2014年6月20日(金)
今日は、6月のエッセイの例会に出した、エッセイを・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「黒い画面」
夜、携帯電話で友人と話をしていると、急に、ピ~ピ~という音がしたと思ったら、
コトンと通話が切れた。いつも時刻を表示している外側の画面も、孫のゆ~の笑顔を映している
待ち受け画面も、黒くなってしまった。私の手の中で、友人との賑やかなおしゃべりツールは、
石のような物体になった。いったい何が起きたのか?友人だって、突然切れてびっくりしている
だろうと、私は固定電話でかけ直し、ふわふわとした気分も繋いで、今暫くおしゃべりを
楽しんだのだが、電話を終えると、さて、困った、携帯をどうしよう。
引越しを控え、いろいろな業者の連絡先を携帯のほうにしているから、急に使えなくなったら、
大変だ。引越しにも支障が出てくるかもしれない。いや、そういう具体的不便の外に、子供たちや、
友人たちや、さらには世の中から取り残されてしまったような心細さが湧いてくる。
こんなことになる前兆のようなものは、あった。二、三日くらい前からか、夜、枕元の充電器に
携帯をセットしても、充電中の赤いランプが点かなくなったのだ。だが、昼間になれば携帯は
使えるしと、油断していた。いろいろなボタンを押してみたけれど、携帯はピッと音を立てる事も
ない。反応が無くても充電器に乗せ、様子をみるしか出来なかった。
ベッドに入り、うとうとしていたら、閃いた!
以前、携帯の電池パックというものを景品で貰っていた。確か、携帯には電池が入っていて、
そのうち、・・一、二年とか言っていたっけ?・・切れたら交換と説明を受けた記憶が蘇る。
つまり、電池が切れたのかもしれない。
私は、ベッドから飛び出し、先日、居間の荷物を整理していたときに見かけた携帯の電池パックを
探し出し、交換してみた。それから充電器にセットすると、赤い充電中のランプが点いたではないか。
そういうことだったのかと、道が見つかって、ほっとした。まだ、時間を表示する画面も、
ゆ~の写真も復活していないけれど、
「一晩たったら、きっと元通りになるわ。引越しやリフォームの連絡が来ても、大丈夫」
と、自分を宥めながら、眠りについた。
目を覚まし、枕元の時計を見ると、四時だった。携帯の赤いランプは消えていて、画面も
黒いままだ。直らなかった……。しかたない、朝になったら、隣町の携帯ショップに持っていこう。
きっとすぐ使えるようにしてくれると思いながら、また、布団を被った。目を瞑っても、なんだか、
もやもやする。携帯のボタンの画面が頭に浮かぶ。その下のほうに、横に動かすスイッチが
あったような……。ほとんど使わないけれど、あれは、電源スイッチではなかったろうか?
もしかしたらと、起き上がって、薄暗い中、携帯のそのスイッチを右に押してみた。
すぐ、チャラ~ンと音がして、携帯の画面が明るくなった。ゆ~の写真も戻って来た。
私は電源を切っていたのか、それで……と、肯いている間に、今度は、チャンチャカチャンと
着メロの音がして、なんと昨夜の友人からメールが届いた。
「朝の四時から、いったい何事」と、メールを開くと、別に緊急な用事でもなく、
昨日の話の続きが書いてあった。なんだかなあと思いながら返信すると、すぐ、
彼女からも折り返しメールがあった。
「おはよう。あなたも、起きていたの?爽やかな季節になると、私は、こんな時間に起きて、
好きなことしているのよ」
「それはすごいね~。でも、私は眠いから、おやすみ」
朝ご飯の後、彼女から改めて電話があった。
「珍しく、朝の四時からメールが来るから、どうしたのかと思ったわ」と。
それは、私のセリフなのにと、よく聞くと、彼女のメールは昨夜出したものだそう。
あっ。私が電源を入れたので、即、昨夜のメールを受信したのだ。四時とメールに表示が
あったのは、送信時間ではなく、受信時間だった。朝四時の非常識メールは私のほうだったと、
やっと分かった。
それでも、携帯が生き返ってくれて、順調に生活が流れ出した気がする。
私は、蓋を開ければゆ~の笑顔があり、友人や子供たちの声が聞こえる携帯を握り締めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつの間にか、ケイタイが手離せなくなっているなあ・・。
おしゃべりツールさまさまです。(^^)
