アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

「冬のオカキ」製造中

2011-01-31 11:51:14 | アンティマキの焼き菓子とパン
  毎年12月には販売を始めている「冬のオカキ」、今年は体調不良が続いたり、あまりに寒くて仕事する気がなくなったりで、製造が大幅に遅れました。やっと先々週の週末、もちを搗き、オカキ作りができました。

  写真は、室内で干しているところ。左がタカキビ入り5分搗きもち米のオカキ、右が玄米もち米のオカキです。反ってきたらひっくり返し、ほぼ4,5日ほどでカチカチに固くなります。寒いともっと早く固くなり、なぜかあまり反り返ることもないので、手間が要りません。干しすぎるとバリバリに割れるので、ころあいを見て容器にしまいます。今回も、けっこう早く固くなりました。夕方にはしまうつもりです。

  干しあがったオカキをオーブンで焼くと、アンティマキの「冬のオカキ」の出来上がり。今週末にはどんぐり横丁で販売を始める予定です。

  ところで、このオカキは、粗糖や具をいれて搗いたもちを薄く切るのですが、薄く等分に切るには細心の注意と技術が必要です。私にはその注意力も技術もないので、今は、こんな道具を使っています。

  この道具を使い始めてから、切るのがとても楽になり、オカキ作りが楽しくなりました。農協の商品カタログで見つけたものです。

  「冬のオカキ」と名づけているので、「夏のオカキもあるの?」とよく聞かれます。夏だと干している間にたぶんかびると思います。だから、だから「夏のオカキ」はありません。あえて「冬の」と添えたのは、「冬のソナタ」を連想してもらえたらな、と思ったから。他意はありません。ラベルのはんこには星が描かれています。「冬のソナタ」のキーワード、ポラリスに見えたらいいな。
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この場所にニホンカモシカが!

2011-01-30 17:10:40 | アンティマキの場所に生きる動植物
  昨日の午後、家の北側の裏山にニホンカモシカが現れました。写真右側の、竹が数本まとまって生えているあたりです。

  写真を撮ろうと用意し、窓を開けたとたん、隠れてしまっていつのまにかいなくなりました。50m以上は離れているので、そっと開けた窓の音くらい聞こえないだろうと高をくくったのが間違いでした。野生動物は敏感なのですね。残念なことをしました。

  この裏山の下は、うちの林地。雑木が何本も生え、切り倒した杉の枝葉がまだたくさん残っている荒地です。ここにはサルも来ればタヌキもイノシシも来ているようです。カモシカを見るのは久しぶりですが、以前、杉林だったときには、たまに目撃しました。

  はじめてニホンカモシカを見たときは、おどろきました。「カモシカのような足」ということばから、すらっとした格好のいい足としなやかな体を予想していたのですが、ずんぐりむっくりの体はまるでウシ。目撃してから調べて、ニホンカモシカはウシ科だと知りました。どうりでニホンシカとは大違いなわけです。

  けっこう大きな体のニホンカモシカは、たぶん木の葉や木の実、木の皮などを食べにやってきているはずです。彼らの行動範囲がどれくらいなのかわかりませんが、住んでいるそばに食べ物がないから里に下りてくるのでしょう。

  今日は朝からずっと雪が降り続いています。こんな日は、木の葉も木の実も雪に隠れてなかなか探せないはず。きのうやってきたあのニホンカモシカは、今日はどうやってご飯を探しているのか、気になります。
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越後のお酒・越乃景虎

2011-01-30 16:46:55 | のみもの
  新潟県長岡市の旧栃尾という地域は、上杉謙信が若い時代に過ごした場所だそうです。その謙信の青年時代の名前を取った日本酒がこれ。創業150年の諸橋酒造株式会社が醸造元です。

  私が買ったのは、「名水仕込 特別純米酒 越乃景虎 洞窟貯蔵酒」というもので、限定販売なのか、ネットには載っていません。

  「全国名水百選指定の栃尾「杜々の森湧清水」を仕込み水に求め、良質な新潟県産米を磨き、低温でじっくりと時間をかけて端麗タイプの純米酒を醸しました。その酒を母なる自然の大地のふところ深く、地表下10m地中約30mの昔ながらの横穴洞窟に永い時間静かに眠らせ、そして今、目ざめました」
  
   瓶の裏のラベルにこう書いてあり、「洞窟貯蔵は初めての試み」と、書き添えてあります。以前、鳳来泉吟醸工房でも、「トンネル貯蔵酒」というのを売っていた事があります。寒いところの、しかも石や土で囲まれた場所においておくと、よりおいしいお酒ができるのでしょうか?

