ぶらつくらずべりい

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河野裕子 森のやうに獣のやうに

2010-02-12 06:12:14 | クンストカンマー(美術収集室)
病めば恋ふ 夏の夕べを飛びゆきし燕のやさしき血汐の重さ

夏の夕べはどこか懐かしい感覚を呼び起こす。その景色に飛ぶ燕。そのやさしき血潮。その重たさ。それは懐かしさと共に生命を感じさせるものだろう。小さい燕にもその生命を躍動させるに充分な血潮がある。そのことと、病んでいる自分の対比が切ない。