まるぞう備忘録

無題のドキュメント

【大戸屋騒動】 捨てられない経営が失ったもの。中編。

2020-10-09 08:56:17 | まるぞう経営学

防災カレンダー 
9日。月の最遠から5日後。 酉の日。注意日。




数年前から指摘されていた「警告」。

 大戸屋の経営が苦しくなった理由は、店内調理であると言われています。
参考サイト:大戸屋からじわりとお客が離れている理由〜自らのクビを絞める「手作りの味」2018/03/08 9:00

 この記事によるとメニューはほぼ店内手作り。魚や肉は炭火でじっくり焼くだけでなく、出汁をとる鰹節も店内で削り、豆腐の店内で豆乳を固めて作っています。
 しかしメニューは40種類以上。これらのメニューを店内で手作りで出すというのはどこかに歪みが生じます。

 まず一つに頼んでから待ち時間が長いということ。そりゃこんなに手がかかった料理を一つずつ作るのですから、お昼や夕方の混雑した時間帯は時間がかかるのは当然でしょう。ネットでは40分も待たされたという記事がありますが、だいたい15分は待つようです。
 料亭ならともかく、サラリーマンや学生が食事をするには待ち時間が長すぎます。

 お客の回転率が落ちれば当然売上も落ちます。その分大戸屋は値上げをしました。約3割アップという中途半端の値上げも客離れを加速させました。
 大戸屋の廻りには、もっと早く安い値段で提供してくれる外食チェーンはたくさんあったからでした。

 2〜3年ぐらい前から、この大戸屋の体質に警鐘を鳴らす記事が目立つようになります。
参考サイト:大戸屋、客離れ深刻で「負け組」に? 遅い&高い&微妙なメニューがアダに 2018.04.22 23:05

 大戸屋は他の定食チェーンに比べて味が美味しいというファンがいる一方、味が落ちたと評価する人がいるというのは、一重に店内調理の複雑さによるものと思われます。熟練した店員が担当ではない場合は、質の落ちた料理を出すリスクが高まります。
 これはいきなりステーキが一時期味が落ちたと評判になった理由と同じです。店内に熟練した料理人がいる前提の調理構成だと、逆に(シフトの都合などで)慣れない店員が担当する場合の味の落差が大きくなります。

 そして何より問題なのは、従業員の仕事時間が長くなるということ。
 そりゃ一つひとつ手間かけて、でも料理の種類はべらぼうに多く、混雑時にはたくさんのお客が来るのなら当然です。大戸屋のサービス残業の実態も話題となりました。
参考サイト:大戸屋『ガイア』密着で“壮絶なブラック企業ぶり”を全国に晒す…早くも客離れの兆候 2019.12.13 18:10



手放せば得られたはずだったもの。

 経営者は会社を立て直す時に必要なのは「何を捨てるか」であります。
 それは私達の人生にも共通することです。欲しいものがある時は、まず手放せ。手放した分だけ与えられるという陰陽の仮説です。
 では大戸屋は何を手放すべきだったのか。ここまで読んで多くの読者の方はいろいろお考えになることでしょう。



案1:メニューの数を手放す

 凝った手作りの食事を提供したいとこだわるのであれば、少なくともメニューの数を減らすこと。品数が減れば、手作り店内調理でもきちんとお客に提供することが出来ます。

メニューの数を思い切って減らすことで
・調理工数が削減され提供までの時間が短縮される。
・その結果回転率があがり売上があがる。
・職場のブラック体質が改善される。

 たとえば皆さんご存知のサイゼリア。このサイゼリアのメニューにはフライドポテトがありません。なぜか。それは油を上げるフライヤーの設備を調理場に入れると(揚げ物が1種類増えるだけでも)調理工数が大きく上がるから。です。
 フライドポテトをメニューに入れると売上げが上がることはわかっていても、調理工数を上げないために、わざわざ採用しない。

 しかし大戸屋のメニューを見ると、店内の調理工数の視点よりも、とにかくお客さんが頼むなら入れよう。という経営者の「欲張り」の趣向が見え隠れします。
 もちろん売上が落ち始めたら、あれこれお客さんを獲得するためにメニューを増やしたくなる気持ちはわかります。でもこれは素人経営です。