  数年前大河ドラマで見た謙信は、たびたび洞窟にこもって考えにふけっていました。精米歩合は55%。それにしてはとてもすっきりしているのは、洞窟貯蔵のせいかもしれません。あまくはなく、厳しい感じがあります。若き日の謙信のイメージをお酒に託したのかな、と思われるような味。値段はさほど高くなかった気がします。鳳来泉のいいお酒とはまた違ったあじわいのある、おいしいお酒でした。
  
  

  
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いつまでも氷

2011-01-29 20:50:35 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ
  草木を煮た鍋をそのままほうっておいたら、すっかり凍り付いてしまいました。鍋をひっくり返して、鍋底にお湯をかけてやっと鍋を抜きました。その作業を行ったのは4日前。裏庭に、3つの円柱ができました。
 
  3つのうちふたつはほとんど草木しか入っていなかったので、氷は溶け出しましたが、ひとつは今日に至るまで、かわらず氷柱のまま。測ったら15センチありました。
  昨日の午前も、夏焼町から稲武交差点に至る国道153号線沿いの山陰は、スリップしそうな路面が続き、恐い思いをしました。午後、同じ道を上ると、広い路側帯にトラックがガードレールにぶつかった直後に行き合わせました。その近くの脇道で、地元の人がやはりスリップ事故を起こしたとか。夏焼町から野入町に通じる峠道で、スリップしながら下りてくる車とすれ違ったと、友人が言っていました。聞くだけでぞっとします。この寒さ、まだしばらく続きそう。運転の苦手な私は、当分遠出はできそうにありません。
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こねないパンと草木染め講習会をひらきました

2011-01-27 11:31:05 | 草木染め
  1月26日(水)、どんぐり工房で、私主催の「こねないパンと草木染め講習会」を開きました。酷寒の季節に水を使う草木染めはけっこうつらい仕事なのですが、芽吹く前の木々の枝葉からは、その植物のもつ成分が凝縮されているのか、とても美しい色が出るのです。

  今回使ったのは、一週間前に剪定したブルーベリーの枝(写真上)と、信州のリンゴ農家から当日とどいた、切ったばかりのリンゴの枝(写真下)です。


   当日は早朝から細かい雪が降っていて、外では到底作業ができないので、厨房にシートを敷いて、座って枝きりを始めました。リンゴの枝からは、リンゴの匂いが漂います。

  染め材料を煮ている間に、こねないパンの講習を行います。前日午後1時ころ仕込んで1次発酵させた天然酵母の玄米ご飯パン生地と、前夜イースト発酵させたタカキビパンの生地を2次発酵させます。

  
  草木染めと並行して進めたため、タカキビ入りのほうは過発酵になってしまいました。前夜作っておいた、ありあわせの材料を端から入れた野菜と穀物のスープと一緒に、お昼ご飯です。湯飲みに入ったハーブティーの隣の小鉢のおかずは、参加者Kさんが作ってきてくださった、野菜のカレーと香料の炒め物。スパイスの辛味がきもちいい味でした。

  先月よそからいただいたムラサキイモで染めた布が、たいしていい色にならなかったので、染め直しました。もとは、薄いくすんだ紫色だったのに、アルカリ水で煮込んだブルーベリーの染め液に入れたとたん、こんな美しい緑色になりました。ただし、こうなったのは、絹のスカーフだけ。同じような色に染まっていた麻混紡のスカーフは、くすんだ茶色のようなムラサキのような渋い色になりました。

  参加者の一人が、「市販のムラサキイモの粉を混ぜてお菓子を作ったとき、ベイキングパウダーを加えたとたん、紫色の生地がブルーになった。あれと同じみたい」と話してくれました。化学反応なのですね。

