ハレ時々オンデマンドTV

オンデマンドTVの感想やら日々の見聞録

白鵬 朝青龍

2007-05-27 22:22:08 | Weblog
大相撲五月場所 千秋楽

はじめて両国国技館で相撲を観戦する。
2階のイス席正面東7列の59番と
かなり上、正面とはいえ東寄りから斜めに観る位置だったので
大迫力とはいかないが
会場全景を見わたすことができ、それはそれで面白かった。

3時少し前、十両の後半戦あたりから見始めたのだが
やはり、テレビで見るのとは違った
会場の独特の雰囲気がある。

幕内力士の入場やら横綱の入場という演出はあるけれど
土俵上の勝負は、淡々と進んでいく。
大型スクリーンやらチアガールのダンスもなく
客は原寸大の土俵を見ながら酒を飲み
ひいきの力士が出てくると声援を送るという
おおよそ格闘技とは思えない、緊張感のない時間が流れる。

とはいえ、さすがに結びの白鵬・朝青龍戦は、
会場の熱気もグンと上がり、全ての視線が土俵に釘付けになる。

昨日優勝が決まってはいても、全勝がかかる白鵬の気合も違うだろうし
朝青龍も、安々と勝たせるわけはない。
両者立会いの、にらみ合いの気迫は
観客にもビリビリと伝わってくる。

長いにらみ合いから白鵬がはずしても朝青龍はにらみ続け
その次の仕切りの瞬間
激しく飛び出してぶつかり合う様は、まるで殺気だっている。

先に白鵬に上手を取られながらも、切り替えして
中央でがっぷり四つに組み、互いにまわしを引きながら
土俵狭しと巨体をゆすりあえば、観客の興奮も最高潮。
ついには白鵬が朝青龍を倒し、会場は怒涛のような歓声があふれた。
惜しみない拍手が送られながらも、座布団が中を舞う。

今場所は白鵬の八百長疑惑が話題の的になっていたが
今日の勝負を見る限り
あの気迫と殺気は、本物だったと思うのである。


・・・表彰式の前に国家斉唱がある。
   いまどき、日常生活の中で、誰も何の疑問も無く
   起立して『君が代』を歌うなんて
   相撲くらいのものだろうな。


平成19年5月場所 千秋楽 両国国技館 
              2階イス席B 正7列59番 ¥4,900(税込)






工場萌え 安中

2007-05-26 22:24:04 | 
仕事で安中市へ行く。
『工場萌え』(P80)で紹介されている製錬所を見たくて
帰りの道すがら、18号線を高崎に向かってもらった。

すると、ありました!
向かって右手、山というより
緩やかな丘陵の斜面をに
突然、複雑な構築物が姿を見せる。

車で通り過ぎただけなので
ほんの一時のことではあったが
夜の風景は絶景、と言われるだけの
堂々たる姿を、目の当たりにすることができた。


高速向かう途中の
ロードサイドの風景は
よくある一地方の町並みで
正直言って20年以上も前に
タイムスリップしたかのような印象を受ける。
それでも不思議なのは
町全体が「古い」とは感じないことだ。

こういう比較はあまり意味が無いかも知れないが
自分が生まれた北海道の田舎道は
風景が古びているということは
町そのものが老体化し、疲れきって
消滅していく姿に他ならないのだが
今日見た高崎近辺の風景には
まだ十分に余力があり、再生を行いながら
明確に「生きている」という力を感じるのだ。

安中には工業団地もあるようだし(見たことはない)
団地以外にも中小、様々な工場が点在している。
その工場群が、町や人の暮らしの
力を生んでいることは明白だ。

工場は人間の生産の矛盾を端的に示している。
樹木を切り倒し、山肌を削って異様をさらす製錬所は
存在そのものがジレンマですらある。
だからこそ、というべきか
安中の工場の姿が、かくも印象に残るのであろう。

科学の技術が、いつかその矛盾を解決してくれることを
期待するのみである。


※車の中でFMを聴いていたら、しょこたんが出ていた。
 ゲストの高嶋政宏がキング・クリムゾンを
 熱く語っており、かなり驚かされる。
 2月か3月に発売になった『濃縮キングクリムゾン』という
 ベスト盤のライナーノートの一部を執筆した、と言っていたので
 早速帰って見てみると、確かにありますね。
 スターレス高嶋(高橋政宏)とは、彼のことなんだそうだ。

 ついでに言っておくと、しょこたんはダラジリなんだそうだ。


攻殻機動隊 2

2007-05-24 23:04:10 | 
攻殻機動隊 2 士郎正宗

オジさんは読んでいて9割方理解できなかった。
最後の最後まで、どういう話の展開で
何のためにこんなことやってるのかが、わからんかったです。

が、最終章 チャプター06に至ってやっと、理解できた(遅い!)。
キーワードは

「参宿の星は/心に剣・口に毒/修羅を好み暴悪/菩薩又は悪鬼也」
(『攻殻機動隊2』チャプター06より)

オジさん世代には

「参は 猛悪にして 血を好み 羅ごうは 災害を招ぶ」
(『(某書)』 諸星大二郎)

がピンとくるはず。

ネタばらしをするつもりは毛頭ないのだが
若い人にはベクトルの異なる参考文献として
十分楽しめると思うので
あえて 諸星大二郎、とだけ紹介しておくことにする。


自分は全くの文系だから
時間とか空間、無限、真空といった物理学的概念は
理解できないのだが

「未来と過去は同じ物だよ」「違うのは観る側だ」
(『攻殻機動隊2』チャプター06より)

