【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:7/21
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【以下の要素が好きなら楽しめるかも】
ドキュメンタリー
伝記映画
サッカー
ディエゴ・マラドーナ
【あらすじ】
1984年、世界的な人気を誇るアルゼンチン出身のサッカー選手ディエゴ・マラドーナは、
熱狂的な観客が集うイタリア南部の弱小クラブSSCナポリに移籍する。
ピッチでは“神の手”“5人抜き”でメキシコW杯優勝、
“クラブ史上初”のセリエA優勝により、
スーパースターとして崇め立てられたかと思いきや、
プライベートではマフィアとの交際、
愛人とのゴシップ、
コカインでの逮捕により、
トラブルメーカーとして忌み嫌われてしまう。
やがて、サッカーを愛するピュアな“ディエゴ”、
マスコミを騒がせるダークな“マラドーナ”という、
相反する“二つの顔”が浮かび上がる……。
【感想】
普段まったくサッカーを観ない僕でもその名を知っているディエゴ・マラドーナ。
本作は1984年に彼がSSCナポリに移籍してから、
スキャンダルにまみれてサッカーから身を引かねばならなくなったところまでを描いた伝記映画だ。
サッカーのプレーそのものに関する話は少なく、
あくまでも彼の歩んできた軌跡に焦点を当てているので、
サッカーがわからなくても楽しめる。
むしろ、日頃サッカーに触れていない人の方が冷静に観れるかも。
熱狂的なサッカーファン、マラドーナファンの方が、
こみ上げてくるものはありそうだ。
マラドーナは下水や飲料水もないような貧しい村で生まれた。
5人姉弟の末っ子にして長男。
友達が遊んでいるおもちゃには興味がなく、
ひたすらボールと戯れる日々。
その後メキメキと頭角を表し、
15歳でクラブからアパートを提供され、
一家の大黒柱となっていた。
その後、彼がFCバルセロナからSSCナポリへ移籍した際、
ナポリのマフィア組織カモッラ一家と関係を持ったり、
度重なるコカインの使用によって、
彼の人生の歯車が狂い始めてしまう。
この映画を観て思ったのは、
マラドーナは若くして一気にスターまで登りつめたせいか、
いろいろ追いついていない印象を受けた。
あのペレも
「彼は素晴らしい選手だが、大きな責任を負う心の準備ができていない」
と言っていた。
そういうことも関係してか、
二重人格とまではいかないものの、
彼には"ディエゴ"と"マラドーナ"という2つの顔があったようだ。
不安定ながらも素直なディエゴ。
フットボールをビジネスと捉え、
メディアの要望に応えるマラドーナ。
だんだんマラドーナとして生きることの方が多くなっていったからこそ、
スキャンダルにまみれてしまったのだろう。
毎週日曜日に試合に出て、その後外食、からのコカインパーティー。
それが水曜日まで続くこともあったようで、
次の試合までにクスリを抜くといった生活を繰り返していたようだ。
家には妻子がいるにも関わらず。
しかし、彼の人々に与える影響は筆舌に尽くしがたいものがあった。
彼への悪口は神への冒涜に等しいと人々に言わしめ、
1986年のFIFAワールドカップの優勝や、
1988-89シーズンのUEFAリーグの優勝に導いた際の街の人々の熱気が凄まじい。
街全体がカオス。
渋谷のハロウィンが大人しく思えるぐらいの浮かれっぷり。
特にUEFAリーグ優勝のときは2ヶ月もお祭り騒ぎが続いたそうだ。
また、彼のプレー映像も観れるのは
サッカー好きにはたまらないのではなかろうか。
サッカー素人の僕が観ても、
ドリブルの速さと、
対戦相手とぶつかっても態勢を崩さないボディバランスの強さは印象的だった。
マラドーナは小柄で、
世界で活躍するスポーツ選手の中では決して体格に恵まれてはいなかったけれど、
その状況でこれだけの実力と名声を手にしているのだから、
伝説になって然るべきだろう。
本当はもっと早く公開するはずだったのが、
コロナのために延期してしまい、
その間にマラドーナが亡くなってしまったのは非常に残念でならない。
でも、サッカーファンはもちろんのこと、
サッカーがわからない人でも彼の波乱万丈な人生は楽しめると思うので、
興味があれば観て欲しい。
20世紀のサッカー史に名を残すスター選手の人生を知っておいて損はない。
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