ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

阪森郁代「ボーラといふ北風」味はひて知る

2012-03-27 05:59:44 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
もはや風を容(い)れることなしルーブルに忘れ来たりし折りたたみ傘

折りたたみ傘がもう風を容れない。なぜならルーブルに折りたたみ傘を取りに行くことはもうないだろうから。雨ではなく風というだけで一気に詩の階段を駆け上がる。
私は現実に理屈がつくけれど、そのこと自体が詩になっているこの一首のような短歌も好きだ。

短歌人4月号

2012-03-27 05:56:21 | 結社提出歌
台風の気圧は僕を裸にし君は激しい雨を降らせる

悲しいのにたくさん食べて食べたのに切なくなって少し笑った

気付いたらいつもこうなる僕のことみんな大きな蛾のごとく見る

原稿を太くて黒い文字達で一杯にして闇は広がる

言葉では駄目なんだろう傷つけた傷ほど僕は傷ついてない

さっきまで夕空にいた手のひらが今はわたしの首筋にいる