壮大なコンサート映画のようだった『竜とそばかすの姫』

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位：75/140
　　　ストーリー：★★☆☆☆
　　キャラクター：★★★☆☆
　　　　　　映像：★★★★☆
　　　　　　音楽：★★★★☆
映画館で観るべき：★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
アニメ
バーチャル世界
歌
コンサート
細田守

【あらすじ】
自然豊かな高知の田舎に住む
17歳の女子高校生・内藤鈴は、
幼い頃に母を事故で亡くし、
父と2人暮らし。
母といっしょに歌うことが
何よりも大好きだったすずは、
その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。

曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、
親友に誘われ、
全世界で50億人以上が集う
インターネット上の仮想世界＜Ｕ(ユー)＞に参加することに。
＜U＞では、「As（アズ）」と呼ばれる自分の分身を作り、
まったく別の人生を生きることができる。
歌えないはずのすずだったが、
「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。
ベルの歌は瞬く間に話題となり、
歌姫として世界中の人気者になっていく。

数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。
突如、轟音と共にベルの前に現れたのは、
「竜」と呼ばれる謎の存在だった。
乱暴で傲慢な竜により、
コンサートは無茶苦茶に。
そんな竜が抱える大きな傷の秘密を
知りたいと近づくベル。
一方、竜もまた、
ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。

やがて世界中で巻き起こる、
竜の正体探し（アンベイル）。

＜U＞の秩序を乱すものとして、
正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。
＜U＞と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、
竜を2つの世界から排除しようという動きが加速する中、
ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。

【感想】
ちょっと期待しすぎたかなという印象。
映像も音楽も素敵だったけれど、
肝心のお話の部分がちょっとしっくり来なかったかなー。

今回の舞台は＜U＞という名の仮想空間で、
『サマーウォーズ』の＜OZ＞っぽさがある。
その世界観自体は夢があって、
ワクワクできそうな感じではあったんだけど、
いかんせん物語そのものにハマれなかった。
なんか、要素がバラバラでつながっていないというふうに感じてしまい。

あらすじを読むと、
鈴は母親といっしょに歌うことが好きと書いてあるけど、
映画を観る限りではそれがわからない。
確かに母親との楽しい思い出は描かれているものの、
それが歌うことだったかどうかってのは、
僕は判断できなかったかな。
だから、鈴の歌がうまいかどうかってのもわからず、
ベルの素晴らしい歌声とあんまりリンクしなかった。

まあ、仮想世界で歌えるようになって、
一躍スターになったってのはよしとしよう。
その後の竜との出会いなんだけど、
これがまた某ディズニー映画とまったく同じで（笑）
竜の城に入った瞬間、
そのレイアウトから「あれ、ここってもしや……」と、
ディズニー好きならピンとくると思う。
その後の竜とのやり取りも含め、
まんまあの映画で、
ここまでトレースするとはものすごいリスペクトだなって。
そういえば、ベルという名も、、、？（笑）

で、最終的には竜の正体がわかるんだけど、、、
これが一番もやっとしたところ（笑）
自分はもっと家族の絆とか友情とか
そういうのを想像していたんだよね、
過去の細田守監督の作品も踏まえて。
だから、別に想定と違ったのはいいんだけど、
あんまりいい方向での想定違いではなかったので、、、
拍子抜けというか、
感動が起きないというか。。。

他にも、鈴を取り巻く友人や知人との関係や、
彼女の甘酸っぱいロマンなんかもあるんだけど、
どれもメインストーリーとのつながりがなくて、
点はあるんだけど線でつながっていなかったのが、
あんまりピンとこなかったところかも。

あと、せっかくいい敵役になりそうだった
自警集団・ジャスティスのリーダーであるジャスティンも、
竜の正体を暴こうと躍起になる動機が、
ほぼ職務全う感からきているものだったので、
あまり魅力的な敵役に映らず。。。

ラストのコンサートシーンは、
画的に『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』や
『サマーウォーズ』を彷彿とさせるので、
好きな人は好きかもしれない。

総じて、映画というよりは、
鈴（ベル）の歌を楽しむための壮大なイベントっていう感じでした。

「竜とそばかすの姫」公式サイト

細田守監督渾身の最新作。「竜とそばかすの姫」2021年7月16日公開