ぶらつくらずべりい

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阪森郁代「ボーラといふ北風」過去世

2012-05-27 08:25:44 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
アポリネールはルートヴィヒ二世を月王と呼んだ
バイエルンに月王ありてみづうみに奇妙に青い雪を降らせた

事実なのか。もしも月王がみづうみに青い雪を降らせたのなら見たい。青にはたくさんの青がある。青は他の色に比べ領域が広いのだ。この一首の青は奇妙だという。みづうみに、奇妙に、イメージが「に」によって拡散していく。私の想像の世界に降り続く青い雪。

短歌人5月号「犬が出てくる」藤原龍一郎、同人1

2012-05-26 06:00:39 | 短歌人誌より
やさしげな午前のひかり水に挿す昨日の花の傷を照らせば

午前のひかりがやさしげなのは、水に挿す昨日の花の傷を照らしているからだ。まるでひかりが傷を癒していくように。私の頭にふと花は女性ではないかと浮かんだ。根拠はないのだけれど、この一首の雰囲気がそう思わせたのだ。

阪森郁代「ボーラといふ北風」過去世

2012-05-25 06:16:14 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
微睡(まどろみ)はうなじに生(あ)れてしづかなる負債とならむ目覚めのころに

微睡みが続くと目覚めが悪くなる。あの頭が重くなる感覚だ。感覚を誰かに伝えようとする時、もどかしい思うことがよくある。何故なら言語化が難しのだ。この一首はよく分かる。そうなのだ、なんとなく頭が重かったのはうなじだったのだ。そして、微睡みが負債だったのだ。