ランチに向かったライブスポットで、カントリー音楽の好きな常連さんの話題になった。
たまたまお隣に居合わせた時、タミー・ウィネットの「Stand By Your Man」の話になってわざわざかけていただいた。
常連さんはご自分の好きなCDや DVDをお店に預けてあるようだ。
たまたまジョニー・キャッシュの大ファンであるS君の健康の回復状態を話題にしたら、気をきかせてくれたマスターが映画DVDをかけてくれた。
ジョニー・キャッシュの伝記映画「Walk the Line」だ。
かくしてジョニー・キャッシュの映画を見ながら、ランチをいただくことになった。
ミュージシャンの伝記映画の場合、演じる俳優さんが演奏や歌が達者であることは稀で、当て振り、口パクといったテクニックが使われる。
先般の「ジャージー・ボーイズ」でもミュージカル俳優さんたちの実際の歌や演奏が人気を呼んだようだが、ここでも主演の俳優の風貌も歌も評価されているようだ。
さて前半の一部しか見ていないので、映画の評を書くつもりはない。
が、演奏シーンが始まると楽器の音が気になる。
「BOSE」から流れるウッドベースの音がクリアで十分な低音が出ている。
ロカビリーで見かけるスラップ・ベースという奏法だ。
ストレイ・キャッツの演奏でウッドベースに乗っかったり、回したりと、クラシックの皆さんからはとんでもないと嫌われそうな演奏スタイルだ。
「Slap」とは「平手打ち」くらいの意味合いのようで、人差し指と中指を交互に使って弾く一般的な奏法でなく、右手を「パー」の形のまま弦とフレットボードにぶつける。
どうやら弦を指で引っ掛けて、引っ張ってから離すことで弦がフレットボードに当たることと深いサステインが得られるようだ。
メキシコのベース「ギタロン」が正にこの弦を引っ張って離す奏法で、「パチーン」というアタック音と「ブーン」という強力な低音が得られる。
さらにこの奏法の面白いのは「タタタ、タッ!」という三連符をいとも簡単にフレットボード上で実現するところ。
この辺りの奏法マジックは実際にやってみないとわからない指使いだ。
映画をちゃんと見ないでいい加減なことを書くとS君に叱られそうだが、このベース音が実に印象的であった。
いつものように「誰が弾いているのだろうか?」と気になったが、わからない。
当時ラジオから流れたジョニー・キャッシュの音源は、どうやら69年のサンクエンティン刑務所でのライブだったようだ。
親御さんとの確執、音楽との出会い、仕事と離婚、カーターファミリーのお嬢さんとの恋、おそらく酒や薬物との関わりなど、栄光と挫折の人生が歌に表れているからこそ収容所の人たちの心をつかむのだろう。
末期のレコーディングで「Aloha Oe」を歌って、それが心に染み入る。
なぜハワイの最後の女王リリウオカラニの作ったこの歌を選んだのだろうか、、
愛する人よ、去って行く前にもう一度あなたを抱きしめよう、また会えるその日まで、、、
死を前にして、感謝と惜別の思いを歌に託すことのできるミュージシャンの幸いなるかな
Johnny Cash - I Walk The Line (2010 Mix Re-Mastered)
Johnny Cash - Wanted Man - Live at San Quentin (Good Sound Quality)
Johnny Cash - Peace in the Valley - Live at San Quentin (Good Sound Quality)
JOHNNY CASH - ALOHA OE.
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