9/21 晴れ
嵐のような夜が明けた。雨は止んだが風は少し強いようだ。今日はいよいよ槍ヶ岳を目指す。風が止んだら出発しよう。
トイレに行った帰りに上のテント場を覗いてみた。驚くことに昨夜そこに泊まった人がいて話を聞くと台風みたかったとのことだった。
そこから見える穂高の山々に朝日が当たる。あの稜線もいつか歩いてみたいな。
下の狭いテント場は風を避けるためのテントで満杯であった。そこから望む常念岳は整った形だ。
西岳から槍ヶ岳を目指して東鎌尾根を行く。ハシゴとクサリの場所が続く、荷物が軽ければそれほど難所ではないだろう。
長いハシゴを下ってヤセ尾根を渡る。つまずいて転ばないよう気を引き締めて歩く。
水俣乗越を超えて槍ヶ岳が近付いてくる。いつまでも眺めていられる均整のとれたその山容は本当に美しい。おお、あれが北鎌尾根か、素晴らしい稜線だ。
槍ヶ岳の頂のすぐ下にある槍ヶ岳山荘に着いた。テント場を見せてもらうとまだ誰もいない、11時前だから当たり前か。今日は殺生ヒュッテで泊まる予定なのでパスしたがここに泊まってもよかったかも。
山荘でラーメンを食べて頂を目指す。山荘に物資を運ぶヘリが飛んできた。
日陰には氷が貼り付いていた。もうすぐ山頂だ。ヤッホー!と心の中で叫んでみる。
山頂には先客が二人いた。どちらもソロでやってきたようだ。そのうちの一人が写真を撮ってくれた。ここではこの看板を持って写真を撮るのがお約束のようだ。
快晴で360度見渡せるので何度もぐるぐる回ってしまった。少しすると下から大勢の人が登ってくるようだったので混雑を避けて山頂を後にする。
殺生ヒュッテまで下ってテントを張った。殺生ヒュッテは東鎌尾根を通した小林喜作が猟師として獲物を解体していた場所だったのでその名が付いたとのことだ。
気温は5度ぐらいなので缶ビールは常温で置かれている。気温5度で飲む温度5度のビールはなかなかイケるので2本飲んでおいた。
ここのテント場は登山ルートから少しだけ外れていて槍ヶ岳山荘が人気なのでかなり空いている。
今日の夕飯はパスタ。アラビアータにミートボール、これに赤ワイン、目の前には槍ヶ岳、涙が出てきた。
寝る頃は少しガスっていたが深夜目を覚まして外を見ると星明りに槍ヶ岳が浮き上がっていた。
写真を撮って再び寝袋に潜り込んだ。