この間の土日は仕事で長野に行っていた。
土曜の予定をほぼ終えて
最後に戸隠へそばを食べに行くことにした。
行きは何ごともなく、おいしいおそばをいただいて
およそ6時頃、市内に向け来た道を帰るだけ、となった。
分岐点もほとんどない山道なんだし、普通ならとても簡単なことだ。
と、ナメてかかっていたのが半分、
さらに使い慣れないレンタカーのカーナビに惑わされたのが半分で
つい道を逸れ、袋小路に迷い込んでしまった。
袋小路の突き当たりには平屋の、公民館のようなコンクリート造の建築物がある。
看板も建物表示も何もない、恐ろしくそっけない建物なのだが
市の所有物らしい張り紙がしてある。もちろん、人はいないし、明かりもない。
ふと横を見ると、小さな道路標示板のようなものに
手書きで「斎場→」とだけ書いてあった。
山奥である。外灯も何も無いところで「斎場→」の看板を見たら
誰だって早く帰ろうと思うだろう。
とにかく来た道を戻るしかないと思い、狭い道をバックでUターンしようと
ハンドルを切ったとたん、ガコッと音がして車が右に傾いた。
側溝に前輪を落としてしまったのである。あ~・・・(涙)。
乗っていたのはいい年したオヤジ二人。
このくらいのことではあわてず騒がず、すっかり達観して
レンタカー屋に電話を入れJAFの連絡先を聞き、救援の依頼をした。
対応に出たのは、東京のコールセンターであった。
何せ初めての長野で、初めて来た山の中である。
しかも目印は、小さな手書きの「斎場→」である。
カーナビのうねうねと曲がった道の表示には、住所すら出てこない。
うまくこの場所が伝わったかどうか、不安に思いつつ
待っていた40分の長かったこと!
突然、前触れも無く現れたレスキューはランドクルーザーに乗ったオジサン1名。
無言で車の下を覗き込んではジャッキを操作して車体を持ち上げ
側溝と車輪の間に角材を押し込んで、難なく脱出させてくれた。
んで、何の無駄話もなく、「左に下りて行けば街に着くから。じゃ。」
と言って、そっけなく去って行った。
う~む、プロだなあ。
残されたオヤジ二人、最敬礼で見送ったのは言うまでもない。
その頃にはあたりはもう真っ暗。長居は無用とばかりに
そそくさと「斎場→」の看板を後にし、ホテルに着くやいなや
「厄払いだ!」と言って飲みに出た。
それにしても、何も無ければ1日に5人も人の通らない場所であったと思うが
レスキューを待っている間にミニバイクに乗った兄ちゃん1人、
ジャッキアップしている作業中に1組の若いアベックが徒歩で通り過ぎた。
両者とも、行き先はもう1本の分かれ道で、チェーンで行き止まりになっている奥へ
何のためらいも無く上って行ったのには驚いた。
案外、長野の人には隠れた「名所」だったりするのかも知れない・・・?
今度行く機会があったら、誰かに聞いてみようか。