19.
そのときわたしはまだ若者だった。わたしに対する祝福が告げられたとき、偉大な神々アヌンナキは集い、マミートゥム〔出産・誕生・特に人類創造に関わる女神、あるいは冥界と関わりを持ち、ネルガル神あるいはエラ神の配偶神・・ということは、アルルの女主人エレシュキガル〕が天命を定め、アヌンナキと共にわたしの天命を決めたのだった。彼らがわたしの死と生の定めを確立したのだ。ただ、死の日を印づけず、生のそれも印づけなかった。」
ウトナピシュティムは彼方を見、遠い日に思いを馳せるのだった。
ギルガメシュは彼、遙かなウトナピシュティムに語った。
「わたしはあなたを見つめます。あなたの身体は別に変わっていません。あなたはわたしと同様です。あなたは別に変わっていません。わたしの心はあなたに注がれています。わたしの腕はあなたに向かって伸ばされています。わたしは知りたいのです。わたしにお話ください。あなたがどのようにして神々の集いに立ち、不死の生命を探し当てたのか」
ウトナピシュティムはギルガメシュの懇願を受け入れ、語ります。
「ギルガメシュよ、隠された事柄をお前に明かそう。神々の秘密をお前に語ろう。
シュリッパクはお前が知っている町、ユーフラテス川の岸辺にある町だ。その町は古く、偉大な神々は心をはたらかせ、洪水を起こそうとされた。
そこにおられたのは彼らの父アヌ、彼らの顧問官エンリル、彼らの式部官ニヌルタ、彼らの運河監督官エンヌギ、ニンシクであるエア〔エンキ:エンキはニビル王アヌとその側室イドとの間に生まれた第1子だ。一方、エンリルはアヌと異母妹アントゥムとの間に生まれた第2子だ。エンキは王の第1子だが、正当な「王とその異母妹との間に生まれた子」のエンリルのために第1王位継承権を失った〕も彼らと共に誓った。だが彼(エア:エンキ)は、彼らの言葉を葦屋に向かって繰り返した。