ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け35年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散願います】変更承認申請書への意見書(20200928)

2020年09月28日 | 辺野古・大浦湾
辺野古新基地建設事業・公有水面埋立変更承認申請に係る意見書

 沖縄県知事 玉城デニー様
                                   2020年9月27日   
提出者    氏 名 山本 英夫
 
【利害関係の内容】
私は、辺野古・大浦湾に新基地建設の動きが表面化した1997年以来強い関心を持ち続けてきました。特に2013年10月以降名護市民となり、日々現地の記録を撮り続けているフォトグラファー(自然写真・報道写真)です。
また、沖縄が基地化されて75年或いは76年が経ち、このことに注目してきた一人です。その中で日本政府が言い出してきた「島嶼防衛」という事態に驚愕させられてきました。「島嶼防衛」は沖縄を再び戦場とする事を前提としており、この問題と本件埋立て変更承認申請を切り離せないと、私は考えています。このことは沖縄の住民となって8年を迎える中で、益々看過できなくなっています。
 納税者の一人としても、国策のための大いなる無駄遣いに呆れかえっています。                                 【意見】
沖縄県知事は、今回の公有水面埋立変更承認申請を不承認としてください。
【理由】 
(はじめに)私は沖縄防衛局から出された「埋立地用途変更 設計概要変更承認申請書」を読みました。たった20頁に過ぎないことに驚きを禁じ得ませんでした。論点を矮小化し回避するための姑息な文書です。軟弱地盤に突き当たり、大浦湾側から予定通りに着工できなくなったにもかかわらず、さもあたりまえかの顔をして辺野古側から工事を始めました。本件変更申請書は、沖縄県との協議を無視したことに一切触れず、既成事実を積み上げようとしています。断じて許されないことです。
 以下何点かについて記したいと思います。

論点①―申請書の中で私が一番興味深く思った点は、「米軍の要望」(p2)、「米軍から斜路の向きについて要望があった」(p15)のくだりです。
 これは米軍基地の建設ですから当然でありますが、沖縄防衛局自身が「米軍との要望」として意見交換しているという事実を認めているのです。「繋船機能付岸壁が240m」に縮小されたこともですが、この問題は重大です。
 貴職もご賢察の通り、米軍は軟弱地盤の上に果たして使用に耐える能力をもった飛行場ができるのか懸念しているはずです。米軍が最重点で要望したいことはこの一点に尽きるはずです。できない暁には、日本政府にペナルティをかけるとか、賠償金に言及していないはずがありません。飛行場の機能が使えないままでは、「普天間代替施設」たりえないことは、言うまでもありません。そもそも辺野古飛行場の実質の長さは1500mであり、2800mある普天間基地機能の一部しか代替できないのです。その滑走路に傾斜が生じたり、不同沈下が起きたら、普天間基地の返還は全くあり得ないことになります。結果が出るのは早くとも15年以上先のことになり、日米政府共に今の担当者はいなくなるでしょう。だからこそ、マル秘の書類が残されるはずです。
 この一点からしても沖縄の負担軽減は大嘘だと分かるはずです。

論点②―上記の件に絡んで繋船機能付護岸が短くなる理由を問い詰めて下さい。270mが240mの件です。以下は私の推察です。全長250mの強襲揚陸艦アメリカにはドックがついていません。だからここに寄港する必要性がないのです。従前通りホワイトビーチに停泊します。ここに寄港するのはドック型揚陸艦等となります。こちらは全長200mほどです(ニューオーリンズは208m)。
 また弾薬補給艦や給油艦も同規模です。だとするとこの240mで過不足ないのです。ここには辺野古弾薬庫があり、危険物を満載した艦船が大浦湾のリーフの中に入ってくるのです。大浦湾の中は浅場と深場が交錯しており、タグボートがつくにしても危険と隣り合わせとなります。去る7月に日本のタンカーがモーリシャス島の珊瑚礁の海で起こした座礁事故―原油等の大量の流失・環境汚染を他人事だと思うことは、私はできません。
 米軍等の航行のために近隣住民の安全が守られないとしたら、どうなるのでしょうか。軍事機密だからとひた隠しにする態度を貴職も許せないことと存じます。