今日は、6月のエッセイの例会に出した、エッセイを・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「黒い画面」
夜、携帯電話で友人と話をしていると、急に、ピ~ピ~という音がしたと思ったら、
コトンと通話が切れた。いつも時刻を表示している外側の画面も、孫のゆ~の笑顔を映している
待ち受け画面も、黒くなってしまった。私の手の中で、友人との賑やかなおしゃべりツールは、
石のような物体になった。いったい何が起きたのか?友人だって、突然切れてびっくりしている
だろうと、私は固定電話でかけ直し、ふわふわとした気分も繋いで、今暫くおしゃべりを
楽しんだのだが、電話を終えると、さて、困った、携帯をどうしよう。
引越しを控え、いろいろな業者の連絡先を携帯のほうにしているから、急に使えなくなったら、
大変だ。引越しにも支障が出てくるかもしれない。いや、そういう具体的不便の外に、子供たちや、
友人たちや、さらには世の中から取り残されてしまったような心細さが湧いてくる。
こんなことになる前兆のようなものは、あった。二、三日くらい前からか、夜、枕元の充電器に
携帯をセットしても、充電中の赤いランプが点かなくなったのだ。だが、昼間になれば携帯は
使えるしと、油断していた。いろいろなボタンを押してみたけれど、携帯はピッと音を立てる事も
ない。反応が無くても充電器に乗せ、様子をみるしか出来なかった。
ベッドに入り、うとうとしていたら、閃いた!
以前、携帯の電池パックというものを景品で貰っていた。確か、携帯には電池が入っていて、
そのうち、・・一、二年とか言っていたっけ?・・切れたら交換と説明を受けた記憶が蘇る。
つまり、電池が切れたのかもしれない。
私は、ベッドから飛び出し、先日、居間の荷物を整理していたときに見かけた携帯の電池パックを
探し出し、交換してみた。それから充電器にセットすると、赤い充電中のランプが点いたではないか。
そういうことだったのかと、道が見つかって、ほっとした。まだ、時間を表示する画面も、
ゆ~の写真も復活していないけれど、
「一晩たったら、きっと元通りになるわ。引越しやリフォームの連絡が来ても、大丈夫」
と、自分を宥めながら、眠りについた。
目を覚まし、枕元の時計を見ると、四時だった。携帯の赤いランプは消えていて、画面も
黒いままだ。直らなかった……。しかたない、朝になったら、隣町の携帯ショップに持っていこう。
きっとすぐ使えるようにしてくれると思いながら、また、布団を被った。目を瞑っても、なんだか、
もやもやする。携帯のボタンの画面が頭に浮かぶ。その下のほうに、横に動かすスイッチが
あったような……。ほとんど使わないけれど、あれは、電源スイッチではなかったろうか?
もしかしたらと、起き上がって、薄暗い中、携帯のそのスイッチを右に押してみた。
すぐ、チャラ~ンと音がして、携帯の画面が明るくなった。ゆ~の写真も戻って来た。
私は電源を切っていたのか、それで……と、肯いている間に、今度は、チャンチャカチャンと
着メロの音がして、なんと昨夜の友人からメールが届いた。
「朝の四時から、いったい何事」と、メールを開くと、別に緊急な用事でもなく、
昨日の話の続きが書いてあった。なんだかなあと思いながら返信すると、すぐ、
彼女からも折り返しメールがあった。
「おはよう。あなたも、起きていたの?爽やかな季節になると、私は、こんな時間に起きて、
好きなことしているのよ」
「それはすごいね~。でも、私は眠いから、おやすみ」
朝ご飯の後、彼女から改めて電話があった。
「珍しく、朝の四時からメールが来るから、どうしたのかと思ったわ」と。
それは、私のセリフなのにと、よく聞くと、彼女のメールは昨夜出したものだそう。
あっ。私が電源を入れたので、即、昨夜のメールを受信したのだ。四時とメールに表示が
あったのは、送信時間ではなく、受信時間だった。朝四時の非常識メールは私のほうだったと、
やっと分かった。
それでも、携帯が生き返ってくれて、順調に生活が流れ出した気がする。
私は、蓋を開ければゆ~の笑顔があり、友人や子供たちの声が聞こえる携帯を握り締めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつの間にか、ケイタイが手離せなくなっているなあ・・。
おしゃべりツールさまさまです。(^^)