アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

クラッシュ

2012-05-31 14:53:33 | 映画とドラマと本と絵画
  アメリカ映画。2004年の作品です(コチラ→)。クラッシュとは衝突、崩壊という意味で、複雑に入り組んだ差別の実態を描いた作品、とでも言ったらいいのでしょうか、とにかくすごい映画です。

  舞台はロサンゼルス。交通事故のシーンから始まります。調査する黒人刑事の顔が微妙な表情を見せたとたん、前日のシーンになります。

  夜の街を、若い黒人2人が自嘲をこめて、黒人差別的なブラックジョークを次々に吐きながら歩いています。ついで、同じ往来で、セレブの夫婦が女性差別的言葉を発しつつ歩いてきて、次第に口げんかになるシーンに変わります。と、その妻のほうが黒人二人を見るなり、夫の腕を組みます。そして、先の黒人男性がその様子をすかさず見て取るやいなや、彼らに銃を突きつけて車を奪います。

  重病をわずらっている父親を抱えて途方にくれている、差別主義者の白人警官が、親身になってくれない病院の事務員に業を煮やし、たまたま出会った、テレビ関係の有名人らしい金持ちの黒人男性の妻を夫の面前で性的に侮辱することで、鬱憤を晴らそうとします。

  妻を救えなかったその黒人男性は、周囲の隠された差別意識にイライラが募り、一方、ペルシャ系の白人の一家は、イスラム教徒差別に神経を逆撫でされるような日々を送っています。彼らとかかわるのが、前科者らしい白人男性。すっかり更正しているのに差別を受けます。

  最初の若い黒人男性2人がひき殺しそうになるのが中国人。くだんのセレブ夫婦の家にいて、セレブの妻から差別されているのが、南米生まれらしい家政婦。人種の坩堝といわれるアメリカでの、人びとの偏見と愛憎を描いた作品です。脚本のすばらしさに舌を巻きます。

   最後には、お互いは奇跡的につながっていて、いろいろつらいことはあるけれど、結局は神の加護とか仏教の慈悲の心とかいったものに包まれている、という印象を与えるので、かろうじて悲劇にはならずにすんでいます。どのできごとも緊密に絡み合っていて、会話一つ一つもいいかげんなものがなく、息をつかせません。映像も的確です。

   それにしても、アメリカは病んでいます。でも、アメリカ映画はすばらしい! 感動というより、ほとほと感心しました。ところで、カナダのデビッド・クローネンバーグ監督の同名の映画もあります。こちらもとても面白い映画でした。

   
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「地球の上に生きる」

2012-05-31 14:34:46 | アンティマキ風自然的生活
    1972年に初版が出た「地球の上に生きる」が、いまだに刊行されていると最近知り、懐かしくなって本棚から出してきました。

    私がこの本を手に入れたのは1974年。そのときすでに第10刷なので、ずいぶん人気のあった本です。

    書いたのはアメリカの女性、アリシア・ベイ=ローレル。当時ヒッピーと呼ばれていた人の一人です。彼らのコンミューンでの生活で学んだことを手書きの本にしたのが、これです。

    前書きにはこうあります。

    「この本は、生活費をかせぐためにせっせと机で事務をとったりするより、森で木を切っていたいというひとのために書きました。
   この本には、章というものはありません。わたしが学んでいくにつれて、しぜんにふくらんでいった本だからです。巻末につけた索引が、たぶんこの地図のない土地を進む上での、唯一の道しるべとなってくれるでしょう。
   けれども、あなたが物事の流れをつかむフィーリングを持っていれば、きっと道は見つかります。荒地を旅することから、はじめての垣根のつくり方、簡単な小屋のたて方や家具のつくり方、工作、農作業、お料理、病気の手当てにいたるまでー そう、わたしたちの遠いご先祖が、だんだん進歩していったのに似ていなくもありません。
   工場で生産される消費物資になるべく頼らないようにすれば、わたしたちは静かな暮らしができるはずです。体には活力がみなぎってくるでしょう。大地のリズムにしたがって生活することののびやかさもわかってくるでしょう」

   裏表紙にはこんな索引が書かれています。

   徒歩旅行   小屋のつくり方 野外料理  手でお洗濯をしよう  セッケンのつくり方 まきストーブ
   楽器のつくり方  手縫いするおさいほう  自分の型紙をつくろう  ろうそくをつくろう  カゴのつくり方
   染物  はたおり機と織り方 皮細工  木彫りと彫刻 陶器のつくり方  農作業 びんづめと乾燥食品をつくろう
   お料理  漢方薬  ひとりでするお産  応急手当のいろいろ  そのほかいろいろ

