青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

“Thank you.”のいい話!

2011-09-08 | スポーツの話題

ゴルフ・トーナメントの運営において、ギャラリーの整理や選手が打ったボールのフォア・キャディ役は、開催ゴルフコースのメンバーの中でもゴルフのルールをかなり良く知っている、ボランティアがやるのが通常です。しかし、メンバーが少ない場合、場内整理を外部の人に頼むことがあります。

ゴルフに関わらず、スポーツ・イベントでのこのような整理係を、アメリカでは一般的にマーシャルと呼びます。テレビ中継でアメリカのゴルフを見ていると、下腹の出た好々爺といった感じのマーシャルがよく目につきます。こういう場合、その地域の退役軍人会から派遣されているケースがあります。アメリカでは何かのイベントで臨時に人手が要る場合、楽で相応しそうな仕事なら、退役軍人会に頼むことが多いのです。お小遣いの足しにしてもらおうとの配慮からです。

1995年2月のデザート・クラシック。ツアーの中堅プロ、マイク・リードがティショットをミスし、深いラフに打ち込んできました。彼の愛称は「物理の先生」。スリムで縁なしのメガネをしていて、如何にも真面目人間といった風貌から、そう呼ばれています。

ボールの地点に来た彼は、まずマーシャルに近づき、“Thank you for serving this great golf course.”(この素晴らしいコースのために尽くしてくれてありがとう。)と言って握手を求めました。日本語で言えば「ご苦労様です」という感じの言葉には違いないのですが、退役軍人に対する敬意と、この大会への奉仕に対する感謝の気持ちが込められた言葉です。

第二打を打ち終え、グリーンに向かって歩き出した彼の後姿に、誰からともなく“What a nice guy !”(なんていいやつなんだ!)と声が上がり、マーシャルも大きく頷きました。

ただ言えばいいというわけではない“Thank you.”。たった一言でも、本当に心がこもった“Thank you.”は、多くの人の心を動かすことが出来るのです。「ありがとう」と「すみません」の区別もつけられない人には、決して言えない言葉なのです。