ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け35年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散願います】「暗雲」立ちこめる沖縄にて(20221204)

2022年12月04日 | 考え直すために

 おはようございます。今朝の名護市西海岸は晴れてきました。せめてお天気ぐらい晴れてほしいものです。

 今朝の沖縄タイムスに「陸自沖縄部隊を増強」とあります。「またかよ」という衝撃が走ります。2011年から増強されてきた琉球諸島への軍隊の増強ー中国を念頭に置いた戦闘態勢を強化するこの一歩は、予想されていました。ただし、予想されていたことと、現実にプランニングされることは、全く違います。

 ご承知の通り琉球諸島は小さな島々から成り立つ島嶼部です。だから大きな軍隊の部隊を常駐させることは困難です。軍隊はただ兵隊と装備・弾薬を置けばなりたつものではないからです。陸上自衛隊第15旅団に「普通科連隊」をもう一個増設するといいますが、これは歩兵部隊です。市街地でも農村部でも、山岳地帯でも戦う部隊です。基本中の基本の部隊です。戦闘部隊は練度を維持向上するために日々訓練を行います。訓練をしない軍隊はありえません。因みに自衛隊も私の認識で言えば、軍隊そのものです。「自衛」と称して他国と交戦し、破壊し殺傷するのですから、「自衛隊」などと着飾ることはない。「普通科部隊」などと言い換えることもない。歩兵部隊。

 話が横道にそれました。要するに駐屯地を構えるだけでなく、どこでいかなる訓練をやるのかが問われるわけです。沖縄島には米軍の演習場があちこちにあり、陸自は既に中部演習場や北部演習場を使っています。つまり今度の陸自の増強案は、在沖米軍がグアム等に移転していくこととセットで進むものです。そうでないと部隊の数を倍増したとしても戦闘力は1.2倍(この数字に具体的な根拠はありません)ぐらいにしかなりません。日々使える演習場が求められるわけです。

 沖縄島の中を米軍と自衛隊が動き回ることになります。そしていざとなれば、日本中の部隊が琉球諸島にやってきて、島々を移動しながらの戦闘になりますから、移動手段の確保が不可欠です。船と飛行機。当然、揚陸艇と輸送機が求められ、海上自衛隊も航空自衛隊も増強されていきます。軍隊が増えると言うことは、私たち市民の自由な空間も押し込められていきます。

 ここで私が思い出すことは、私の初めての自衛隊との遭遇現場。1970年の夏でした。私が奥日光国立公園のレインジャー(当時は厚生省の管轄)のバイトをしていたときでした。ここで日々、ある集団のゴミを拾わされました。陸上自衛隊の歩兵部隊の夜間行軍訓練のゴミ(食べ跡)です。【註:自衛隊だとわかるように缶に書かれていました。】50年余り前、彼らは国立公園の中を歩き(普段の装備を纏い)、訓練していたのです。【註:奥日光の近くには陸上自衛隊宇都宮駐屯地があります。】ということは、沖縄でも演習場の外でもやるだろうということです。

 沖縄に陸上自衛隊が増強されれば、当然、水陸機動団(佐世保)や、即応機動連隊(熊本、善通寺等全国各地)などとの演習も日常化するでしょう。

 琉球諸島を戦場とする中国との戦争は、先ずミサイル戦です。「普通科部隊」は殆ど関係ない。通信隊、偵察隊、情報隊、情報保全隊は、動くでしょうが、ミサイルの応射です。これで大半が瓦礫と化し、那覇飛行場は機能不全に。もう目に見えています。ミサイルをどんなに増強したところで、沖縄の市民生活は守れない。日本の市民生活も守れない。軍拡競争が激しくなり、私たちの暮らしは益々貧しくなり発想も貧しくなる。

 どちらが攻撃しても、反撃される。軍隊は逃げても、私たちの市民生活は逃げ場がない。77年前に自決に追い込まれた先人のことを思えば、逃げ場は、「死地」しかなかったのです。これが狭い場所で、国家に包摂された戦闘で起きることです。

 これは愚問ですが、あれだけデカイ国である中国と戦って日本が勝てますか? 米国との共闘だとしても米国は地球の裏側が本国です。今やっているロシヤとウクライナ戦争でも米国は直接手立てを講じず、軍事支援のみ。高みの見物ですよ。軍事産業のみが儲かる仕組み。

 冷静に考えれば、もしも米中が戦えば、どうなるか? 核戦争になるでしょう。中国が日本を叩くのは核兵器は不要です。日本の原発等を潰せばいいのです。九州・四国・中国・北陸・東海・福島・下北半島・泊(北海道)。核兵器は米国に投入する。米中の軍事・経済・政治の大半は崩壊します。まして、日本は…。だとすれば、米国は日本を煽って中国と対抗させ、疑似戦争状態を作らせ、その隙に米国の経済権益を増強する。

 私は、ちょっと考えただけでもぞっとします。皆さんは、こうしたリアルを考えているんですか? いないでしょう。いないで、やれやれとか言うのは余りに無責任。

 しかしながらこの国は、防衛省はこう言っています。「仮定の話には、答えられない」と。中国との戦争は仮定の話。15旅団増強も仮定の話。全ては仮定ですが、その仮定の上に軍備を増強し、戦略・戦術を組む無責任。私たちが突っ込めば、特定秘密法違反だとやってくる。既に私たちは、黒雲が立ちこめている世界に生きている。ただの黒雲は、雨か雷雨どまりですが、この「黒雲」はミサイルや核兵器、特定秘密、重要土地規制等々、差別、同調、「死地」をもたらす悪魔の「黒雲」です。

 私は15旅団の増強に反対します。軍備増強に反対します。平和を求めます。

 これはお花畑の議論ではない。余談ですが、お花畑とは高山の厳しい環境下で咲き誇る植物群落です。低温、風雪に耐えて咲き誇っているのです。こうした植物群落に敬意を感じている人は、「お花畑」だと揶揄することはしないでしょう。現実を知らずにスマホか何かで揶揄している。奥日光の戦場ヶ原などで、部隊のゴミを丸ごと捨て、植物群落を荒らしている自衛隊を私は許さないことと、リアルな戦争をゆるさないことは、私にとって、ひとつながりです。

 平和を求めることは唯我独尊では不可能です。おたがいの言い分があり、何よりも人々の生きるという生存権がかかっています。国家が軍隊がでしゃばる国を私は認めません。この国の過去の過ちをしっかりと踏まえ直しましょう。主権者は私たちだと確信していくために私たちは、何ができるのかを考えましょう。まだ希望を捨てたくありません。

 心ある市民の皆さん。今踏み潰されそうな沖縄ですが、全国の市民の皆さんにも同じ重圧がかかっていきます。平時においては徐々にですが、有事になれば、瞬時にそうなります。戦争がおきてからでは、遅すぎます。(2022年12月4日)

 



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