「いいえ、そんなことはないですけど」と、ニックは首を振った。「いえね、事件ってほどのこともないようですけど、最近、オレの住んでる辺りで、妙な事件が何件か起こってるんですよ」
「まさか、迷い犬をステーキにして食べてるってんじゃないだろうね」と、オモラは笑った。
「おかみさん、冗談じゃありませんや――そうじゃなくて、これはもうどういうことなんだか、わけのわからないことなんで。飼い犬なんですが、ちょっと姿が見えないと思うと、手足をもぎ取られて、それこそ肉の塊みたいに変わり果てて見つかるんです」
「肉の、かたまり?」
みんなの顔が曇った。
「え、ええ。そんなことが、もう三件は起こってますんで。聞くところによりゃあ、狼男が出たんじゃないかと……」
「ばかなことを言うんじゃねぇ」と、カッカがニックの話をやめさせた。
「そんなこと誰が言ってるかわからんが、昔のことを掘り起こすようなことはやめるんだ。真に受けてもならねぇ。また誰かが泣くことになるんだ。軽はずみに、憶測で物を言うのは感心しねぇぜ」
カッカはぐるりと周りを見回した。誰も異議を唱える者はいなかった。威圧的な雰囲気を残したまま、カッカはカップにお茶を注いだ。
と、表で嬉しそうに吠えるアリスの声が聞こえた。薪割りの作業をしていた班が、ようやく仕事を終えて戻って来たのだった。
わいわいと話しながら休憩所の中へ入ってきた仲間達は、いつもとは違う重い空気を敏感に察知した。彼らの後ろから、アリスにじゃれつかれていたグレイが、ごくろうさま、と言って入ってきた。グレイは、みんなのいやに深刻な表情を見て、笑顔を凍りつかせた。
――――――
狼男の噂は、その後も流れ続けた。グレイは、いつもみんなの態度を気にして、仕事をしなければならなかった。どこか、みんなが変によそよそしくなったのは、わかっていた。しかしそれが、狼男にあるなどということは、想像もしなかった。
グレイは、そう思いたくなかったのだった。カッカやオモラは、あいかわらずよくしてくれていた。ほかの仲間達だって、以前のように親しく接してくれていた。ただ、自分に対してこそこそと隠し事をしているような態度が、グレイを心細くさせるのだった。時間が、このまま無事に過ぎていってくれたなら。そう、グレイは思っていた。何事もなければ、みんなすぐに考え直してくれるさ。グレイは、そう信じていた。
しかし、グレイの願いとは裏腹に、町で大変な事件が起こった。
夜、酒場から家へ戻る途中の女の人が、狼男に襲われかけたというのだった。もはや、小さな噂などでは収まらなかった。町中の人間が、恐怖した。中には、以前狼狩りに出かけていった男達が、なんの成果も上げられずに帰ってきたのは、狼男が人々の中にまぎれていたからだ、とそう訴える者もいた。
グリフォン亭の酒場でも、三々五々集まってきた人々は、口々に狼男のことを話題にのぼらせた。アリエナの通う学校でも、休み時間は狼男のことが話題の中心だった。新しい家族が揃う食事の席でも、エレナがケントにしなを作りながら、しきりに「恐いわ」と、不安を訴えていた。
やれほれ。
ここんところケータイもテレビも
ヨーロッパのことばかり気になる。。
帰ってきてもバラエティはチェックする気になれないし、
最新ニュースばっか追いかけてる。
距離を測れば遠い国のことなんだけど、
だからこそ気味が悪いと思わない??
車の燃料も上がりっぱなしで、
まだまだ値上げが続くかもしれないでしょ??
そのうち食べ物もなかなか手に入りづらくなるかもしれないし、
生活必需品もどうなるもんだか。
考えすぎかもしれないけどさ、
不安でしょうがない。。
どこぞの大統領はふかふかのベッドで
ぐっすり眠ってるんだろうなぁ。
考えるだに腹が立つXXX