ハレ時々オンデマンドTV

オンデマンドTVの感想やら日々の見聞録

こうの史代『長い道』

2008-06-27 23:59:43 | 
こうの史代『長い道』



こうの作品の中に出てくる女性は皆
一様に、鈍い、とろい、地味、ノー天気・・・と
おおよそ今風の女性観(人間観)とはズレたところで
それでもちゃんと自分の道を歩いているところが
非常によいのである。

この作品だけでなく
彼女の描くマンガの中には
町中の小さな川にかかった橋の風景がよく出てくる。

いつも何気なく通り過ぎるその橋は
決して川に流されることなく
それでも川がなければ橋の意味もないことを
たまに立ち止まって流れを眺めては
確かめているようだ。




4コマでも短編でも、
彼女たちのノー天気なやさしさやユーモアが
この川と橋のように交錯して
町の風景になっている。

そこに気づけば
男たちはカイショーナシなんて
いわれずに済むのだろうに。

耳が痛いこって。



こうの史代『長い道』  双葉社刊 2007年9月23日第七刷 本体857円+税

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加藤訓子 ライフサイクルコンサート

2008-06-26 21:32:35 | 音楽
加藤訓子 
ライフサイクルコンサート
クラシック「はじめのいっぽ」vol.6
6月26日(木)11:30~





東京晴海のトリトンスクェアにある第一生命ホールでの
真昼間のコンサート。
トリトン・アーツ・ネットワークというNPOが主催している
気軽に楽しめるランチタイムコンサートの6回目で
打楽器のはじめの一歩、という主旨の演奏会。

1時間(実際は1時間15分)という短い時間でも
内容の濃い、充実した演奏でした。

オープニングは例によって
2階の桟敷席に吊るした鐘をコロリ~ンと鳴らし
両手に鈴を持って1階下手の客席入り口から入場。

ステージに上がって、金属打楽器による即興を
ちょっと聴かせて(時間が短いからね・・・)
そのまま『アンヴィル・コーラス』の演奏に入る
という具合。

プログラムはこのところ定番の

 ・オープニング~即興
 ・『アンヴィル・コーラス』
  (マリンバの生い立ちを説明する即興)
 ・『ルーツ・オブ・マリンバ』
   ※『ルーツ・オブ・マリンバⅠ・Ⅱ・Ⅲ』と
     他の曲を合わせた8曲を連続して演奏
 ・『トゥ・ジ・アース』

という内容。

駆け足っぽいくらいの内容ですが
文字通り、リズムに乗って十分に楽しめたように思う。


絶対音感というのがあるけれど
絶対リズム感というのもきっとあるのだろう。

オープニングの即興による自由な音空間から
そのまま『アンヴィル・コーラス』の
複雑にして正確なリズムを刻む
メカニカルな世界に一転するのは
素人耳には異質なのだけれど
演奏する側には
常に響き続ける同じリズムがあるのだろう。

考えてみれば、彼女がこの曲をいつも頭に演奏することで
聴く側の耳(心)にそのリズムが刷り込まれ
演奏を聴いている間中
彼女の絶対リズムの船に乗って
心地よく流されているのかもしれない。

『ルーツ・オブ・マリンバ』は
以前聴いたときよりメリハリがあって
しかもいつもより叙情が深い気がしたのだけれど
気のせいだろうか・・・

できればCDか、ぜひともDVDにして欲しいものです。



加藤訓子コンサート
ライフサイクルコンサート クラシックはじめのいっぽ
東京晴海トリトンスクエア内 第一生命ホールにて
6月26日(木)11:30~

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こうの史代 さんさん録

2008-06-17 22:31:11 | 
こうの史代 さんさん録



「妻に先立たれた男、参平に遺された一冊の分厚いノート。
 それは妻、おつうが記した生活レシピ満載の
 『奥田家の記録』だった。
 主夫として第二の人生をスタートさせた
 さんさんの未来は、ほろ苦くも面白い。」

