中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第2回 紬きもの塾――糸の力、色の神秘

2018年07月06日 | 紬きもの塾’17~’20


糸や色、布の風合いの話の回が紬塾の核になるところです。
布を見る上で、着物を着る上でも参考になるような話をします。
みなさんもとても熱心に聴講してくれました。

観察が大事ですので、まずは真綿や未精錬の糸、精錬後の糸、真綿紬の糸の様々もしっかり見てもらいました。
先に解説などしないようにし、知識はあとからポイントだけお話します。
繭から糸を繰る、真綿から糸をずりだすワークショップも行いました。

繭から繰り出される糸の美しさに感嘆の声が上がります。

黒っぽい紙に糸を巻き付けながら糸を繰ると、最初は太い糸束が出てきます。
その糸がだんだん蚕が吐き出した1本の糸になります。
繊細で震えるようなウェーブがきれいです。
お蚕さんは不眠不休で頭を大きく振りながら8の字をかくように2日ほど糸を吐き続けて繭を作ります。
その繭から私達が着る着物やシルク製品が作られるのです。


また草木の生木で染めた色に目が吸い付けられるようにみなさん見ていました。

人の肌にも、どの色を当ててみても似合わないということがないのです。
化学の色は、色相によっては人の肌に馴染む馴染まないがありますが、色素の複雑さと生き生きとした自然物にしかない発光するような色は私達の肌と呼応するのだと思います。


糸綛をノーメークの顔の近くに当てて見てもらいました。
ピンクベージュ、イエローベージュの糸、どちらも似合わないということはありません。

紬塾初回に、私が着ているピンク系、イエロー系の紬をみなさんに両方羽織ってもらいますが、今までどちらも似合わない方はいなかったと思います。
もちろんより似合う、、ということはありますが。

身近な自然がこんなに美しい色を宿し、与えてくれるのです。大切に有り難く利用しない手はありません。

最後は部屋の灯りも消して夕暮れのほの暗さの中で染糸を見てみました。
みなさんも改めて「この光の中でもきれい・・」「深みを増すよう・・」とつぶやかれていました。

次回、染織コースの方には実際に糸や布を工房の庭木で染めてもらいます。
結果だけではなく、過程も体感してもらいます。






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