どうしても風に揺られる菜の花のことしか思い出せない別れ
28才のとても暑い夏、僕は一回り年上のとても純粋で美しくそして悲しい女性と、とにかくどこか遠くまで行こうと鈍行電車に乗って和歌山まで行った。
翌日、由良という駅から海が近いということを駅員に聞いて行ってみた。
本当に綺麗な白い砂浜と青空でお互いに子供に戻って、はしゃいでいたらその人のミュールが波に掠われて失くなった。
由良という駅は、駅の辺りに店は煙草屋が一軒しかない。
だから、僕はその人をおぶってその煙草屋さんに、履物は売っていないか聞いた。
すると、売ってないけどお父さんのをあげると言われ、僕はそのビーチサンダルを履き、その人には僕のスニーカーを履かせた。
僕達はお互いに、帰ろうと言いわなかったけれど、自然に足は家に向かった。
もちろん、その人には大きな子供、僕には小さな子供がいた。
けれども、そういったことが僕達を連れ戻したわけじゃない。
もっと大きなとても自然な力が働いた。
なぜなら、どちらとも結局最後まで帰ろうという言葉は一度も使わなかったから。
帰ってから僕達は何事もなかったように会い続けた。
僕は今でも言葉にならないあの何かを思うと、どこか神聖な気持ちと同時に胸が掻きむしられる。
翌日、由良という駅から海が近いということを駅員に聞いて行ってみた。
本当に綺麗な白い砂浜と青空でお互いに子供に戻って、はしゃいでいたらその人のミュールが波に掠われて失くなった。
由良という駅は、駅の辺りに店は煙草屋が一軒しかない。
だから、僕はその人をおぶってその煙草屋さんに、履物は売っていないか聞いた。
すると、売ってないけどお父さんのをあげると言われ、僕はそのビーチサンダルを履き、その人には僕のスニーカーを履かせた。
僕達はお互いに、帰ろうと言いわなかったけれど、自然に足は家に向かった。
もちろん、その人には大きな子供、僕には小さな子供がいた。
けれども、そういったことが僕達を連れ戻したわけじゃない。
もっと大きなとても自然な力が働いた。
なぜなら、どちらとも結局最後まで帰ろうという言葉は一度も使わなかったから。
帰ってから僕達は何事もなかったように会い続けた。
僕は今でも言葉にならないあの何かを思うと、どこか神聖な気持ちと同時に胸が掻きむしられる。