論点③―軟弱地盤については多くの方々が指摘していると思います。私が指摘するには及ばないでしょう。ただし、ボーリング調査等の結果を伏せ、識者からの疑問にも答えない態度に、沖縄防衛局の本音がのぞいていると、私は考えます。彼等は何故こうまでも不都合なことを隠したがるのでしょうか。まして「震度1で護岸が崩壊する」との指摘や活断層があるとの指摘、N―27ポイントの海底下深くまである軟弱地盤(マイナス90m)の問題などの「弱点」は大地震等が起きたとしたら相互に影響し合いかねず、大規模な災害を招きかねません。
 こうしたことを無視する沖縄防衛局は住民の安全を考慮しないと言っているに等しいでしょう。   

論点④―次に環境への影響です。添付図書の「04」が環境アセスに絡む諸項目です。一口に言えば、「変更したとしても環境への影響はない」と断じていますが、どうなのでしょうか。幾つかの例を出します。ジュゴンについて彼等の調査は潜水調査でも上空からの調査でも、埋め立て工事をやっている最中でやっています。「いない」と記録したいのかも知れません。ジュゴンは敏感な動物であり、海中で一寸した音にも反応し、逃げていく、内湾に入ってこないと言われています。これを追い出すような調査をして「居ませんでした」では済まされません。2020年2月3月などの鳴き音調査で、工事が無かった日に限り記録が続いたのです。工事を中止し、精確な調査を実施するべきです。不存在を前提にしたような「調査」は科学的な調査とは言いがたいものです。
 またエリグロアジサシなどの渡り鳥についての項目もありますが、辺野古側の埋め立て地に於いて(1工区)、沖縄防衛局は、2018年6月にアジサシ類が利用していた岩に緑色のネットを張ってしまい、エリグロアジサシ等がよりつけなくしてしまい、繁殖の場と可能性を奪いました。追い出して、保護したという言質は、あからさまに矛盾しています。こうした手法が添付図書のありとあらゆるところに出てきます。
 以上の如く動物たちの生態と行動に留意した審査が求められます。

論点⑤―自然環境は各項目に分けては、評価できない(添付図書2章の各項目)。また第3章の「環境保全措置」を読んでもこの懸念は消えることがありません。具体的に言及します。2018年に仕切られた辺野古側1工区から3工区において海に巨大な壁ができました。辺野古沖の南方に約600m(西端)、辺野古崎側(東側)に200m、東西に約1000mが囲われたのです。従前の水路は西端で1250m、辺野古崎側で700mの流路がありましたので、西端で650m、辺野古崎側で500mの流れに狭くされてしまいました。要するに幅が狭くなったわけですから流速が速くなります。その上決定的に異なるのは、従前であれば、汀に波は打ち上げられ、奥に流れたり、砂に浸透していきます。これがコンクリートのブロックに阻まれているのです。テトラポットが置かれて以降、反動はストレートではなくなりましたが、渦を巻いている可能性が高いです。論より証拠、従前では冬の風物詩であった、カサノリ、フデノホ、フクロノリや海草なども波が強かった翌日などに、年中、渚に漂着するようになっています。
論点⑥―大浦湾側では、軟弱地盤の改良工事が大規模に行われ、囲い込む前に埋立てを始めるなど、到底汚濁防止膜などでは防ぎようのない水質汚染が起きるでしょう。生物にとっては足下がかき回され、踏み固められ、崩されるのです。これを机上の計算で大丈夫と言われても、生きている海を知っている人ならば、問題ないなどといえるはずがありません。
 論点⑤、論点⑥共に現場を観察したり、地元の関係者の声を聞いて、判断を深めて下さい。

補足:米日政府にとって、辺野古・大浦湾に於ける新基地建設は、単体で考えていることではありません。この意見書を超えた内容になってしまいますが、「新冷戦」を踏まえた新たな動きに括られていくことは火を見るよりも明らかです。沖縄島でいえば、嘉手納・普天間・伊江島の飛行場、ホワイトビーチ・那覇軍港から浦添新軍港、本部港(民間港だが)、辺野古・大浦湾の新港、などが一連であり、米軍と自衛隊の共同軍化は、急速に進みつつあります。与那国島、石垣島、宮古島、奄美大島、馬毛島から九州の基地群に繋がります。
 基地の島沖縄を脱するうまんちゅの努力が求められているのが今だと考えます。


             


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