「音圧」って言葉は、意外と話題に上らない
「実効出力」などカタログデータとしての参考数値と、実際に耳と体で感じる音の迫力は必ずしもリンクしていない
「オーディオ・アンプ」の対照として、電気楽器を増幅するためのアンプを「ミュージカル・アンプ」という
私が愛用している真空管式の「Ampeg」 たかだか30Wくらいの出力しかないが、実際の音圧はその数倍あると思う
バンドのサウンドは、「楽器から出てくる音たち」の集合体であり、これらをどうミキシングするかがミュージシャンのセンス、音楽性であり、エンジニアの力量だ
シャドウズのハンク・マーヴィンの流麗なギターには、アコースティック・ギターのサイド・ギターが似合う
ライ・クーダーには熱烈なファンがいる反面、案外知られていない側面もあるかもしれない
実際にライブをご覧になった方ならお分かりのように、「リズム」が重要な部分を占めている
1987年の「Ry Cooder & The Moula Banda Rhythm Aces 」ライブ映像を見れば、これら音の組み合わせがご理解いただけるだろう
ライのスライド・ギターにエレキベース、フラコ・ヒメネスのアコーディオンにジム・ケルトナーのドラムス、コーラス隊にホーンと
いみじくも音楽は「Copy」ではなく「すべてが即興だ」とおっしゃる
ケルトナーのドラミングが毎回同じではないように、音楽は再現可能性だけで成立するものではない
一定のリズムと和声の進行のお約束はあれど、そこから先はアドリブの世界
できることなら音楽を通じて会話ができるような、そんなリレーションシップであってほしい
ライ・クーダーに限らず、スライド・ギターの特質は音域の幅広さに起因するところがある
高音部がメロディ・パートを引き受けるとして、同期するように鳴っている低音部とその倍音成分がある
そして唸るようなギターサウンドと根幹を保証するベース
空間をちりばめるように舞うドラムスとパーカッション
ホーンもコーラスも素晴らしいが、計算してリハーサルで出来上がったものでないところが心意気だ
おそらく譜面を渡されて演奏するスタジオミュージシャンではなくて、毎回異なった演奏のできるような即興詩人の集まりとでもいうべきか
能書きを垂れるつもりはないが、同じ時空を生きるミュージシャンならせめて「心意気」を同じくしたいもの
音楽に言い訳は要らないし、素直な気持ちで対したい
音圧とグルーヴは個々人の中に、そして集合体の中での役割としての双方に存在する
Les Paul - Sleepwalk
Apache 'All-Time Best Instrumental' - Hank Marvin
Ry Cooder - Maria Elena
Ry Cooder Live at the Catalyst in Santa Cruz 1987
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