当地、辺野古・大浦湾に新基地建設の実現性が遠ざかる中で、ビッグニュースが飛び込んできた。2018年3月に新編された水陸機動団(長崎県佐世保市相浦など)の増強計画があるわけだが、この予定地が辺野古・大浦湾だった。それが軟弱地盤のために怪しくなってしまい、いつできるかの目処が危ぶまれている。18年3月に水陸機動連隊が2個連隊できたが、3つめの予定地が、突然、浜大樹とでて、私は驚かされた。ウソー!
ウソーというのは、①「島嶼防衛」ということで、対中最前線の琉球諸島や佐世保じゃなかったのか? それが真逆の北海道だって。結局、政府・防衛省にとって、どこでもいいんだ。陸自部隊を置くことができれば。
②私にとって、浜大樹は旧知の場所だ。私は、2013年に沖縄に越して、もう広島以東は行かないと決めていた(講演を除く)。お金ないし。しかし「島嶼防衛」にこだわりだして9年、そうもいかないと思い始めていた。だから昨年は青森・三沢まで遠出した。それにしてもだ。
②は個人的な感慨だが、こちらから説明する。浜大樹を知っている人は稀だろう。先ず場所から。襟裳岬と釧路の間で、帯広の南。近くには晩成温泉があり、鮭が産卵する川が多い。恐竜の遺跡も発掘されている。自衛隊の上陸演習場がある。
私は90年代後半に何度か、陸上自衛隊の北方機動演習を追いかける取材で、北海道に渡った。浜大樹に上陸する自衛隊を見て、自衛隊も軍隊だと実感させていただいた曰く付きの場所だ。
確かに、浜だから上陸演習には格好の場だ。水陸両用装甲車もバッチリ使える。北海道だから自衛隊への支持も高いだろう。土地があるんだから、簡単に造れるだろう。
2020年2月9日の産経新聞がこう報じている。「防衛省が陸上自衛隊の離島奪還部隊『水陸機動団』について、北海道の陸自駐屯地への新設を検討していることが分かった。長崎県佐世保市の相浦駐屯地に次ぐ2カ所目の配置となる。規模は600人程度で令和5年度末までに立ち上げる方針。『日本版海兵隊』と言われる精鋭部隊を増強し、中国公船の領海侵入が続く尖閣諸島(沖縄県石垣市)など南西諸島の防衛強化を図る」そうだ。
沖縄で検討していたが、米軍基地が多く、反発が強く難しいと、しおらしい。かたや、普天間代替地は辺野古しかないと断言していたのに、どうしたのだ。軟弱地盤に阻まれてできそうにないから、ひとまずここなのか、半永久的に浜大樹なのか?
①これまで、安倍政権・防衛省は地の利を唱えていたはずだが、この変わり身は何だろう。2019-23の中期防にこうある。「機動・展開能力」の項に「機動師団・機動旅団に加え、1個水陸機動連隊の新編等(引用者註:浜大樹に作る部隊)により強化された水陸機動団が、艦艇と連携した活動や各種の訓練・演習といった平素からの常時継続的な機動を行う。また、引き続き、南西地域の島嶼部に初動を担任する警備部隊の新編等を行うとともに、島嶼部への迅速な部隊展開にむけた機動展開訓練を実施する」と。
私が以前から指摘していたことだが、どんなに強力な部隊をもったとしても、輸送能力と兵站能力が備わっていなければ、ただの絵に描いた餅に過ぎない。それをさらに2500kmから3000kmも遠くに新たな部隊を置けば、このネックが増すばかりだ。どうやって補うつもりか。人員と機材を別に送るつもりならばともかく、一体化しなければ戦力にならないのであって、現行の航空、艦船での輸送能力は著しく不足している。現状を大胆に増強できない限り、部隊はあっても役に立たないハリボテとなる。
因みに現行の自衛隊の大型輸送艦は3隻のみであり、これから空母化を進める予定が2隻、あとは民間のフェリーを借り上げる。この態勢で佐世保からと浜大樹からの移動が可能だとは思えない。いよいよ強襲揚陸艦・ドック型揚陸艦をもつつもりなのだろう。
否、軍事費を雪だるま式に増やさない限り、ハリボテ自衛隊なり、そんなお金があるならば、人々の生活のために回すべきだ。こうなるためには、日本という国が米国の属国から自律できない限り不可能であろう。
③補足:「島嶼防衛」ならば、日本の先っぽだから自分には無関係と思っている人に問いたい。有事となれば日本全国から部隊が移動していく。沖縄から北海道まで空白地帯はなくなる。いつのまにか、あなたが住んでいる場も巻き込まれていくのだ。
【重要な追記】
●この産経の報道は大嘘でした。水陸機動団の第3連隊は、熊本県になるようです。きちんと確かめて、改めて投稿します。(ヤマヒデー2024年2月8日)