「このまえの狼男は、傑作だったねぇ、坊や。久しぶりで楽しませてもらったよ、人間の愚かさをね」
足早に立ち去ろうとしていたグレイは、しかし魔女の言葉を聞いてたまらず言い返した。
「なにが面白かっただと――殺されたのはぼくの友達だったんだ。狼男の血を引く者が、狼男の罪をきせられた者の処刑を見て、笑えるとでも思ってるのか」
「ほっほ。若いだけあって、正義感に溢れていること。そんな人聞きのいいことを言って、おまえさんの仲間が何人張りつけにされたか、おまえさんは知っちゃいないんだろうね」
「知ってるさ」と、グレイは食ってかかった。「おまえが知ってるくらいは知ってるさ。父さんだって母さんだって、ぼくの目の前で十字架に掛けられたんだ。ほかにだっていろいろ見てきたさ。でもぼくは、そんな目には遭わない。隠れるところまで隠れて、逃げるところまで逃げてやるんだ」
魔女はじっと、その濁った目でグレイを見た。
「――無理だね」と、魔女は見透かしたように言った。「おまえさんはやっぱり、十字架に掛けられるよ。生き延びるには、人に近寄りすぎてる。今だって、狼に変身しそうなんじゃないのかい。このババの作った結界に入って、一時的に理性を取り戻しているだけさ。あきらめるんだね」
「あきらめてたまるか。ぼくはもともと人間なんだから――」
「おまえさんみたいのが、たまに来るんだよ」と、魔女は遠くを見るような目で言った。「“はじまりの場所”に行こうとするやつがさ」
グレイは、ぎくりとしてわずかに目を伏せた。
「堕天使が神と戦ったとかいう場所なんて、嘘っぱちに決まってるだろうが」と言った魔女は、くすりと鼻で笑った。「そもそも、自分達の始祖が狼の力を得た遺跡なんて、おまえさん達の仲間が流布したでたらめだよ。そこにいけば、人間に戻れるだなんて、ありもしない迷信さ」
「いいや」と、グレイは首を振った。「ここに来れば“はじまりの場所”に行けるって、聞いたんだ。最初は疑ったりもしたけど、いまのこのぼくだから、わかるんだ。この町の近くに、その場所は間違いなくあるって、はっきりと感じるんだ」
「そんな場所を探すのは、もうおやめ――」
と、魔女は言うと、深いため息をついた。
「おまえも知ってるだろ。夢を見て旅に出かけた仲間が、二度と帰ってこなかったことくらい。
そいつらがみんなどうなったか、なんて考えたこともないのかい?
そうさ。探していた場所にたどり着く事なんてできずに、だいたいが異端者狩りに遭って、命を落としてるんだ。人目につかず、ひっそりと生きていける場所を見つけたなら、そこでおとなしくしていた方がいい。冒険なんて、しない方がいいに決まってる」
「おまえには関係ない」と、グレイは獣のようにぐるる……と、喉を鳴らして言った。「これは、ぼくがやらなきゃならないことなんだ」
「ほっほ。好きにすればいい」と、魔女は楽しそうに言った。
やれほれ。
急な暖気で雪もどんどん溶けて、
足元だけヴェネチアになった感じで
びしゃびしゃXXX
この時期だから不満だけどいい意味で不満だから
いくらでも我慢できるんだけど、
どうにもカメムシだけは無理だわ・・・。
昨日も仕事開け社宅に戻って晩飯食ってたら、
テーブルの上をもぞもぞこっちに向かってくるカメムシがいた。。
びっくりして思わずのけ反っちゃったもんなぁ。
匂い出すなよってささっとティシュに包んだけど、
やっぱり多少匂いは出すのよね。
匂い以外はおいしくいただいたけど、
慣れないし、慣れるもんじゃないわ・・・。