とはカバーに書かれた紹介文なのだが
ここを読んだだけでも「ジジイ」は
ウルウルしてきそうなのだ。

で、読んでみるとこれが
予想以上に面白く、おかしくて
「ジジイ」心をくすぐる仕掛けがあって
やめられなくなるのである。

ま、あとがきを読むとその辺の種明かしがあったり
肩透かしを食ったような気になるのだが
逆に言えば、完璧に一本とられたことがわかる。

これを描いていたのが2004年~05年頃で
彼女は30代半ばだから
女というのは恐ろしい。

彼女自身は「一番自信のない作品」と謙遜しているけれど
いやいや「苦手のじじい」から見ても
間違いなく「傑作」だな、これは。


こうの史代『さんさん録』1・2 双葉社 各724円+税

これも横浜駅地下街の丸善で購入。

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こうの史代 こっこさん

2008-06-17 01:29:50 | 
こうの史代 『こっこさん』




設定年代不詳、微妙に昭和の味わいがあっていい感じの作風。

人間誰しも(じゃないかもしれないけれど)
生まれ育った町や時代の風景が原体験として
残っているのではないかと思う。

自分が子どもだった頃育った町(時代)は
舗装道路さえまだ少なくて
砂利道や草っぱらがそこら中に当たり前にあり、
それが世界のすべてだった。

『こっこさん』の設定はそこまで古くはないのだけれど
(ゴミの分別してるしね)
そういう土に匂いや草の匂い
涼しげな風の肌触りを思い出させてくれるのだ。



もちろんそんなノスタルジーばかりが全てなのではなくて
普通の家族が
普通に淡々と(ニワトリは別だけど)生きる幸せというものを
きちんと、丁寧に描いているところが
じわっとしみ込んでくる。

『サザエさん』とか『チビ丸子ちゃん』とか
家族やら小学生やらを題材にした面白いマンガは
いくらでもあるのだろうが
こうの史代の独特の作風は
いずれにも負けない世界観を持っている。

好きになったから言うわけではないけれど
こういうマンガを皆で読めば
世の中もっと平和になるのではないか、と
思ったりもしてしまうのだが。。。


こうの史代 『こっこさん』  宙(おおぞら)出版    724円+税
横浜駅そば地下の丸善にて購入
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洲崎大神 おまつり

2008-06-15 11:09:58 | Weblog
今日は近所でおまつりです。







横浜中央市場に近く古い町が残っている地域で
たまに散歩すると町内のあちこちに
お神輿や山車を保管しておく倉庫があったり、
小さな鳥居があるのを目にしていましたが
お神輿本体を近くで見るのは初めてです。



子どもの頃自分も一緒に
綱を引いて歩いたことを思い出しました。
(横浜ではありませんが・・・)

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日枝神社 山王まつり 京橋で太鼓を聴く

2008-06-13 00:59:13 | Weblog
仕事で久しぶりに京橋のあたりを歩いていたら
太鼓の音が聴こえこえてきました。



中央通沿い、明治屋の横を入ったあたりの
お蕎麦屋さんの前で女の子ばかりの(男子も2名ほどいた)
グループがたたいておりました。
通行人が輪になって聴いていて
とてものどかな風景ではありました。

気が付くと通りのあちこちに神輿が控えていたり
出店が出てたり・・・
帰ってから調べると
どうやら日枝神社山王まつりの
催し物のひとつだったようです。

雨上がりの夕暮れ時の
ちょっと爽やかなひと時でした。

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上原ひろみ Hiromi BEYOND STANDARD

2008-06-09 01:16:52 | 音楽
上原ひろみ Hiromi BEYOND STANDARD



ジェットコースター・サウンドに磨きがかかって、
まさに音速セッションである。
優れた技術が新しい音楽の可能性を拓くということがあるが
このセッションは、まさにそういう新しさを
ガシガシ感じさせてくれて、実に楽しい。


リズム・メロディ・ハーモニーというのが音楽の3要素といわれているが
最近それに加えて音質というか音色というのか
特にアンサンブルの時の音のアマルガムも
とても重要なのではないかと思っている。

ニュアンスとしては「ハーモニー」に近いのだけれど
絵画の語法でいえば「マチエール」とか「バルル」といわれる
仕上げの重量感、とでもいうのか。

つまり、水彩画のようなさらっとした画質と
ゴッホの絵のような、絵の具の盛り上がりがそのまま
表現の質につながっている、そういう違いのことなんだけど。


例えば、最近ハマっているPerfumeというテクノポップの曲は
殆んど「打ち込み」だから
コンピュータの中で合成された
「ドラムのような音」や「ベースのような音」など
実に様々な音色が飛び交っている。
PC内でつくられる音だから、アイデアさえあれば
あらゆる音やリズムが出てくるわけで
そういう音のミクスチュアは感動的なくらい作りこまれていて
楽しいのである。

