ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

「春めく日のふえきて」弘井文子

2010-06-15 07:18:33 | クンストカンマー(美術収集室)
プルトップひけばぺこんと音がして天気予報が雪だとつげる

プルトップのぺこんという音と雪が降ることの因果関係は分からない。が、空気の乾燥とか気圧が関わっているのかもと妙に納得してしまった。最もまるで関係ないかも知れないが。多分、温かい缶コーヒーではないかとか、通勤の車の中だろうとか、いろいろ想像すると楽しい。それはこの歌が何気ない日常を上手くとらえているからだろう。

短歌人六月号 三島麻亜子

2010-06-14 06:35:10 | クンストカンマー(美術収集室)
鬱金香、記憶の空に伝へたき言葉ひとつを押し上げて咲く

鬱金香とは和名でチューリップのことである。初句で脳裏にチューリップが浮かぶ。そのイメージを残しつつ二句目以降を読むと、とても鮮やかな記憶の空がイメージ出来る。チューリップにはいくつかの言葉よりひとつの言葉がいい。とても大切なたったひとつの言葉が。