  アルミ媒染で、ブルーベリーの小枝からは赤みがかった茶色、リンゴの枝からは薄い黄色が生まれました。鉄媒染の黄緑色も素敵でした。

  この日は朝から細かい雪が降りはじめ、ずっとまる一日降りっぱなし。こんな日は珍しい。写真は工房の南側から撮りました。この日の参加者は岡崎、名古屋、豊田市街地の方だったので、早々に仕事を終え、帰路についていただきました。片づけてから帰る段になって、駐車してある車を見たら、雪が15センチ以上積もっていました。国道にも雪が降り積もり、おっかなびっくり帰宅しました。

帰宅後、あらって干したリンゴ染め。写真上の2枚は、右がアルミ媒染、左は銅媒染。下の布はすべて前に黄色系に染まった布をリンゴで重ね染めしたものです。微妙な色の違いが美しい。

 この講習会は、三河の山里便りの方が取材してくださいました。パンも小枝も写真が素敵です。こちらをどうぞ。
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蓬莱泉吟醸工房のお酒

2011-01-19 15:26:22 | のみもの
  岡崎、豊田方面から稲武に至るあちこちの道に、「空」とかかれた巨大な一升瓶が設置されているのが目に付きます。最初は空き瓶集積所ではないかと思ったのですが、その建造物?、実は設楽町の醸造元・蓬莱泉の看板で、「空」はその醸造元一押しの純米吟醸酒だと知ったのは、だいぶ経ってからでした。

  でも、意表をつく看板ではあるけれど、センスがいいとはいいがたいこともあって、蓬莱泉にも「空」にも興味を持ちはしなかったのですが、7年ほどまえだったか、大阪の知人がグルメを自認する仲間たちを数人連れて、この地にやってきたとき、それまでの偏見がいっさいなくなりました。人の勧めで、「山武喜」という地元の素材を使った和食屋に彼らを案内し、そこではじめて「空」試飲のチャンスを得たのです。

  そのおりは、ほんの少し、舌先でちょっとなめただけでしたが、その味は、今まで飲んだどの純米酒とも違う、すっきりしたおいしさでした。山武喜の料理に舌鼓を打った大阪の一行は、「空」にも大満足してくれました。その後、彼らの依頼で何本も買って送りました。それくらい気に入られたのです。私もそのおり、はじめて買って飲んでみました。

  おいしい! ほんとにおいしいとおもいました。私はふだんあまり日本酒を飲まないのですが、それでもこれならつい飲んでしまいます。それからです。鳳来泉のファンになったのは。あちこちで見つけるたびにいろんな銘柄を手に入れ、蓬莱泉の純米酒を一通り飲みました。といってもまだ最高級のお酒、「吟」だけは飲んでいませんが。

 その後、稲武にある蓬莱泉の吟醸工房を見学する機会に恵まれ、よりいっそう好きになりました。4合で3000円前後というけっこうな値段なので、そうやたらには買えないのですが、たまによそのお酒を飲んでも、蓬莱泉の酒に勝ると思ったものにはほとんど出会えず、今日に至っています。

  さて、年末、久しぶりに吟醸工房に行って見つけてきたお酒が下の3本です。

  すっきりしていて、のどにまったくさわらないお酒です。吟醸工房で作っているお酒はここ以外では市販していない、特別のお酒です。量り売りの酒もおいしいけれど、こちらもいい。

  ところで、吟醸工房では、私が染めた蓬莱泉のオリジナル手ぬぐいも売っています。今は在庫切れなので、この冬、たくさん染めためて桜の季節に納品する予定でいます。
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ゆず加工あれこれ

2011-01-17 16:40:50 | 手作りのたべもの
 前にも書きましたが、稲武にはかんきつ類は育たないときいています。夏みかんもキンカンもユズも、昔なら、どこの家の庭先にもそのうちの1本はあったように私は思っていましたが、どの1本も、稲武にはないのです。

