くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(28)

2022-03-08 19:24:40 | 「狼おとこ」

「いいえ、そんなことはないですけど」と、ニックは首を振った。「いえね、事件ってほどのこともないようですけど、最近、オレの住んでる辺りで、妙な事件が何件か起こってるんですよ」
「まさか、迷い犬をステーキにして食べてるってんじゃないだろうね」と、オモラは笑った。
「おかみさん、冗談じゃありませんや――そうじゃなくて、これはもうどういうことなんだか、わけのわからないことなんで。飼い犬なんですが、ちょっと姿が見えないと思うと、手足をもぎ取られて、それこそ肉の塊みたいに変わり果てて見つかるんです」
「肉の、かたまり?」
 みんなの顔が曇った。
「え、ええ。そんなことが、もう三件は起こってますんで。聞くところによりゃあ、狼男が出たんじゃないかと……」
「ばかなことを言うんじゃねぇ」と、カッカがニックの話をやめさせた。
「そんなこと誰が言ってるかわからんが、昔のことを掘り起こすようなことはやめるんだ。真に受けてもならねぇ。また誰かが泣くことになるんだ。軽はずみに、憶測で物を言うのは感心しねぇぜ」
 カッカはぐるりと周りを見回した。誰も異議を唱える者はいなかった。威圧的な雰囲気を残したまま、カッカはカップにお茶を注いだ。
 と、表で嬉しそうに吠えるアリスの声が聞こえた。薪割りの作業をしていた班が、ようやく仕事を終えて戻って来たのだった。
 わいわいと話しながら休憩所の中へ入ってきた仲間達は、いつもとは違う重い空気を敏感に察知した。彼らの後ろから、アリスにじゃれつかれていたグレイが、ごくろうさま、と言って入ってきた。グレイは、みんなのいやに深刻な表情を見て、笑顔を凍りつかせた。
 ――――――      
 狼男の噂は、その後も流れ続けた。グレイは、いつもみんなの態度を気にして、仕事をしなければならなかった。どこか、みんなが変によそよそしくなったのは、わかっていた。しかしそれが、狼男にあるなどということは、想像もしなかった。
 グレイは、そう思いたくなかったのだった。カッカやオモラは、あいかわらずよくしてくれていた。ほかの仲間達だって、以前のように親しく接してくれていた。ただ、自分に対してこそこそと隠し事をしているような態度が、グレイを心細くさせるのだった。時間が、このまま無事に過ぎていってくれたなら。そう、グレイは思っていた。何事もなければ、みんなすぐに考え直してくれるさ。グレイは、そう信じていた。
 しかし、グレイの願いとは裏腹に、町で大変な事件が起こった。
 夜、酒場から家へ戻る途中の女の人が、狼男に襲われかけたというのだった。もはや、小さな噂などでは収まらなかった。町中の人間が、恐怖した。中には、以前狼狩りに出かけていった男達が、なんの成果も上げられずに帰ってきたのは、狼男が人々の中にまぎれていたからだ、とそう訴える者もいた。
 グリフォン亭の酒場でも、三々五々集まってきた人々は、口々に狼男のことを話題にのぼらせた。アリエナの通う学校でも、休み時間は狼男のことが話題の中心だった。新しい家族が揃う食事の席でも、エレナがケントにしなを作りながら、しきりに「恐いわ」と、不安を訴えていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

よもよも

2022-03-08 06:19:08 | Weblog

やれほれ。

ここんところケータイもテレビも

ヨーロッパのことばかり気になる。。

帰ってきてもバラエティはチェックする気になれないし、

最新ニュースばっか追いかけてる。

距離を測れば遠い国のことなんだけど、

だからこそ気味が悪いと思わない??

車の燃料も上がりっぱなしで、

まだまだ値上げが続くかもしれないでしょ??

そのうち食べ物もなかなか手に入りづらくなるかもしれないし、

生活必需品もどうなるもんだか。

考えすぎかもしれないけどさ、

不安でしょうがない。。

どこぞの大統領はふかふかのベッドで

ぐっすり眠ってるんだろうなぁ。

考えるだに腹が立つXXX

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする