冒頭に、ひとつ最近作ったカテゴリー「キャンプ・ハンセンと嘉手納基地の狭間」の所以を明らかにしておきたい。
昨年以来私は、当ブログのカテゴリーに、基地(周辺)ごとのカテゴリーを増やしてきた。その方が見やすいだろうと判断した。この「キャンプ・ハンセンと嘉手納基地の狭間で」もその一環だ。この領域は、これまで殆ど基地がなかったところだ。防衛省が15旅団を15師団に拡大すると言っており、新たな用地が必要だろうことは容易に知れることだから、事前チェックを進めるために行なった。
沖縄島、まして琉球諸島の島々は、狭いし、細長く、基地として演習場として使いにくい。そこに敢えて、日本政府は軍隊(自衛隊)を増強するおぞましさ。そもそも米軍が沖縄占領後、基地を拡大し、日本国の1952年の「独立」後から1972年の沖縄返還にかけて、海兵隊を中心に沖縄島に集中させてきた。米国支配下のオキナワと一応独立させた日本国の間に楔が打ち込まれてきた。そこに今、沖縄県の中に配備してきた陸上自衛隊第15旅団を師団化させる話しが持ち上がっている。彼らは、何のために何を求めてくるのだろうか。
沖縄島をさらっとみれば、米軍基地がないのは、このキャンプ・ハンセン以西から嘉手納弾薬庫までの約6,7kmだと知れる。自衛隊の演習場は、今後中部訓練場(キャンプ・ハンセンとキャンプ・シュワブ)と北部演習場に集中していくだろう。ところが、否、予想どおり、防衛省は新たな地を物色していたのだ。そういう事態の中で、私は新たなカテゴリーを作った次第。だから私は東山ゴルフ場跡地という場所が特定された後も、周辺にある自衛隊基地群にも注目してきた。そんなわけで新たなカテゴリーを作り、これまで承知していなかった地域にも目を向けていく予定だ。
3月2日の沖縄タイムスにうるま市の中村正人市長が3月1日、沖縄防衛局を訪ね、「住民の合意形成、理解を得るのは大変厳しい状況だ」と訴えたという。2月27日、沖縄県議会で自民会派が反対を打ち出した。地元市長である彼も、漸く重い腰をあげたようだ。遅くなったからなのか、白紙撤回ばかりか、用地取得反対と沖縄防衛局に釘をさした。同市長は、計画予定地周辺の石川地区自治会長連絡協議会が反対している、地元旭区から計画断念を求める請願が出されている等と説明したようだ。
沖縄防衛局伊藤晋哉局長は、白紙撤回しないと言明した上で、「住民生活との関係を重視し、土地のあり方を検討する」と従来の政府方針を述べたようだ。
2月28日夜のNHK報道で、「政府は一旦撤回する」との可笑しな報道が流された。世論を「甘い水」に誘い込むことを狙ったのだろうが、これはやはり誤報だった。しかし2月29日琉球新報が報じたように「大幅見直し」を検討している。また3月1日の防衛省報道官の記者会見では、市長の要請は承知しており、「この計画を白紙にする考えはありませんけれども、現在、住民生活との関係を重視するという観点から、取得後の土地の利用のあり方につきまして、あらためて更に検討を行なっている」と述べている。さらに再質問に答えて、「私ども、陸上自衛隊の第15旅団を師団化する計画、令和9年(引用者註:2027年)までという計画でございます。これに伴いまして、訓練場が不足してくるということについては変わらぬ事実としてあるわけでございますし、物資の集積等も含めまして、様々な土地利用の所用が発生するということにも変わりがない事実としてあると」と繰り返している(防衛省3月1日HP)。
地元住民の動きが広がり、玉城デニー知事、沖縄の自民党、うるま市長まで反対の声がひろがり、防衛省も再検討の素振りをみせてきた。ただしこの国の基本の所用は変わらず、どこに何を再配置していくかだという。国は「大幅直し」というが、沖縄の島々を戦場にする基本構想を変えておらず、そのための備えとして第15旅団を師団化するということだ。
この「大幅見直し」で何が出てくるのかわからないが、防衛省は入念な(何重もの)仕込みをしてくるだろう。3月2日、うるま市全63自治会でつくるうるま市自治会長連絡協議会(山城曉会長)は、全会一致で反対を決めたという。今度のうるま市の闘いは大きく広がってきたようだ。私達はうるま市石川の地域の問題と、沖縄島全体、琉球諸島全体への見取り図を画きながら反対の声を広げていこう。点は線に繋がり、面に繋がっているのだ。ここを忘れないように致しましょう。