涙色の桜

何時も通っていた道なのにその日は何故か、何処を走っているのか定かではなかった。観光バスはいっぱい停まっているし

「弘前にこんなところあったっけか」

道路は渋滞していて中々、前に進めなかった。何があるんだろう　そうこうしているうちに見えてきたのは満開の桜だった。

「それで渋滞してたのか。。。。」

遠くに見えた桜が近づくに判ったことは弘前城のお堀端を通っているという事。春の日差しが降り注ぎ春爛漫、お堀の上に枝を伸ばして咲いている桜を見ながら

「お父さん、来て良かったね」

などと話しながら二人で見る桜はこれが最後かもしれないと目に焼き付けていた、多分、主人もそう思っていたはず。それから２か月後、主人は静かに旅立って行った。今年は行ったことのない桜の名所を回ってみたい。岩手に山形、青森

お父さん、一緒に行こうぜ

波の花