という一節には、妙に納得してしまった。
自分には、時間は一直線に、不可逆的に流れており
人間(生物)は常に進化している、という先入観がある。

しかし、観る側が違うだけ、といわれてしまえば
なるほど、人間は進化や退化、
消滅と再生を繰り返しているに過ぎないと理解でき、
ピラミッドをはじめとする高度な古代文明の存在を
素直に納得することができる。

攻殻機動隊の世界は、一応地球上の近未来という設定になっているが
あるいは、今の地球とは別の世界なのかもしれない。


退化しているとしか思えない、われわれ人類に未来があるなんて
誰にも保証できないのだから。



『甲殻機動隊 2』 士郎正宗 講談社KCデラックス・1441 2001年6月28日第1刷
                                    2007年1月5日第20刷


イノセンス 又

2007-05-17 00:26:15 | 音楽
『イノセンス』サウンドトラック(CD)

CDを聴いて興奮するなんて、久しぶりだ。
映像についていたときより(当然だけど)
音がストレートに入ってくる分、印象は鮮烈だし
むしろ映像が無いほうが心情的にはハイになって
ドーパミン出まくり、って感じ。

ブルガリアン・ヴォイス風のコーラスといい
芸能山城組風または鬼太鼓座風の太鼓といい
両方一緒に出されたら、到底、抵抗できません。
『AKIRA』の太鼓(確か芸能山城組だったと思うが)
も良かったけど、これはまた、別の世界だ。


歌は呼吸、リズムは心臓の鼓動だから、
声と太鼓は最も始原的な生命の主張である、と
以前書いたような気もするが
これだけ暴力的な生命感の溢れる音世界が展開することで
映画の中の、擬体と人体の間で揺れ動く生命の境界線が
強烈に浮かび上がってくるのだろう。

作品的なインパクトは民謡歌手75人を集めたという
コーラスが圧巻で耳に残るが
根底にある太鼓の響きが、意識の底を強打する。

そこから見えてくる線は、一見あいまいのようで、シンプルだ。


『ブレードランナー』の中でも、最も印象に残る「音」が
レイチェルの弾くピアノのフレーズであることも、呼応するだろう。
---『ブレードランナー』の音楽はシンセサイザーとピアノという
   高度に構成された「楽器」であることは
   対照的で面白いと思う。
   もちろん、本作でシンセサイザーが使われていたとしても
   それは問題の本質ではない。


人間は、生命に限りあるを嘆きつ、人形に思いを託す。
託された人形は、尽きぬ生命に、底知れぬ絶望を抱える。

 「咲く花は/神に祈い祷む/
  生ける世に/我が身悲しも/夢は 消ぬ/
  怨恨みて 散る」
 
       (「傀儡謡_怨恨みて散る」より詞、曲:川井憲次)



はてさて、「怨恨みて 散る」は
人か、人形(ヒトガタ)か。 




・・・などと言いつつ、聴きながらヤフオク見てたら
   妙に気が高ぶってるせいか、
   強気で落としまくってしまった・・・
   某電気店でBGMにしたら、売り上げ倍増するかも・・・ダメ?




『INNOCENCE O.S.T』 MUSIC BY KENJI KAWAI
           ビクターエンタテインメント 2004年 3,045(税込)
※後ろに置いたのは
 『生き人形 2』 堀 佳子 新風舎 1999年初版 2,800(税別)

  

攻殻機動隊 『イノセンス』

2007-05-14 00:16:08 | DVD
攻殻機動隊 イノセンス。

たまたま『工場萌え』の話をしたら
知人に、ぜひ見るようにススメられた。
いやあ、オヤジだから世情にウトくて
これまで全然見たことも読んだことも無かったんだけど
激しくハマリ込みました。

映像の完成度の凄いこと、哲学的な(?)饒舌は
画像の情報量と釣り合いを取るためか、とも思ったが
原作を読んで納得(先に『イノセンス』の方を見てしまったので・・・)。

原作と映画の切り分け方も見事だと思う。
もちろん、攻殻機動隊の予備知識も何も無いので
あくまでも素人としての感想。

ルーツをたどればあちこちに行き着くのかもしれないけれど
それを独自の作品世界に昇華しているところは
今風に言えば優れたマッシュ・アップということなのだろう。
素直に、脱帽。

おじさん的にはベルメール(の人形)がドンと出ているところに
グっと来たりするのだが、ひょっとして
しばらく見かけなかった「サイコロの7の目」シリーズが
32年ぶりに「増刷新版」で出回るようになったのも、この影響なのか?
復刊ドットコムで写真集が復刊決定してたのも、関係あるのかしらん?

原作では「球体関節」は出てこないようなので
そこに引っ張られるのはスジ違いなのかもしれないし
他にも色々読むべきことはあると思うが
素人だから、乞許。


さらに原作の『攻殻機動隊2』を読んでまたまたびっくりしたんだけど
その話は、次の機会に。


『イノセンス』はレンタルで見たので
かわりに原作と、ベルメールの本を撮ってみました。
(芸がない・・・涙)



サイコロの7の目叢書 第2巻 『ハンス・ベルメール』 ¥3,800(税別)
河出書房新社 増刷新版初版2006年6月30日(初版1974年)