しかし、出てくる「音質」は、大雑把な言い方をすれば
ボーカルさえエフェクトがかけられているくらい
全てがデジタルに均一化されているので
いかにいろんな「音」を詰め込んでミックスを重ねていたとしても
非常に平坦で凹凸のない、のっぺりしたものである。

一方で、これも最近なぜか毎日聴いているのが
BEATLESの『REVOLVER』。
ご存知の通り、エレクトリックバンドとしての
普通の(当時はどうだったかは置いといて)ロックチューンから
エリナ・リグビーのような弦楽四重奏、シタールとタブラの入った曲やら
ホルン、ブラスアンサンブルを使った曲、
果ては現実音を入れたり、テープの逆回しを使ったりと
実に多彩で「異質」な音が混在している。

レコーディングの技術やプロデュースの意図にもよるのだろうが
BEATLES独特の、ボーカルと演奏がはっきり分けられた録音で
一つ一つの音がしっかりと生きている。
当然、アナログだから全て現実の楽器音を使っているわけで
打ち込みによる「均一化されたヴァーチャルな音」ではないから
音の数は少なくても、その分存在感がある。

現代的な打ち込みによる音密度に比べると
実にスカスカで、すき間だらけな音なんだけど
曲ごとの表現性というのか訴求力というのは
いつ聴いても圧倒されるというのか、飽きることはない。

色数は少ないけれど
絵の具のチューブをそのまま搾り出して描いているような
荒削りで、ゴツゴツした迫力があるのだと思う。


さて、Hiromiなのである。

1枚目の圧倒的なテクニックによる
スピード感が実に爽快であったわけだが
この『BEYOND STANDARD』の
ギターを加えたカルテットの緊張感と表現性は
まさにこのバンドでしかできない音のアマルガムを創り上げている。

どこまでがスコアでどこまでがアドリブなのかはよく分からないのだけれど
4人のプレーヤーが出す音とリズムの一つ一つが
綿密に計算されて、極彩色に絡み合っていく。

まるで4人の画家が8本の腕にペインティングナイフを持って
1枚のカンバスの上に一斉にガーッと絵の具を塗りこんでいくのを
早送りで見ているようで
気が付いたらゴッホの自画像ができ上がっちゃいました、という感じ。

絵の重量感という意味でも
絵の具の凹凸のある、それもチューブで出すというより
ナイフで盛り込んでいくという「技」を活かしながら
実は丁寧に丁寧に重ね塗りされているという重みがある。

スピーカーを通してパワーに圧倒されるのもいいけれど
ヘッドホンで(大音量で)一つ一つの音のニュアンスを
確かめながら聴いても、実に面白いのだ。

もう一つ言えば、それが人の手によるアナログな演奏であって
聴きながら、乾ききらない絵の具の匂いがぷんぷん漂ってくるような
生な感触も良いのだと思う。

彼女のピアノソロも良いけれど
カルテットのアマルガムの中で自在にピアノが跳ね回っているのも
それはそれで、実の爽快。
Hiromiの求める「音色」「音質」が見事に開花しているのだ。


昔、「芸術は爆発だ」と岡本太郎は言ったけど
まさに音楽で爆発しているのが
このHiromiなのだと思う。


Hiromi 『BEYOND STANDARD』 CD+DVD
  
※実は借り物だったりする・・・濱君に感謝!

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Perfume GAME TOUR 横浜BLITZ

2008-06-01 00:13:07 | 音楽
Perfumeのライブ初めて見てきました。

当たり前だけど、ナマの迫力は凄い!

『GAME』を聴いたときは正直、ん?という感じだったのですが
本日その「ん?」も消し飛びました!

DVDでみる『bitter』よりも(当然ながら)
数段進化しているし、
何より3人フルサイズであのダンスをじっくり見られるのも良い。

ステージは小さいですが
バックに3連モニターが付いたり
ロボット風のオブジェが4体(みんな名前がある・・・)いて
その前にお立ち台が3つあるという「舞台設備」まで付いてました。

何よりも大人になった(気がする)カシユカが
アブないオーラを放っておりました。
(どうアブないのかは言えないのですが・・・)

とにかく、細かいこと言うより
本物を見よう、ということでしょうか。


と言うわけで、ネタ的には古いのですが
こんなものを・・・




これはもちろん『bitter』の時のコスチュームです。
今日は当然『GAME』の黒コスチュームがメインでした・・・


Perfume好きの方はよろしければこちらもご覧ください。

http://perfume111.exblog.jp/



Perfume GAME TOUR 横浜BLITZ  2008年5月31日(土) 2階席



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