 この貴重なユズを、昨年暮れ、名古屋市郊外に住む親戚からもらえることになりました。ゆべし、塩ユズ、ポン酢、ユズ味噌、ユズジャム、ユズシロップ、ユズケーキ、あれこれたくさん作ろうと計画していたのですが、いざいただきに出かけたとき、途中で雪が降り出したため、帰り道が恐くなってユーターン。新年が明けたら出かけようと思っていたのですが、大雪が続き、行けずじまいになりました。結局、その親戚の家で採れた野菜やグレープフルーツと一緒に、宅配便で送ってくれました。

  採取してひとつき近くたっているので、ユズはけっこう傷み始め、少ししなびかけています。思い描いたほどの利用はできそうにありません。

  それで、まず急いで作ったのはポン酢です。果汁を絞り、そこにしょうゆを加え、昆布の粉末、花カツオを混ぜて2、3日置いて漉せば出来上がるはず。でも、果汁があまりに少ないので、皮から袋ごと身をもぎ取り、果汁と一緒にしました。

  3日後、おいしい味に仕上がりました。さっそくザルで漉します。一日かかりました。とろっとしたポン酢の出来上がり。使うときにしょうゆやだし汁を足して調節すれば、いろいろに使えそうです。でも、おもいのほか少量です。がっかり。

  だから、袋と中身を捨てるのが惜しくなりました。それで、ユズ味噌を作ることにしました。袋入りの湯べしを作ったことはありますが、袋入りのユズ味噌は初めて。とにかくやってみることにしました。

  最初に、熱したフライパンにごま油を加え、赤味噌をよくなじませました。みりん、酒でのばしてから、フードプロセッサーにかけておいた、ユズとカツオのまじったポン酢のカスを加えます。かなりすっぱいので、作り置きしていたクルミ味噌も混ぜました。まだすっぱい。それで、黒砂糖を少しずつ加え、練り続けました。そうしてできたのが、このユズ味噌。甘いけれど、すっぱさもまだ強烈です。でも、刺激的な味で、私は好き。味噌マヨネーズやミソドレッシッグの素にもなりそうです。左がポン酢、右がユズ味噌です。

  残りのユズは、ユズはちみつに。温かいお湯を注げば、ユズ茶になります。今回は、傷んだところを除いて作ったので、いつもより細かく小さくきざみました。

  種は、焼酎を入れて化粧水に。ビワの種の化粧水と並んで、私の必需品です。

  最後に残った皮はお風呂に。いつもは生の皮をただ入れていただけだったけれど、たくさんあるので、一部はストーブの下で干しています。こうしておけば、いつでもお風呂に入れられます。来年、もしまたユズがもらえるなら、なにはさておき、採取してすぐにいただきにあがることにします。

  ところで、下の写真はユズと一緒に届いたグレープフルーツ。無農薬なのに、表面の美しいのに感動します。
  この果実は、30年ほど前に蒔いた外国産のグレープフルーツの種が育って、実を結んだもの。15年ほど前、突然実をつけ始め、今は毎年2本の木にたわわに実っているそうです。日本産のグレープフルーツも珍しいけれど、種から育ったことにもおどろきます。

  稲武はこの数日雪が降り続き、日中でも外の気温は零度以下。こんな寒い場所にいると、黄色い果物が豊かに実るあたたかい土地がうらやましくなります。 
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草刈り考

2011-01-16 15:07:11 | 田舎暮らし雑感
  田舎に移住した人と、いつか移住したいと思っている人の座談会のようなものを、あるブログで見つけました。そこには、移住して何年も経った人のアドバイスが書かれていました。
  
  「田舎の人は草刈りが好きです。草刈りをしないと一人前と認めてもらえない。だから田舎の人とうまくやっていくには草刈りは欠かせません」

   私も、来たばかりのころは、近隣の人々が陰に陽に発する、「草刈りしろ!」攻撃にたじろいだものです。家の周辺の草を私たちがいつ刈るか、見張られているように思ったものです。

   京都のアパートメントの一階に住んでいたとき、ある年からアパートの敷地内の空き地の手入れがされなくなりました。この空き地には、ビワやウメ、そのほかあまり大きくない木々が植えられ、芝生と雑草が混在していました。窓越しに、まず最初に緑が目に映るというのは都会ではかなり贅沢なことで、住居をここに定めた理由のひとつは、この緑地にありました。

