2024年3月24日の沖縄タイムスの報道から。やんばるの東村で有名な観光資源「ツツジ祭」(2024年3月1日~20日)で、米国海兵隊第3遠征軍軍楽隊が演奏会を開催していたのだ。
記事を読むと、これに至る経緯は、こういうことらしい。高江の村道などで米軍車両などの事故が相次いでおり、村が又吉一樹副村長の就任挨拶もかねて米軍北部訓練場(高江区)を訪ねた際に米軍から「軍楽隊」出演の提案があったそうだ。ご挨拶と、ご注意に出向いたはずが、米軍側から逆提案があリ、それを受けいれたのだ。自衛隊では軍楽隊を「音楽隊」と称しており、軍民変わらずのソフトイメージを打ち出しているのだが、軍楽隊の本旨は、軍隊の志気を高め、国家・指揮官の下に団結させ、軍事作戦(殺戮)を激励し、送り出すものだ。市民を意識した行進やこうした音楽ショーでは、みんなが知っている曲も取り入れて行なわれているが、宣撫音楽工作隊なのだ。
高江のある東村は、北部訓練場を巡って2016年を前後して激しい闘いが行なわれたところだ。殆ど使われていなかった敷地約半分を返すかわりに、ヘリパッド5カ所を高江周辺に無理矢理造られたのだ。また新たな上陸演習のための海域と侵攻ルートも造られた。今では米軍のみならず自衛隊も使っている演習場となっている。日夜海兵隊員等が戦闘訓練を繰り返しており、オスプレイが飛び交い、軍用車両が行き来しており、県道などでも事故も起きている。
また返還地は、米軍が廃棄した銃弾などの危険物を含む廃棄物が処理されないまま残置されている。これは日米地位協定に拠り、返還後の処理について、原状回帰を求めておらず、やりっぱなしを認めているからだ。日本政府は、米軍の下請けであり、「イエッさー」と応えるだけの上、沖縄防衛局はそうした荒廃をド無視してきたのだ。
こうした事態に対し、蝶類研究者の宮城秋乃さんは、ひとり立ち向かい、廃棄物の処理なくして、ヤンバルの森が世界自然遺産とされていく矛盾を凝視し、告発してきた。今回も3月16日に抗議の声を大胆にあげたようだ。
村議会で追及した伊佐真次さんは「音楽隊と言っても軍隊に変わりがない。平和な祭に軍事色を出すのは許されない」と喝破している。音楽というものも、誰が、誰に、どこで行なうのかで、意味が異なってくる。様々な矛盾を受け入れろという宣撫工作だから反対するばかりか、軍楽隊の「音楽性」批判も成すべきだと私は考えている。「行進曲」が組織する団結の先に戦場が待っているのだ。私達は懐柔されない耳をもちたいものだ。
因みに、今、YouTubeで何本か彼らの曲を聴いた。やたらに編曲してあり、「行進曲」が指し示すモノをごまかしているとしか思えない代物だった。戦争は、飾り付ければ美しくなるものではない。