  皮のなめし方からサンダルの作り方、水の乏しいところで水を得る方法、可動式住宅の作り方などなど、かなり本格的な事柄もたくさん載っています。埋葬の仕方まで載っています。共同購入の仕方や物々交換の話も載っていて、生きていくうえでの知恵が詰まっている本です。

   絵も、彼女が描いたもので、ほとんど裸か薄くて柔らかそうな布をまとっただけの人間たちが、森や草地で作業している様子が描かれています。当時、ヒッピーの自由な雰囲気にあこがれていた私は、この本をお守りのように思っていました。眺めていると安らぐような気がしたのです。

   そして、この本に書かれていることをいつか実践してみたいとおもいながら、長い年月がたってしまいましたが、こちらに来てやっと、染物やパン作り、野外料理など少しずつ試みることができるようになりました。彼らの生活のほんの一端にすぎませんが、真似することができて幸せだな、とおもっているこのごろです。
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星が丘テラスのマルシェに出ます!

2012-05-31 13:24:18 | イベント出店情報とそのほかのお知らせ
    来月6月8日(土)に、名古屋市名東区星が丘にある商業ビル「星が丘テラス」で、毎月2回開かれているコメルマルシェに出ることになりました。

    今回は、奥三河Three trees+のこころざし工房の手作りせっけんや、Miki-Co-Labo のコンフィチュールも一緒に出品します。穀物クッキーやおからのガトーショコラ、こねないパン、豆乳と米油のスコーンなど、アンティマキの焼き菓子やパンを持っていく予定ですが、昨年名古屋で開かれた、ビーガングルメ祭りや手仕事市といった自然派系のイベントとは違う、まちなかの繁華街でのごく一般的なイベントに出るのは初めて。アンティマキのちょっと変わった焼き菓子やパンが、街の人たちのお口に合うかどうか、ちょっと不安なのですが、まずはとりあえず行ってみよう!とおもって出ることにしました。詳細は以下のとおりです。お近くの方はお立ち寄りくださると、うれしいことです。

    *日時 6月8日(土)10時~17時ころ(私たちは早めに退出するかもしれません)
    *場所 名古屋市名東区星が丘 星が丘テラスの前の広場
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茶臼山高原の芝桜の丘

2012-05-31 10:42:40 | 小さな旅
  3年ほど前から話題になっている茶臼山高原の芝桜の丘。やっと見に行きました。

  稲武から車で30分ほど。標高1000mちょっとの高原です。朝7時半に出て8時ころ到着。リフトは動いていましたが、歩いて上りました。けっこうつらい。

  20分ほどで頂上に。風が冷たくてここちよい。一面の芝桜、といいたいところですが、ところどころ土が見えています。イノシシにやられたのか、枯れてしまったのかわかりません。でも美しい光景です。私はとくに淡い水色の芝桜が好き。

  頂上から撮影しました。手前は雑草の群落です。芝桜は雑草に特に弱いのだそうですが、わたしはこれはこれで、きれいだなと思いました。

  白い花は満開でした。雪のよう。

  花びらに赤っぽい筋の入ったピンクの花。ほんのわずかですが、濃いピンクの花が混じっています。こちらはよく見かける色なので、もしかしたら原種に戻りつつあるのではないかと、ちょっと気になりました。

  平日の早朝というのに、次々に車がやってきます。屋台もたくさん店を出していました。丘見物の後は稲武とは反対側の道を下り、北設楽郡東栄町のとうえい温泉に向かいました。

  とうえい温泉は、療養型の温泉施設。このあたりでは評判のいい温泉です。うわさにたがわず、気持ちのいいお湯でしたが、屋内のお湯はカルキの臭いが気になりました。露天風呂にはその臭いがなかったので、山を見ながらゆったり気分よくお湯に浸かることができました。

  屋内の浴槽には「白湯」と書いてあり、鉄分などを除去したお湯、露天風呂には「源泉」と書いてありました。なぜ屋内も源泉ではないのか、源泉ではないとなぜカルキがたくさん必要なのか、などなどいくつか疑問は残りましたが、からだがとてもよくあたたまり、毛穴がきちんとぜんぶひらいたようないいこころもちになりました。うちからだと1時間近くかかりますが、また訪れたい温泉でした。

