日本教職員組合。略称:日教組。
とかく、戦後教育において、「悪の権化」とまで言うお方も多数おられるが、私はこの組合の実態というのはよく分からない。ただ思うに、日本社会党が事実上解体したことで、かつての威光はかなり薄れたといえる。そればかりか、1994年に文部省と歴史的和解に至り、さらに文科省時代になって、「ゆとり教育」という、日教組が主張していた教育方針まで取り入れられることになったことは承知の通りであろう。
もっとも、今はゆとり教育は半ば全否定され、教育方針も詰め込み型に切り替える方向へと進んでいることや、中山成彬氏が文部科学大臣時代に決定された、「全国学力テスト」の実施は、これまで日教組が貫いてきたとされる、平等教育というものに相反するものである。その根底には、「日教組が戦後教育を腐敗させた諸悪の根源」という意味合いもあるんだろうし、加えて日教組の組織そのものが、長年に亘る馴れ合い体質を生み、組合といいながら、実質は御用化していたという批判も根強く残っているものと思われる。何せ、日教組出身者でないと、教育委員会の幹部にさえ登用されないといった自治体まであるほど。
一方、中山氏が目論んでいたとされる、日教組の教育方針を糺したかったという意味合いで実施されたとされる全国学力テストの結果について、何と、秋田県など、日教組の加入率が全国平均で高いところほど順位が上で、その逆が下という、中山氏が目論んでいた結果と相反するものになってしまった。
となれば、学力テストの結果は、多少無理な論理かもしれないが、日教組の事実上の「勝利」だったということになる。この結果にショックを受けた中山氏は、結果が分かった以上、もうやる必要がないだろう、ということをほのめかしたり、ひいてはくだんの「暴言」や、さらに国交大臣を辞した後も、日教組が諸悪の根源、といった批判論を繰り返すのだろうと思われる。
しかしながら、中山氏の日教組批判に賛同するという人も、各マスコミの世論調査では約半数もいたという。私は前述した通り、日教組のこれまでの行いやその実態についてはよく分からないので、どちかといえば中山氏のくだんの話については、明らかに事実認識がズレているというのか、文科省との和解が行われた現在、国の教育方針に真っ向から批判するだけの組織とはとても思えない以上、賛同しかねる。
もっとも、日教組のこれまでの歩みというものについて調べていく必要がある。
というか、どういうわけか、若い世代に日教組批判者が多いらしいのである。なぜなのかよく分からない。となると、日教組批判、あるいは解体論ということについては、時間をかけて調べていく必要があると考えられる。
そうしないことには、昨日も書いたけど、日教組がただ憎いからというだけで、理論武装すらできず、戦後教育をダメにした諸悪の根源、という一辺倒では説得力がないし・・・