中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

糸を灰汁で練る

2013年01月16日 | 自然環境・脱原発




昨日、今日とたくさんの糸の精錬をしました。
今日は柿の木で染にも入りました。

うすいピンクが柿を無媒染で2工程染めたものです。

寒中の染は寒くて大変なのですが、糸も人間も身が引き締まる感じです。

よく寒中水泳とかしてるのをテレビで見るとこの寒いのによくやるな~~と感心(なかば呆れて)してますが、気持ちが引き締まるのでしょう。

新春以降の光のせいか「色は黒いが味がある」とうたわれる赤城の節糸も、
灰汁で洗われ色白になってふっくらと輝いてとても美しいです。
 
糸を練るというのは絹糸の周りを覆っているセリシンという膠質の固いものを灰汁、またはアルカリ剤などで煮ながら柔らかくして取り除くのですが、私は主に灰汁を使ってきました。

樫などの木の灰をお湯で溶きその上澄みを漉して使います。

その灰も3.11以降は放射能の影響もあるわけで、出どころのわからないものは使うことはできません。
在庫がなくなり困っていたのですが、ネットで調べ、放射能の影響を受けていない鹿児島県枕崎市の灰を使うようにしました。
灰は濃縮されるので200倍のセシウムの量になるとのことです。

必要な方は検索してみてください。媒染剤としても使いますが、発色も悪くなさそうです。
単なるアルカリ剤とは違うふわっとした命ある発色に染めるには樫やクヌギなどの灰は欠かせないと思います。

日本人は木を燃やしたあとの灰も有効活用して暮らしに活かしてきました。
すべてが循環していた暮らしに戻ることは今となってはできませんが、自然が導いてくれることと向き合い恵みを享受したいです。

自然とともに生きることのなかにしか豊かさを私は見いだせません。
人に大事なのは原子力より原始力です。




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