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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

今まで観た認知症の映画で一番衝撃的だった『ファーザー』

2021年05月15日 00時00分59秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:2/87
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ホラー
サスペンス
認知症

【あらすじ】
ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)。
彼は記憶が薄れ始めていたものの、
娘のアン(オリヴィア・コールマン)が手配する介護人を拒否していた。

そんな中、アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられ、
ショックを受ける。

しかし、ここでひとつ疑問が浮かぶ。
もしそれが事実なら、
アンソニーの自宅に突然現れ、
アンと結婚して10年以上になると語る、
この見知らぬ男は誰だろうか?
なぜ、彼はここが自分とアンの家だと主張するのか?
ひょっとして財産を奪う気か?

そして、アンソニーのもう一人の娘、
最愛のルーシーはどこに消えたのか?

現実と幻想の境界が崩れていく中、
最後にアンソニーがたどり着いた〈真実〉とは――?

【感想】
あー。。。
ヤバい。。。
これは本当に観て欲しい。。。
アカデミー賞の作品賞、
これがよかったんじゃないかってぐらい衝撃的だった。。。
初見での衝撃だけで言えば、
現状僕の中で1位の『SNS-少女たちの10日間-』を凌ぐかもしれない。。。
とにかく内容がショックすぎた。。。

父親の認知症ってことで、
前クールにやっていたTBSのドラマ『俺の家の話』的な物語を想像していたんだけど、
そんな心温まる家族の話ではなかったよ。。。
過去の認知症を題材とした作品を
すべて観たわけではないんだけれど、
明らかに他の作品と一線を画すのではないかと思った。

認知症の作品って、
認知症になった主人公(またはヒロイン)が大切な人のことを忘れてしまう悲しさや、
彼らを取り巻く家族の絆に焦点が当たることが多くて、
どちらかと言えば「忘れられた側」に感情移入することが多かったんだよね。

でも、この作品は認知症にかかった本人に焦点を当て、
彼が直面している世界を如実に表しているのが、
これまでと大きく違うかなと感じた。
そして、その世界というのが、
もはやホラーやサスペンスなんだよ。

さっきまで話していた人がいない、
同じ人なのに自分と家族で見えている姿が違う、
同じことを繰り返すタイムループ要素など、
次の展開に進むたびに
「え?どういうこと?」
という謎に満ちた恐怖に襲われる。
この感覚はホラー映画やサスペンス映画を観たときと似た怖さがあった。

でも、それこそが認知症の人から見た世界なんだろう。
少なくともこの映画の中ではそう描かれている。
健康な人とは住んでいる“次元”が異なるんだよ。
見ている景色、
聞いている言葉、
流れている時間がまったくの別次元。
当然話が通じるわけがない。

そこから生まれるのは圧倒的孤独だ。
目の前に広がる世界は、
自分にしか知覚できない様相を呈しており、
誰かと共有することが不可能なのだ。
現実として確かに存在しているのに、
脳が正しく認知してくれない。
まるで、自分だけが違う世界に来たような、
その世界の住人は自分ひとりかのような孤独。

これは辛い。。。
泣いたもん。。。
孤独に苛まれたアンソニー・ホプキンスの演技に。

また、認知症の介護がとてつもない負担と疲弊を伴うことも痛感する。
違う世界に行き、
話がまったく通じない人の面倒を見るのは、
これほどまでに辛いのかというのが、
娘夫婦を見ているとよくわかる。
同じ経験をした人なら余計に
この映画に共感するところがあるだろう。

僕は死ぬそのときまで健康でいたいけれど、
認知症にならないとも限らない。
「忘れる」ということが、
まわりを悲しませるだけでなく、
自分も苦しむことになるのかもしれないということを、
この映画は教えてくれた。

ぜひ観て欲しい。
忘却から生まれる孤独を体験できる。

映画『ファーザー』オフィシャルサイト

老いによる思い出の喪失と、親子の揺れる絆を描く かつてない映像体験で心を揺さぶる今年最高の感動作

映画『ファーザー』オフィシャルサイト

 


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