  この日の小さな旅は、設楽町名倉のアグリステーションのえごまだれの五平餅で〆。満足のうちに帰路に着きました。



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名古屋市科学館に行きました

2012-05-20 14:14:01 | 小さな旅
  あしたの金環日食について教えてもらえるというので、名古屋市科学館に行ってきました。

  こちらは、昨年春大きなプラネタリウムができたことで有名な博物館です。科学館には、はっきりおぼえていないくらい遠い昔に来たことがあるだけ。リニューアルしてからはもちろんはじめてです。

  白川公園内にある建物。右の建物にはグリーンカーテンが茂っています。噴水は「虹の舞」と名前がついていて、けっこう長い時間かけて、いろんな形を見せてくれます。角度によって虹が見えるかな?とおもってあちこちから見てみましたが、見た時刻がよくなかったのか、見方が悪かったのか、見られませんでした。

  館内にはたくさんの展示物が。こちらは、「生命地球」と名づけられた水の入った球体の容器です。なかには、水と酸素と植物と魚、微生物が入れてあり、完全に閉じてあります。私が訪れた日で、たしか240何日目か。この球体の中だけで、生きものの活動がつづいています。

   展示物は見るものだけではなく、触ったり、動かしたりできるものがたくさんありました。たまたま幼稚園児たちが団体で来ていたのですが、彼らの生き生きしていたこと! 展示物の内容は当然分からないはずなのですが、たたくと煙が出るとか、レバーを引くと玉がころがるとか、そういった現象に大声を上げて喜んでいました。私は理科がきらいだったのですが、こういった施設にしょっちゅうつれてきてもらっていたら、きっと好きになっていたろうな、とおもったことでした。

   学校では、現象がおきる理屈を覚えさせますが、そもそもその現象が具体的にどんなものか実感できていないのに、理屈を知りたくなるはずがありません。動機がないのにつめこむので、片端から忘れてしまいます。興味もわきません。科学館のようなところで、「なんだか分からないけれど、ある操作をするとこういう現象がおきる。これっておもしろいなあ」と、まず感じることが大事だとつくづく思いました。

   さて、目的のプラネタリウムは、昼前に行ったのにやっと取れたのが3時10分からの上映券でした。平日なのに人気です。満天の星はきれい。でも、稲武で、晴れた日の真夜中に外で寝転んで見上げたら、プラネタリウムの星の数の3分の2くらいは見られそう。

  くだんの金環日食については、見るポイントと注意事項、現象の説明などをドームの天井を使って説明してもらえたので、わかりやすかった。明日が楽しみです。でも、晴れるのでしょうか? 今稲武は曇っています。   

   

   
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甘いあずきと玄米粉のパン発売します!

2012-05-20 10:35:46 | アンティマキの焼き菓子とパン
   まったくこねないで作るパンシリーズ、第5弾を本日発売します。

   甘く煮たあずきと、稲武大野瀬町の筒井重之さんのお米で作った玄米粉が入っています。

   あずき入りのパンは前から作りたくてたびたび試作したのですが、味に決め手が出なくて、保留になっていました。あるとき食べてもらった友人が、「あずき、ときくと甘いパンを想像する。あずきはあずきでおいしいけれどちょっとがっかり」といいました。それでも、甘いパンには少し抵抗があったので、彼の意見を取り入れることなく、試作も進まず日がたってしまいました。

   先週の「易しく優しいパンとスコーンの会」で、一次発酵の実演のための生地に、甘く煮たあずきと玄米粉を試みにいれてみたところ、意外においしいことを発見。玄米粉の量を少し増やして、今日発売の運びとなりました。どんぐり横丁に昼過ぎ納品の予定です。22日のグリーンママンの朝市にも持っていくつもりです。

   
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かわいそうな大木

2012-05-18 19:03:57 | 道端観察記録
 名古屋市白川公園は、科学館や美術館のある公園で、たぶんずいぶん昔からある公園だとおもいます。園内には大木が林立しているのですが、歩くと、やたらこんな光景に出くわします。

   木の周辺の敷石が盛り上がっているのです。根っこのふくらみが辿れるところもあるほど。

   石と石のわずかな隙間も見逃さず、根っこは入り込みます。

   伸ばせなくて丸く円を描いてまた地面にもぐりこんだ根。

   木の名前はわかりません。楠木のような大きな木ばかりです。

   それぞれの木々に割り当てられた地面はだいたい2m四方。もっと狭い敷地に植えられた木もあります。最初から、いずれ大木になると分かっていたはずなのに、こんな無理なことを強いるなんて、かわいそうなことです。それとも、根っこは地下にもぐるから、地表に石があっても問題ないと思ったのでしょうか。

   山の木々でも、地表に根っこが出ている木はたくさんあるのに、表面にはわずかしか出ないはずだと勝手に決め込んで、あるいは出てきたらそのときは知らぬ存ぜぬで通そうと思ったのか、とにかくあさはかなことをしたものです。

   敷石のないところでのびのび育った大木。排気ガスの多い場所なのに、元気に育っているようです。
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「走らないで走る」?!

