百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

キューバの“ミミズ堆肥”

2006-03-27 23:48:13 | 農業
友人が、突然ふらっとキューバへ行って来た。キューバの“ミミズ堆肥”を急に観たくなったという。確かにキューバはオルガノポニコやカンテロなど独特の有機農業技術で有名だが、別に突然30時間(社会主義国であるため直行便はなく、バンクーバー→トロント経由で)もかけて行く必要はないような・・・そんな気もしたが。  
オルガノポニコは、街の中心にある販売所つきの都市型有機菜園のこと(もともとは、コンクリートの上に使い古しのベニヤや石で囲いを作り、その中に土を入れてつくったまさしく都市型ガラクタ集約的農業の圃場に起因するようだが)で、そこにはカンテロと呼ばれる苗床の中で集中的に生鮮野菜などの作付けを行う生産技術がある。カンテロというのは、ミミズを使った腐植土、いわゆる“ミミズ堆肥”による苗床のこと。カンテロを開発するにために、世界中にいる数千種のミミズの中からキューバの土壌に適した種が選ばれ、今やキューバでは、毎年10万トンものミミズ堆肥が生産されているという。  
カストロ政権下では、都市の空き地、住宅のバルコニーや中庭、空き缶に至るまで、どんなに小さな面積でも作物を育てることが奨励され、アメリカからの経済封鎖以降(社会主義の崩壊と共に化学肥料・農薬が輸入出来なくなり、さとうきびの価格が1/3に低下した為、輸出も出来なくなり、必然的に国内だけで自立した持続可能な農業へと政策転換を図らざるをえなくなった)決して一人の犠牲者を出すことなく、有機農業で国内食料自給率を40%から100%に見事短期間で上昇させ、それは単に危機を乗り超えただけでなく、「有機農業は非効率」という偏見を打ち破ることに成功し、現在はバイオテクノロジーを駆使した先端農業に国家を挙げて移行しているという。その内容は、なによりも国民と農学博士、生物学者や研究者が一丸となり、決してお金をかけることなく、リサイクル材を巧みに駆使して再利用する中で習得した農業技術は、すべてみんなで共有化していることにあるようだ。普通に働いて月給は15~20ドル、医者でも28ドルと決して裕福ではないが、食糧や住居など社会基盤は完備されており、働いているみんなは一様に明るく楽しく元気だという。“豊かさ”の本質はそれぞれの主義の中に存在するのではなく、それぞれの生き様の中にあるのではないか。日本もそろそろアメリカと決別しても生きられる生き様を見出すべきなのでは・・・と思わず思った今日デシタ。。



村上春樹をめぐる冒険

2006-03-27 00:02:10 | 循環
村上春樹がノーベル賞候補に!!今回カフカにちなんでつくられた文学賞「フランツ・カフカ賞」を、受賞する事になったのがそういわれる原因(このカフカ賞の受賞者が2年連続ノーベル賞を受賞しているので)だそうだが、もし村上春樹が受賞すれば、なんと日本人では三人目、川端康成、大江健三郎に続く快挙となる!!学生時代は三部作と呼ばれる「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」と共に過ごし、チャンドラーやフィッジラルド、カーヴァー、アーヴィング を知ったのも彼の翻訳から。80年代の内面を描写する小説から、90年代は社会との関連、外面性へと対象は変化するが、それぞれに村上ワールドが存在し、自らは団塊の世代(安保世代)でありながら闘争に背を向け、自己(identity)を追及するようで決して偽りの虚像?!は追い求めない。春の空に浮かぶ雲のように、彼の小説からは指先に残るニコチンや圃場で焼かれた藁の香りがほんのりする。穏やかな春の日に、久し振りに村上作品を読んでみるのも、なかなかイイかも。