くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(49)

2022-03-29 19:49:15 | 「狼おとこ」


「よく来たな、アリエナ。みんながいるから、なんて嘘ついて悪かったが、ちょっとおまえに話があったんだよ」

 トーマスが話している後ろから、ジャック、チャールズ、そしてアルが、怒ったような表情をして現れた。

「なんの用なのよ!」

 アリエナは震える声で叫んだが、トーマス達は互いに顔を見合わせ、いやしい声をあげて嘲笑した。
「遅かったじゃないか、アリエナ――」
 アリエナは驚いて後ろを振り返った。自分の今やってきた道を塞ぐようにして、義兄のトムが立っていた。口元にはあの、人を凍りつかせるような、冷たい笑いがへばりついていた。
「アリエナ、遅かったじゃないか。来ないんじゃないかと気が気じゃなかったぜ」
「なんなのよ。わたしになんの用があるのよ」
 アリエナの声は、もう半ば涙声になっていた。と、アリエナにくっついて立っていたアリスが、不意にトムに向かって走り出した。アリエナはあわててリード引こうとしたが、間に合わなかった。
 走り出したアリスにぎくりとしたトムが、懐からなにか取り出すのを、アリエナは、ひときわ大きな花火の明滅する光りの中、はっきりと目の当たりにした。
 トムがアリスに振りかざしたのは、大きなジャックナイフだった。その刃は、トムの顔が隠れてしまいそうなほど幅広で、花火の赤い火を血のようにぬめぬめと反射させていた。
 アリスはしかし、トムに飛びかかっていかなかった。ただひたすらに、来た道を走り去っていった。あっけにとられたトムは、気負いをくじかれて、ちぇっ、と歯がみをしたが、その場にいたほかの面々が、重々しくどよめいた。
「トム、なんだよ、それ――」と、トーマスが指をさして言った。
 トムは、ヘッヘッヘッと声を出して笑った。
「なに震えてるんだよ、トーマス。こいつはおれ達のことを知ってるんだぜ。おとなしく黙ってりゃいいものを、鍛冶屋の老いぼれに洩らしやがって。おかげで町の連中が妙な目つきでおれを見やがるんだ。おせっかいでうるさい口は、塞いじまうのが一番さ」
「トム、まさかおまえ、ダイアナを死なせたのは、おまえじゃないだろうな」と、トーマスが訊いた。
「だったらどうするんだ」と、トムはナイフを手にしたまま、ゆっくりと近づいてきた。「だったらどうする? おまえらだって、もうどっぷり狼男ごっこにつかっちまってるんだぜ。誰か一人が逃げ出そうとしても、残された者ともども裁判にかけられるんだ」
 アリエナは後じさった。トムはゆっくりと近づいていった。悲鳴を上げて、駆け出そうとしたアリエナを、トーマスが羽交い締めにして捕まえた。
「ごめん、アリエナ」と、トーマスは涙声で言った。「あいつがダイアナを殺しただなんて、知らなかったんだよ。あんなことをする奴だったなんて、知らなかったんだ――」

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よもよも

2022-03-29 06:21:46 | Weblog

やれほれ。

日本の映画がアメリカの映画の賞を貰ったらしい。。

ローカル放送じゃロケ地になった赤平市の

盛り上がりみたいなこと放送してるけど

よく考えてみりゃ映画になるくらい適度に閑散としてるって事でしょ??

嬉しいけどなんか寂しさを感じるのは自分だけかな?

業界の新聞じゃまたぞろ小樽から長万部までのJRが

廃線になるとかって記事が大きく出てるしさ、

北海道じゃ車持ってないとどこにも移動できない時代が来そうで恐くない??

北海道人口がどんどん本州の方に流出しちゃって、

そんなところに

三色旗の大国がその気になって攻めてきたら、

あっという間に領土にされちゃいそう・・・。

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