   手入れされなくなったときから、緑地の雑草はみるみるうちに伸び、すぐにベランダにまではびこりました。当時は名前を知らなかったのですが、たぶん、カナムグラや洋酒ヤマゴボウだったと思います。

   私は、ベランダの手すりに絡みついたこれらのつる性植物を眺めるのも、また好きになりました。引越しするときまで、切らないでいたように思います。アスファルトの隙間で元気よく伸びるタンポポや桜草にも、心惹かれたものです。

   そんな感覚のまま田舎に越してきたので、田舎の人の、「草すなわち、駆除するべき敵」という感覚には、違和感を覚えたものです。

   下の林に家人が丸太でベンチを作り、地元で知り合った女性と座ってお茶しているときでした。私が「ああ、気持いい!」というと、彼女は目の前にある小川の向こう岸の崖を指差して、「あの雑草がなければね」と言い足しました。一瞬言葉に窮しましたが、私が、都会にいたときは雑草であっても大事な緑だったのだということをぼそぼそ話すと、彼女は怪訝そうな顔したきり、黙りました。

  また聞きした話ですが、昔は崖(このあたりでは「ボタ」といいます)に豊富にあったワラビやゼンマイが減ってきているそうです。草をしょっちゅう刈るせいで、大事な山野草まで絶えてしまったのだそうですが、この話をしたのは地元のおばあさん。彼女は「刈り過ぎたらよくないと分かっているけれど、近所の手前、刈らずにいることができない」と付け加えたそうです。

  こんな話もあります。このあたりは、草を家で刈れない場合はシルバー人材センターに頼んで刈ってもらうのが常です。広い敷地を持っているある人が、敷地内のあちこちの草をシルバーに頼んで刈ってもらいました。きれいに刈り取られた後を見た近所の人が、「あんな北側の、人が見もしない崖までお金を出して刈ることはなかったろうに」と言ったのというのです。

  「雑草の種が、自分の畑だけでなく近所の畑にまで飛んでいくのは申しわけない」とか、「草を伸ばしっぱなしにしておくと、蛇やマムシが増えたり、イノシシなどが出没しやすい環境を作るからよくない」というなら、話はわかります。そうした、切実な理由があるから刈るのであろうと思っていた私は、この二つの話を聞いていささかあきれました。

 雑草が勢いよく伸びだす季節になると、終日あちこちで刈り払い機の音が聞こえてきます。きれい好きの人は、いったん刈り出すと刈った後のすっきりした土地を見るのが気持ちよくて、やめられなくなるのかもしれません。

  この地域の話ではありませんが、ある田舎にすむ知人が言っていました。「周りの人たちは草にも虫にも興味を持たない。虫は、ただ虫と呼び、草はただ草と呼んでいるだけ」と。確かに、刈り払い機を使ってなにもかも一緒に刈っていたら、虫の存在には気がつかないし、草の違いはわからなくなるでしょう。

  江戸時代、幕府や藩は、農民に物を考えさせず、反抗などしないようにひたすら働かせることを考えていたといいます。そのひとつの方法として、草取りを奨励したと聞いたことがあります。もしかしたら、当時の習慣が今に続いているのかもしれません。

  ただし、昔は草は大事な飼料であり、肥料でした。このあたりに多い棚田では、低い「ボタ」を境に、他人の田畑と接しています。その「ボタ」の草は、上下に分けて半分ずつ刈るのが昔からのしきたりだと聞きます。当時は、「半分しか刈ってはいけない大事な草」が、今は、「半分は刈らなければいけない邪魔もの」になっています。

   8年たった今も、私の家とその周辺は、相変わらず雑草と雑木に囲まれています。ほんとういうと、以前より雑草は好きでなくなり、もっと除草に励んで、気に入った植物を育てたいと思ってはいるのですが、なかなか手が回らず、結局あまり変わらない風景のままです。

  とくに、昨年の異常な暑さで草の伸びは例年以上でした。あっというまに伸びて、せっかく育てた野菜が消えてしまうことも。あたりまえのことですが、せめて野菜が生長するまでは、きちんと周りの草を刈ってやらないといけないのだなあ、と痛感しました。今年は、買っただけで使っていない電動刈り払い機を使うことにしようと思っています。