2012-05-18 18:30:31 | 道端観察記録
    名古屋市の地下鉄東山線の始発駅、藤ヶ丘駅のホームにいたるエスカレーターに乗り、ふと左側の壁を見ると、こんな貼紙が。   
  
    「走らないで走ると非常停止します」


  「走らないで走る」とは、矛盾です。「走らないで」のあとに、コンマかコーテーションマークか、せめて一字あけるかしてくれないと、意味を成しません。正しくはこう書くべきです。

   「走らないで! 走ると非常停止します」

   ところで、この貼り紙は、「走ると」「電車が」「非常停止する」といっているのだとはじめ思ったのですが、このブログを書いているうちに、そうではないのかもしれないと思いはじめました。エスカレーターの脇に貼ってあるということは、「非常停止」するのはエスカレーターなのかもしれません。

   電車は発車寸前であっても動いてはいないのだから、「停止」はできません。動いていなければ停止できないからです。となると、やはり、「非常停止」するのは、エスカレーターみたいです。

   こういう、下手すると事故につながるような場面での指示は、考えなくてもすっと分かるように書いてほしいものです。
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稲武のタケノコ

2012-05-17 21:54:21 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ
   先日の夕方、友人から、「今タケノコを掘っています。いりませんか?」とのメイルが届いたので、すぐに駆けつけました。友人宅に着くと、友人のお義母さんから、大きな袋にいっぱいのタケノコを「どうぞ」と差し出されました。大きな孟宗竹で、太さに見とれていると、「こんなに大きくなってしまったもので申し訳ない。持っていってもらえるなら助かります。まだあるので、まっててください」とおっしゃって、しばらくすると、また袋にいっぱいくださいました。

   たしかに、上のほうは緑色。だいぶ地上に出てから発見され、掘られたもののようです。「持っていってもらえて助かります」と、またまたお礼を言われて、家に戻りました。

   帰宅して1時間後に半分ゆでました。糠だけでなく唐辛子も入れて。途中で火にかけていたことを忘れてしまったため、2時間もゆでたので、竹串がすっと通り、とてもやわらかくなりました。

   普通に柔らかくて、おいしくできました。えぐみはほとんどありません。以前、やはり稲武のよそのお宅でいただいたときも、先っぽが緑色でした。でも、食べられました。どんぐり横丁で売っているタケノコも、上が緑色になっているのが多いのですが、なぜか、稲武のタケノコは育ち過ぎていてもえぐみが少ないようです。

   えぐみがすくないのは、気温が徐々にしか上がらないので、成長が遅いからなのでしょうか。一般には、地表に出るかでないかのうちに、足で探り当てて掘るものといわれているものなのに、不思議です。翌日朝、残り半分をゆで、そのまま放置。いま、干しタケノコ(コチラ→)の製造中です。
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名前のついていない蓬莱泉のお酒

2012-05-15 16:40:54 | のみもの
   設楽町の造り酒屋蓬莱泉のお酒は、たびたび紹介していますが、名前のついていない蓬莱泉のお酒を先日入手しました。

   ラベルが張ってありません。入手したのは、長野県根羽村のミニスーパーで、720ml2100円。蓬莱泉のお酒の中では中くらいの値段です。精米歩合は55%。同じ蓬莱泉の「美」に比べると700円くらい安い。その分、精米歩合は低いので、あまり期待しないで買いました。

   でも、おいしかった! 糠臭さや雑味がないのです。こういうお酒もあるのだな、と感心しました。

   ところで、このお酒を売っていた店は、以前は根羽スパーという店名でしたが、いまはスパーの支店ではなくなり、別の名前になっています。忘れましたが。郵便局の隣にあります。売り場には、「当店のオリジナルのお酒です。名前をつけてください」とありました。採用したら何かプレゼントをくれるかどうか、までは調べないで買ってきましたが、小さな商店なのに、なかなかユニークな試みをしています。
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