FRIPP & ENO/EVENING STAR
IMPORTED CD
昨日からの流れで、今日はFRIPP & ENOの2作目
EVENING STARを聴く。
A面(CDでは1~4曲目)
1.Wind on Water
2.Evening Star
3.Evensong
4.Wind on Wind
B面(CDでは5~10曲目)
5~10.An Index Of Metals
コンセプトは前作と同じでループするフレーズに
即興的なギターが絡むというスタイルだが
前半の短い4曲は構成がシンプルになり
「メロディ」がわかりやすく、叙情に満ちた美しい小品が続く。
これなら「普通の人」でも普通に聴けるんじゃなかろうか・・・2分くらいは。
おそらく各曲とも、もっと長いセッションから
部分的にピックアップしてきたのではないかと思うが
分かりやすく、馴染みやすい、という点ではなかなか優れた4曲で
特に2曲目のEvening StarはギターのリフがF.Iしてくるところから
耳に残る名曲。
メインのギターもR.FRIPPらしくてかなりシュールだけれど
フレーズが、というよりも、音そのものが印象に残る。
3曲目Evensongはギターのリフを加工している作品で
改めて思えば、80年代King Crimsonの
ギター2本でフレーズのズレを演奏するというアイデアの
元がこの辺にありそうだ。
そう思うと4曲目のWind on WindというB.ENOの曲は
Music for Filmsそのもの。
5曲目からは一転して前作同様のアブストラクトな世界になるが
なるほどこうして聴き直してみると
後の2人の活動を予見させる要素が詰まった
作品だったということが、よく分かる。
もちろん、当時はそんなことつゆとも思わなかったんだけど。
原盤がリリースされたのは75年の11月。
75年~76年というのはパンクロックが台頭し
プログレが勢いを失っていった象徴的な年だった。
諸説あるとは思うが
自分的には73年Pink Floydの『狂気』、King Crimson『太陽と戦慄』
EL&P『恐怖の頭脳改革』、YES『危機』(72年)あたりが
ピークで、この頃のレコードはどれも傑作ぞろいだった。
イギリスだけじゃなく、ドイツ、イタリアといった
ユーロ・プログレでも同じことがいえるだろう。
これが75年になると、Pink Floydは『炎』で泣き言を言い始めるし
YES、EL&Pも沈黙状態でパンクの勢いに晒されている。
当のKing Crimsonは74年で活動を休止しているから
R.FRIPPはこの『EVENING STAR』では
ある意味「ソロ」なんだろうが、King Crimsonというバンド自体が
R.FRIPPを軸にして組んだり解いたりしているわけだから
本人にはどうでもいいことなのかもしれない。
前作のインパクトがかなり強かったせいか
(あれも考えてみれば73年だ)
EVENING STARの方はあまり評価されていないようだが
その後の2人の音楽性が色濃く見えるという点では、重要な1枚であろう。
むしろ聴きやすさ、ということでは前半の4曲は出色で
自分的にもかなりお気に入りのレコードではある。