   私の理想の畑(&庭)の姿は、草木染めできる雑草と野菜と花とハーブが共存していること。作物や花は草に負けないで、でも草も元気よく育つ理想の場所に、今年は一歩近づきたいと思っています。

   
    

   

   
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野生のコーヒー

2011-01-09 15:39:41 | のみもの
  面白いコーヒーを見つけました。「リム エチオピアの森で育った野性のコーヒー」、アンドロメダエチオピアコーヒーの商品です。

  エチオピアはコーヒー発祥の地といわれているそうです。そのエチオピアの森の中で育った野生のコーヒーがこれ。

  
  野生なら青臭いかも知れないと思いましたが、そんなことはまったくなくて、とてもすっきりした味です。くせがないのに、いままで飲んだことのないような独特のこくがあります。おいしい!

  袋には、「エチオピアでは煎じだすことをカフアといい、人の手を加えていない森での収穫をフォレスト、刈り入れなど一部手を加えている森での収穫をセミフォレストとしてどちらも森林または野生のコーヒーと呼びます」と書かれています。

 豆ではなく粉でしか販売していないのが残念です。なお、このコーヒーの販売会社は、飢餓に苦しむエチオピアの人々を支援する活動の一環として立ち上げたそうです。
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辛子レンコン

2011-01-09 14:52:47 | 手作りのたべもの
  昨年末のクリスマスのころ、友人から、紙に包んでリボンで結んだ立派なレンコンをプレゼントされました。

  レンコンは暖かいところのものだと知ったのはこちらに来てから。近隣の道の駅の直売所などではまったくお目にかかりません。スーパーで一度買ったら、筋張っていて、おいしくなくてこりごりしました。それで、たまに生協の宅配で注文したときしか口に入らなくなりました。

  いただいたレンコンは無農薬有機栽培だそうで、上質。しばらくさすったり眺めたりしていました。せっかくの品物なので、ただの酢レンコンや煮物ではもったいない。そこで、久しぶりに辛子レンコンを作ることにしました。
  
  
  以前作った辛子レンコンは、みそにからしをあわせたものをつめました。でも、どうも味噌くさくて、それなりにおいしかったのですが、辛子レンコンらしくないものになりました。

  そこで、今回はおからを主にした具材をつめることにしました。

  皮をむいたレンコンを、酢を少したらした熱湯でゆでます。ゆでたらザルに上げ、しばらくおきます。

  中に詰める具は、おから、みりん、みそ、練り辛子。まずおからをから炒りします。途中みりんを少量加え、さらに弱火で炒りつけます。隠し味に味噌も加え、少し水気が残る程度で火を止めます。あら熱が取れたら、溶き辛子を加えます。3節のレンコンに対し、練りがらしを40グラムほど使いました。

  ボウルの中に具で山を作り、レンコンを持ってトントンと上下させると、面白いように簡単に穴の中に具が詰まります。

  衣は、薄力粉と卵水を溶いたもの。参考にしたレシピには、色付けに黄な粉を使うように書いてありましたが、黒豆黄な粉しかなくて黄色くなかったので、ターメリックを代わりに使いました。串がすっと通るまで油で揚げて出来上がり。

  意外に簡単にできました。油の量を控えたので、ちょっと焦げたけれど、食感はまずまず。でも、なぜかあまり辛くない! 

  具だけを味見したときは確かにかなり辛かったのです。以前も、分量どおり味噌に混ぜ込んだのに、ちっとも辛くならなかったことがあります。今度は大丈夫と思ったのに。

  本場熊本の辛子レンコンは、飛び上がるほど辛かった記憶があります。「レンコンに辛子味噌を詰めてから数時間おいたあとに揚げる」と、あるサイトに書いてあったのでそのとおりにしたのですが、それが間違いだったのかも知れません。

  レンコンの旬は冬。冬のうちに素性のいいレンコンを手に入れて、今度こそ辛い辛子レンコン作り成功させたいものです。
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