ガマフヤーの具志堅隆松さんが、コロナ禍の東京に乗り込んだ。政府主催の全国戦没者追悼式に合わせた取り組みだ。この予定は6月23日の沖縄県の平和祈念式典に合わせたハンストの時に計画が公表されていた。そりゃ、いくらあの戦争の遺族が集まるからと言って、本気でやるのかと、私は心配していた。無事に終了したからよかったが、ヒヤヒヤ。
2021年5月15日糸満市魂魄の塔の前で語る具志堅隆松さん。魂魄の塔は、沖縄戦であちこちに散らばっていた遺体を地元の方々が回収し、祀った無縁仏。
ともかく、沖縄島は、特に南部は、多くの沖縄戦で殺された人たちの遺骨がまだ残置されている。それを詳細を調べもせずに、この国は新基地建設の埋め立て土砂として使い、遺骨を沈めようとしている。具志堅さんは、これを「非人道的だ」と告発している。今回の彼らの行動は、8月14日ー15日のいわば本丸での取り組みだ。確かに決定的な日時と場所であり、非の打ち所がない。それだけに様々な妨害が予想された。武道館や靖国神社に現れる戦没者遺族は、怪訝な顔をして通り過ぎるだけではなかったのか。むろんこの国の戦没者遺族にもこの国の歴史を怪訝に思う人も居るだろう。
2021年6月23日、沖縄平和祈念公園でハンスト中に、戦死者の遺骨を遺族の下に返したい、せめて故郷の地に返したいと熱く語る具志堅隆松さん。
詳細については、後日聞いてみるしかないが、8月15日夜のチューズ・ライフ・プロジェクトに出てきた具志堅さんの言動を見ている限り、いつものようにおちついていた。そこそこの結果を得たのかも知れない。
この番組の中で、具志堅さんや高橋哲也(哲学者)さんが言っていたことだが、日本政府はかっての敵である米軍のための基地建設に、沖縄戦の戦死者の遺骨を沈めていいのかと問う。かっての敵は今や味方どころか、絶対的な盟主。歴史の皮肉かも知れないが、実に奇妙なのだ。
そうか式典やら、靖国神社やら、集団から解きほどき、一人一人の自由な道を拓くことが重要なのだなと、思う。