ハレ時々オンデマンドTV

オンデマンドTVの感想やら日々の見聞録

岳 石塚真一

2007-02-07 00:53:07 | 
幼少の頃から漫画に慣れ親しみ
現在でも欠かさず定期購読しているマンガ誌は3誌。
自分では多い、と思っていたが
「スピリッツ」と「ヤングサンデー」と「オリジナル」・・・って
全部、小学館だから実に限られた世界だな。

『岳』は「ビッグコミック」のレギュラーだが
「オリジナル」に臨時で掲載されたのを読んで、気に入っている。

山を知らない人間にしてみれば、山というのは
一種神聖な場であって、何か近寄りがたい世界に思われる。
山を主人公にしてしまえば、その猛々しさや異質な環境に
ひれ伏すしかないのだが
そこに登る人間の目線に戻れば、日常のひとコマ
人生の通過点として、凡人の心にも響くものがある、ということか。

人の生き死にの物語である。
しかし、大仰にではなく淡々と語られるところが奥深い。
俗界のニュースでは、殺したの殺されたのと
人心の醜怪さばかりが目に付くけれど
改めて、命って何じゃいなと思わされるのである。
これも山の浄化作用か。


やっぱ、ひれ伏すしかないじゃん。



『岳』 石塚真一 1巻~3巻 小学館 各524円+税
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湯川潮音 雪のワルツ

2007-02-03 22:21:04 | 音楽
相変わらず独特の空気感が心地よい。

彼女がどういうアルバムのつくり方をしているのかは知らないが
毎回音づくりのコンセプトがしっかりと、しかも着実に変わっているので
違うCDを聴くたびに、その異なる世界観にドキドキさせられる。

彼女の歌をはじめて知ったのは映画『リンダ リンダ リンダ』だから
全然コアなファンでは無いのだが、
アカペラで歌った「A WATER IS WIDE」を聴いて以来、
すっかり魅せられてしまっている。

音楽の根本は、リズムと歌(語り)にあると思う。
リズムは鼓動、すなわち心臓の音であり、語りは息づかい、呼吸であろう。
心臓の鼓動は生きるエネルギーであり、呼吸はスピリッツとでも言おうか。
美しいとか上手いとか言う前に、
人はその歌の、息づかい(スピリッツ)に惹き込まれていくのだと思う。

あの体育館のシーンには、間違いなく
湯川潮音の息づかい(スピリッツ)が鳴り響いていた。
(見たのはDVDなんだけど・・・)

『雪のワルツ』は前作『紫陽花の庭』の延長で
レトロモダンの色彩をさらに深化させ
楽曲としての完成度が、さらに高くなっている。

『Tide and Echo』や『うたのかたち』が手で削った鉛筆の清々しさだとすれば
これは、職人の手になる上質の万年筆、というところか。
どちらが好きか、というよりも
削りたての木の香ばしさも、渋く漂うインクの香りも
軽々と表現しきる、彼女の才を素直に楽しみたい。

全6曲中、後半の3曲が特によい。
最後の「長い冬」という曲は、
彼女の変わらない息づかいが感じられてホっとする・・・


なんだかんだ言っても鉛筆世代なんだよね、おじさんは。



湯川潮音/雪のワルツ(全6曲・初回紙ジャケ仕様) 1,800

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ロマーンズの激情

2007-02-02 03:35:27 | 音楽
最近本屋さんやレコード屋さんでは
店員さんの手描きのおススメPOPが付いていて、なかなか楽しい。

この「ロマーンズの激情」というCDは横浜駅の地下街の新星堂で
「へたくそなのにストレートで気持ちいい」というコメントに惹かれて
無性に聴いてみたくなったもの。

ライブでの評判がなかなかいいようで
間違えようが、つっかかろうが、ひたすら突っ走るそうだ。
このCDもボリュームを上げてガリガリ鳴らしたほうが雰囲気があっていい。
歌詞は日本語で元歌とは別に書いたもの。
自作自演でやるよりも、ある曲に乗っけて歌ったほうが早い、ということか。

そういう、マドロッコシサを超えてとにかくやりたい!という
気持ちの逸りみたいなものが、そのまま音に現れている。
星の数ほどある「へたくそな」バンドの中で
彼女たちがちょっとだけ目立ってみえるとすれば、
あせる気持ちを隠さずに出す潔さ、にあるのだろう。

おじさんも見習いたい、1枚。


ROMANES/ロマーンズの激情 ¥2,100
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ウルトラマン シーボーズ

2007-02-01 03:22:19 | ウルトラシリーズ
ウルトラマン 第35話
怪獣墓場/亡霊怪獣シーボーズ登場

怪獣は天災であるという、ウルトラマンの思想が端的に出ている。
「ただ力が強い、というだけで攻撃されて放り出される怪獣がかわいそう」
というフジ隊員の言葉や
「地球のためにやむなくやったのだ、許してくれ」と
心の中でわびる早田隊員(ウルトラマン)の心情には
昨日の敵は今日の友、あるいは罪を憎んで人を憎まず的な
性善説的で楽天的な感覚があるな。
日本的な勧善懲悪ヒロイズムの王道であろう。

とはいえ、これも実相寺監督作品で、
暗いシーンや横顔のアップ、ストップモーションを使った格闘シーンなど
他愛も無い話の中に緊張感を保っているところは、流石だ。

氏の『ウルトラマン誕生』という著作には
監督としての思い入れから具体的な撮影技術まで、事細かに語られており
制作者のこだわり、作品づくりへの情熱がこれでもか、
というくらい伝わってくる。
大げさではなく、ものづくりのバイブルと言ってもいいのではないか。


喪服を着たフジ隊員のうなじの色気は、アンヌ隊員にひけをとらない、と
40年経っておじさんは改めて感心してしまうのでした。
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