 売上が落ち始めた時こそ、メニューの数を絞ることを考えるべき。と思います。



案2:売上を手放す

 京都にあるステーキ丼のお店「佰食屋」。この店はステーキ丼だけ。絶品のステーキの丼ですが、一日百食以上は提供しない。百食終わったら閉店です。サービス残業どころか普通の残業も一切なし。
 毎日行列が出来、夕方そうそうには売り切れ閉店です。

 さすがにコロナ禍では売上が落ちて経営が苦しかったようですが、今は復活しているようです。固定のファンがお店を支えているようです。

 単品メニューだから一つひとつ手をかけて調理してもお客さんをそれほど待たせることはありません。また残業のないホワイトの職場ですから、従業員の人達のモチベーションも高く保てます。
 自分たちの必要としている以上の利益を、敢えて手放すということで、多くのファンに支えられるという形態を築き上げる。

 もし大戸屋が、ある一定上の売上を手放すという選択をしたならば、逆に売上があがる未来に繋がっていたと思います。が、上場した企業にはその選択肢は難しいでしょうと思います。



案3:こだわり調理を手放す

 とにかく手間がかかる店内調理を止める。これはコロワイドが提案している案でした。セントラルキッチンで調理して、店内ではそれを温めて配膳するだけ。多くの外食チェーンが行っている方式です。これによって

・メニューの数を減らさなくて手も、
・お客待ち時間が減って回転率があがる。
・コストが下がるのでメニュー単価も下がる。

 コロワイドが最も得意とする土俵です。セントラルキッチンで味が少々落ちても、以前と同じ600円くらいのメニューで、時間かからずに提供されるなら。お客は戻ってくる。それがコロワイドの「立て直し案」でした。



 立て直しにはこの他に「単価の高いブランド」とすることもありますが、これは更に手放すものが多すぎる。まずお店と従業員の数を100分の1に縮小するぐらいのところからのスタートとなりますから、大戸屋の経営陣からすると有り得ないことでしょう。



どれも手放したくない。結果、会社そのものを手放すことになった。

 苦境に立った大戸屋。数年前から多くのメディアが問題点を指摘していましたが、

・調理の工数は落としたくない
・メニューの数は減らしたくない
・売上が減らしたくない(結果的に減り続けたが)

どれも手放したくない。としがみついたまま。ジリジリと売上が下がっていったのでした。



つづく




おまけ(読者の方によって教えて頂いたこと)
==========
私はデザインの仕事をやっていて、内容的にエンタメ分野で、ありがたいことに日々楽しくお仕事しております。
仕事のときは、喜んだり笑ってもらえるいいな、役に立つといいな(^.^)と軽やかな気持ちで臨むんですが
たまにチクッと重い気持ちになります。
それをよくよく抽出してみると、「ガッカリされたくない」
という気持ちでした(T . T)
それ自体悪い気持ちではないと思うのですが、楽しみごとのジャンルでやっているにしては、ちょっと重いな、と…
まるぞうさん、こういう気持ちは持ったままでもいいのかな?それだとコンテンツが突き抜けないかな?
それとも腹が括れると、そういった「ガッカリされたくない」みたいな執着は緩んでいくのかな…
とりあえず、引き続きいろいろトライしてみまっす?(*´?`*)?

→ ・観てもらう人に受けたい。がっかりされたくない。という気持ちが半分。
・自分が面白いことが一番。他の人から理解されなくても良い。という気持ちが半分。
という半分半分はいかがでしょう。

どうしても人の思考はゼロイチになってしまう。どっちをとるのか。と。

でも、人の目を気にする気持ちは大切だけど、半分だけにしておく。
自分が楽しいことが一番という気持ちも、大切だけど半分にしておく。
この半分ずつどうしを足します。という半分半分。

==========
何を、どう考えるかという事は、その人の現実を引き寄せると考えるからですが、まるぞうさんは、どう思われますか?

→ はい。そのとおりと思います。
この世を離れる時に「それで良かった」という選択をしたいと思います。
だから普段でも死の視点は重要だと思うのです。死の視点とは一見不吉なように感じられるかもしれませんが、今自分がこの世を離れるとしたら、この世のゲームで集めたものは何一つ持って行けず手放して去るとしたら、今の自分の選択の蓄積は後悔がないかどうか。という視点であります。

眠ったままのロボット。自分が死ぬ時があるなんて全然実感していない。この世を離れて目が覚めてから後悔するのは、もうこりごりです。という私の風景です。

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