や生徒と向き合う真面目なシーンもある。
酔っ払うことで生じる
メリットとデメリットをうまく取り入れた映画だなと思った。

この映画、やはり注目すべきは
マーティンを演じたマッツ・ミケルセンだろう。
あんなに酔って、
ゴミのようになりながらも、
美しすぎる出で立ち。
こんなに綺麗に酔う男がいるのかと。
ラストで彼が踊り狂うシーンは最高だった。
元ダンサーというだけあて、
55歳とは思えぬキレのある動き。

ちなみに、僕はこの映画の冒頭とラストのシーンが一番好き。
デンマークって16歳からお酒買えるんだよね。
高校生たちの騒ぎっぷりがメチャクチャ楽しそうで。

湖レースっていう秀逸なゲームがあって。
詳しいルールはわからないんだけど、
チームの誰かが湖を1周する間に、
他のメンバーはビールケースを空けるんだよ。
とにかくハイペースに飲みまくるから、
みんなゲロ吐きまくり。
吐くとタイムに影響出るんだけど(笑)
ラストも卒業式だかなんだかで、
街中でビールかけみたいなの始めちゃって。

なんか、生まれて初めて酔っ払った夜のことを思い出した。
はるか昔、渋谷のセンター街を、、、(略)

いやー、久しぶりに酒飲みたくなる映画だわ、これ。

映画『アナザーラウンド』オフィシャルサイト

2021年9月3日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国ロードショー|マッツ・ミケルセン主演 本年度ア...

映画『アナザーラウンド』オフィシャルサイト

 

日本が生んだ盲目のダークヒーロー『座頭市物語』

2021年09月04日 14時16分32秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:10/13
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
時代劇
盲目
殺陣

【あらすじ】
その腕を見込まれ、座頭市(勝新太郎)は、
下総にある飯岡の助五郎一家に草鞋を脱いだ。

近くの溜池にフナ釣りに出かけた市は、
そこで平手造酒(天知茂)という浪人に出会う。
平手は助五郎と敵対する笹川の緊蔵一家の食客だった。
盲目にも関わらず、
微かな呼吸の乱れから自身の労咳の病を市に言い当てられ、
平手は驚く。

互いの剣の腕に興味を抱きつつ、
2人の間には静かな友情が芽生えるが、
その先には宿命の対決が待っていた―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1962年の日本映画。

初めて勝新太郎の映画を観た。
今の若い子には『ワンピース』の
藤虎のモデルと言った方が伝わりやすいかも。
なんとこの作品、シリーズが26個もあるのよ。
MCUよりも多い。。。
しかも、そのすべてに勝新太郎が出ているという。

座頭市って、
座頭(=江戸時代における盲人の階級の一つ)の市さんってことらしいね。
ずっと「座頭市」でひとつの名前かと思ってた。。。

さて、この映画は今から60年近く前の作品。
なんだけど、ストーリーもキャラクターも今観てもとても魅力的。

特に市のキャラクターはものすごくかっこいい。
目が見えないのに、
音や気配で相手の位置を察知し、
一瞬にして斬り伏せる。
それでいて、その力をひけらかすことなく、
謙虚に過ごしているんだ。
ジャンプ漫画の登場人物かって。
当時からこういうヒーロー像は描かれていたんだなと感慨深く感じる。

そもそも演じた勝新太郎の渋さがすごい。
当時30歳なんだけど、貫禄ありまくり。
今の俳優さんって、
若い人で渋みがある人いない気がする。
綺麗な顔した人ばかりで。

そんな市が友情を深めた相手、平手造酒。
彼もまた体に病を抱えているという役どころ。
無駄な殺生は好まぬ、謙虚な人格者。
だからこそ、この2人はお互いに
妙な親近感を覚えたのかもしれない。

しかし、2人がたまたま身を寄せたところが
敵対する陣営だったのが運の尽き。
それが思わぬ悲劇につながることに。
出会う場所が違えば、
いいライバルであり続けられたはず。

正直、アクション自体は少ない。
でも、目にも止まらぬ市の居合抜きは圧巻だね。
僕は時代劇にはあまり興味がないのだけど、
殺陣に関しては昔の映画の方が断然かっこいいと思う。
アクション映画は、
もはやハリウッド映画や韓国映画と
埋めることのできない差がついた印象はある。
だから、格闘や銃撃戦よりも、
こういう殺陣をもっと極めた方がいいのかなと思った。

ちなみに、勝新太郎の豪快な逸話は枚挙にいとまがないそうで。
今だったら炎上しそうなことも(笑)
でも、トラブルがあっても人情深い性格だから、
憎むに憎めないところもあったんだろうなー。
喉頭がん発表の記者会見で、
「タバコはやめる」と言った側から
タバコを吸ったというエピソードは好き。
こうありたい(笑)

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

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