13.
ギルガメシュは岸辺へ戻り、しばりあげた舟師の縄目を解き、ウルシャナビに言った。
「ウルシャナビよ、わたしはかの国に入りたい。あなたに案内をお願いしたい」
ウルシャナビは答える。
「おまえが香柏の森に住むフンババを滅ぼし、山の麓でライオンどもを殺し、天から下った天牛を捕らえてこれを打ち倒したあのギルガメシュならば、なぜおまえの頬はやせこけ顔は落ち込んでいるのか。
なぜ、おまえの心は憔悴し、消沈しているのか。悲嘆がおまえの胸に押し寄せ、おまえは遠い道のりを行く者のようだ。おまえの顔は暑さと寒さで焼けついている。なぜ、おまえはライオンの毛皮をまとって荒野をさまようのだ。」
ギルガメシュは言った。
「わが頬がやせこけ、顔が落ち込まずにいれようか。わが心が憔悴し、悲嘆がわが胸に押し寄せずにいれようか。わが顔が遠い道を行く者のようでなくいられようか。わが顔が暑さ寒さで焼けつかずにおられようか。わたしがライオンの毛皮をまとって荒野を彷徨わずにいられようか。
わが友エンキドゥは狩られた野生騾馬、山の驢馬、荒野の豹、われらは力を合わせて山に登った。われらは天牛を捕らえて、これを撃ちたおした。香柏の森に住むフンババを滅ぼし、山の麓でライオンどもを殺した。
わたしが愛し、労苦を共にした友エンキドゥ、彼を人間の運命が襲ったのだ。6日、7晩と、わたしは彼のために泣いた。蛆虫が彼の鼻から落ちこぼれるまで。
わが友の言葉は、わたしに重くのしかかり、わたしは遠い道を旅した。わたしはライオンの毛皮をまとって荒野をさまよった。わたしはどうして黙し、沈黙を保てようか。わたしが愛した友は粘土になってしまった。わたしも彼のように死の床に横たわるのだろうか。わたしも永遠に起きあがらないのだろうか」
ギルガメシュはなおも、心の闇をさまよう旅人のようだった。