サイレントピアノ 斎藤典子 2010-06-13 04:48:17 | クンストカンマー(美術収集室) 牛乳のキャップを集めてなにせむと児に聞くこともなく過ごしをり 改めて思い直すと子に聞いておけば良かったと思うことがたくさんある。子は大人にとって意味のないことをする。しかし、子には子なりに意味がある。そうやって子は自分だけの世界を育てるのだろう。
サイレントピアノ 斎藤典子 2010-06-12 06:07:58 | クンストカンマー(美術収集室) バス停のま向かひにある楽器店のサイレントピアノが運ばるる見ゆ サイレントピアノは当然だがピアノだけれど音が鳴らない。それを歌集名にするのはとても作者にとって意味があると思う。そしてこの歌もただサイレントピアノが運ばれるだけの意味ではない。その光景を見た瞬間に自らと重ね合わせてしまったのだと思う。作者の歌はどれも静かだ。本当に言いたいことは言わない。しかし、言わないことで読み手は想像する。それは言ってしまうよりも心に届く。サイレントピアノも心の中で音は鳴り響いている。
サイレントピアノ 斎藤典子 2010-06-11 07:32:14 | クンストカンマー(美術収集室) 心臓がほしい精子がほしいああさむざむむざむざと五月雨の降る さむざむむざむざは五月雨より、心臓や精子が欲しい心情を表現している。心臓や精子を欲しい人間は切実である。「ああ」には深い情感がこもる。