2024年2月28日(水)
私は昨日夕方、うるま市石川にある東山(あがりやま)ゴルフ場跡地周辺をざっくりみてきた。ここに防衛省が、昨年末から(表面化)ここに演習場を造る動きを示している。場所は、うるま市北側の石川。国道329号線(石川インター近く)、沖縄高速の南北に住宅街が広がっている。高速の北側も新興住宅街となっているのだが、国はその北隣に陸上自衛隊の約20haの演習場を造ろうとしている。
地域住民はこの住宅街に自衛隊の演習場かよと反対の声を広げてきた。特に空砲を使う、ヘリを使うと防衛省がいいだしていたので、危機感が高まったであろう。2月11日の防衛省による住民(東山1丁目、2丁目住民限定)説明会に、280名が参加し、反対の声が沸騰する中で、空砲等を使わない、ヘリは災害などの事態に限って使うと防衛省は大幅に譲歩の姿勢を示した。ところが撤回しようとしていない。ここで何をする計画なのか、出入りのルートすら、見解を明らかにしていない。
住民の反対は広がり、うるま市石川在住の自民党元県議・市議の有志までが反対の声をあげ始めた。そこに2月27日、開催中の沖縄県議会で、県議会「沖縄・自民」島袋大会派長は「会派として整備計画について白紙撤回を強く求める」と表明した。また仲田弘毅県議も「白紙撤回しかない。地域に根ざした自衛隊活動ができることを心から願う」と記者団に説明したようだ。沖縄・自民党は「地域の合意」を掲げてきたが、強まる地元の反対意見を受け、「白紙撤回」に踏み込んだのだ。
しかし政府防衛省は、白紙撤回を否定している。27日の林芳正官房長官は、記者会見で「防衛省として計画を白紙にする考えはない」とし、「住民生活との関係を重視するという観点から取得後の土地利用について更に検討を行なう」と述べている。
また沖縄に訪問中だった木原稔防衛大臣は、2度の沖縄県庁内での記者会見で「土地利用について再検討する」と繰り返しただけだった。土地の取得自体について「取得した土地について、これから幅を広げて考えていきたい」と語り、撤回の意思はサラサラないようだ。
ただ防衛省の報道官がこう語っている(24年2月27日16:00~16:07)。「今後、15旅団が師団化されることに伴いまして、例えば沖縄本島におけます(ママ)訓練、あるいは物資の集積等、様々な土地利用が発生すると、このことは事実としてはあるというふうに私どもは認識しています(後略)」とあり、これは注目に値する。
①第15旅団が第15師団に増強されるに当たってのことであり、対中シフトであることは言うまでもない。狙いは中国との戦争あるいは、中国への威嚇の強化にほかならない。緊張状態を高めていく政治・軍事プレゼンスの一環というほかにない。
➁物資の集積に言及していることは、これまでなかったのではないか。軍事物資の集積地だとすれば、金武湾側に置く意味があるかもしれない。防衛省は、通常は中城湾港から搬入してきたが、予備の意味合いはありうるだろう。港は米軍提供施設である天願桟橋だろう(南に7,8km)。ただこうなると、現場は緩斜面であり、整地から舗装、倉庫建設などの整備が必要となるはずだ。
いづれにしても政府防衛省がここに固執しているのは訳があるはずだ。以下は、私の想像だが、キャンプ・ハンセン演習場、ブルービーチ演習場、浮原島演習場に近いことがあるだろう。キャンプハンセンまで東へ5,6km。ブルービーチ演習場まで東に10km余り。浮原島演習場まで南東に22km。また陸自勝連分屯地(対空ミサイル部隊。対艦ミサイル部隊もこの3月に新編される計画だ)まで南南東に15,6km。陸自白川分屯地(対空ミサイル隊)の訓練場まで南西に約6km。そして空自の恩納分屯基地の通信所まで北に600mほどだ。
こう考えると、基地・演習場を股に掛けて、通信訓練、対空ミサイルや対艦ミサイルの通信機材、レーダー機材(移動式)などを設置し、発射展開訓練を行なう可能性が高いと私はみている。対艦ミサイルという攻撃能力が増していく中で、自ずから防御能力を上げていくことになる。沖縄で大規模演習場を望むことは物理的に不可能だ。狭い土地だからこそ、やる側のエグい「工夫」が行なわれていくかもしれないのだ。
一度、国に土地を買収されたら、どう使うかなど、国の勝手になる(「安全保障は国の専権事項」)。より秘密裏に、より彼らの都合上柔軟な展開をすることは、火を見るより明らかだ。お金で住民の安全と健康な暮らしを買うことはできない。自民党沖縄県連にも、私達は「地域に根ざした利用」が沖縄の危険を誘発することがないように、釘をさしていかなければなるまい。6月の県議選まで等という時間限定はありえない。